「英検を持っていれば確約が取りやすくなるって聞いたけど、本当?」
秋の個別相談会シーズンが近づくと、保護者の方から必ず聞かれる質問です。
元塾講師として、結論からお伝えします。
英検・漢検は確約の強力な武器になります。しかし、「とりあえず3級を取れば安心」と思っていると、個別相談会で痛い目を見ることがあります。
加点の効果は、北辰偏差値と同じくらい「志望校のレベル」によって、はっきりと分かれるからです。
この記事では、埼玉県内の私立高校で長年生徒を指導してきた経験と最新の情報をもとに、次の3点を整理します。
- 英検・漢検が確約基準にどう影響するのか
- 志望校のレベル別に、どの級を目指せばいいのか
- 令和9年(2027年)入試に向けて何を準備すべきか
そもそも「確約」とは何か
「確約」は埼玉県教育委員会が公式に定めた制度名ではありません。
私立高校が秋の「個別相談会」で、北辰テストの偏差値と内申点をもとに「この成績なら安心して受験してください」と伝える、実質的な合格内定のことです。いわば業界の慣習です。
学校側は「確約」という言葉自体は避け、「安心できる判定です」といった表現を使うのが一般的です。それでも保護者・生徒の間では、長年この呼び方が定着しています。
多くの学校では、次のような流れで判定が行われます。
- 7月以降に実施された北辰テストのうち、基準偏差値を2回ともクリアしているかを確認する(学校によっては上位1回のみ、または2回の平均値で判定する場合もあります)
- その偏差値や内申点が、学校の定める基準をクリアしているかで判定される
基準の組み方は学校によって異なり、内申点と偏差値のどちらか一方を満たせばよいケースもあれば、両方を満たす必要があるケースもあります。
単願(その学校に必ず入学する前提)の場合は基準がやや緩くなる、あるいは加点優遇があるケースも多く見られます。
英検・漢検は確約の加点になるのか
答えは「学校によって様々」です。
多くの私立高校が、英検・漢検の取得級に応じて北辰偏差値や内申点に0.5〜2点程度を上乗せする運用を行っています。
基準ギリギリで確約が取れるかどうかの瀬戸際にいる受験生にとって、このわずかな加点は決して小さくありません。「確約の可否」を左右することも珍しくないのです。
ただし、ここで重要なポイントがあります。加点の効果は、志望校の偏差値帯によって大きく変わるという点です。
志望校のレベル別・加点対象になる級の目安
英検・漢検ともに、3級から加点対象になりやすい層です。中学卒業程度とされる3級は、この偏差値帯であれば十分「使える検定」として機能します。
英検・漢検ともに、準2級以上でないと加点対象にならないことが多くなります。3級だけでは、加点材料として力を発揮しにくいケースが目立ちます。
英検は2級以上、漢検も準2級〜2級程度が目安です。ただし、この層になると検定の加点よりも学力そのものが問われる比重が大きくなります。
※あくまで一般的な目安です。単願・併願によっても基準は異なるため、必ず志望校ごとに確認してください。
つまり、「英検3級を持っているから確約に有利」と単純に考えるのは危険です。志望校の偏差値帯に対して「どの級が加点ラインなのか」を、検定ごとに個別に確認することが欠かせません。
「使える検定」の見分け方・3つのポイント
保護者の方からよく「結局どの検定を取らせればいいのか」と聞かれます。判断のポイントは次の3つです。
1. 志望校の偏差値と検定の級が釣り合っているか
前述の通り、志望校の偏差値帯によって「使える級」のラインは変わります。
偏差値60を超える学校が第一志望の場合、3級では加点対象にすらならないことがあります。準2級、できれば2級を見据えた計画が必要です。
2. 単願か併願かで基準が変わる
同じ検定の級でも、単願確約のほうが基準が緩く設定されている、あるいは加点幅が大きい学校が多くあります。
第一志望が私立で単願を考えている場合は、検定取得の効果がより出やすいと言えます。
3. 学校が公式に明言しているかどうか
私立高校の優遇内容は非公開、またはコースによって細かく異なるケースがほとんどです。
学校説明会や個別相談会で、次のように直接質問しましょう。
- 「英検は加点対象になりますか」
- 「何級から加点されますか」
あいまいな情報のまま、検定対策の計画を立てないことが重要です。
補足:合否だけでなく「CSEスコア」を見る学校もある
英検には、級の合否とは別に「CSEスコア」という総合得点があります。
高校受験の場面では、級の合否そのものが重視されることが多く、CSEスコアまで細かく評価する学校は全体としてはまだ多くありません。ただし一部の学校では、たとえば「準2級は不合格でも、CSEスコアが一定以上あれば加点」といった段階的な優遇を設けているケースもあります。
志望校が検定を優遇材料にしている場合は、「級だけを見ているのか、CSEスコアも参考にしているのか」を個別相談会で確認しておくと安心です。
志望校の基準に届かない級だったとしても、その検定取得が「無駄になる」わけでは決してありません。英検・漢検で身につけた語彙力や読解力は、高校入学後の授業や大学受験を見据えた基礎学力として確実に生きてきます。ここでお伝えしているのは、あくまで「確約の加点材料として機能するかどうか」という限定的な視点です。
漢検の扱いは英検より「地味だが確実」
英検ほど注目されませんが、漢検も内申点や偏差値への加点要素として認めている私立高校は少なくありません。前述の通り、目安は英検とほぼ同じです。
国語の実力を測る客観的な指標として評価されやすく、英検と組み合わせて2つの検定の証明書を個別相談会に持参することで、加点が積み上がるケースもあります。
ただし英検同様、加点の有無や幅は学校ごとに異なります。「取っておけば安心」と過信せず、志望校での扱いを確認する姿勢が大切です。
2025年の実態調査で何が明らかになったか
令和9年入試を控えるご家庭に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。
2025年10月、埼玉県内の私立高校の「特待生」制度をめぐって、大きな動きがありました。私立高校の授業料実質無償化が新年度から広がることを見据え、一部の私立高校が北辰テストなどの業者テストの偏差値をもとに、合格の確約とあわせて100万円を超える奨学金を提示する動きが表面化したのです。
業者テストの結果を入学者選抜に使うことは、1993年の文部省(当時)通知によって禁じられています。これを受けて埼玉県学事課は、県内の私立高校59校(59課程)を対象に実態調査を実施しました。
調査の結果、業者テストの結果を合否判定そのものに使っていると答えた学校はありませんでした。一方で、特待生候補者の決定に使っていた学校が9校、生徒や保護者にテスト結果の持参を求めていた学校が9校確認されています。県はこれらの学校に対し、2025年10月22日付で改善を求める通知を送付しました。
この動きは、主に特待生・奨学金の判定における業者テストの使用が対象であり、この記事で解説している通常の確約(合否の目安)そのものが直ちに廃止されたわけではありません。ただし、業者テストの利用をめぐる県の監視は今後も続くとみられます。
令和9年入試でも、この流れがさらに進む可能性があります。「去年はこうだった」という情報をそのまま鵜呑みにせず、個別相談会で最新の基準を確認することが例年以上に重要です。検定の加点についても、学校ごとの説明が年度によって変わる可能性がある点は念頭に置いておきましょう。
保護者ができる3つの準備
1. 志望校の偏差値帯に合った級の目標を早めに設定する
中3の秋から慌てて対策するのではなく、中3の夏までに英検・漢検それぞれの目標級を決めておくと安心です。
個別相談会は9月〜12月に集中します。従来型の英検は年3回実施で、秋は10月に1回のみのため、この回で不合格だと間に合わない可能性があります。日程に不安がある場合は、原則毎週実施されている「英検S-CBT」を活用すると、受験機会を増やしながら早めに合格証明書を確保できます。
2. 学校説明会・個別相談会で加点の有無を必ず確認する
「検定は加点になりますか」「何級からですか」「CSEスコアも見ますか」を具体的に質問し、あいまいなまま進めないようにしましょう。
3. 単願・併願それぞれのシナリオで基準を比較する
同じ検定でも単願と併願で扱いが変わることがあります。複数校・複数パターンで情報を整理しておくと、個別相談会当日に慌てません。
とはいえ、検定対策・北辰対策・学校選択問題対策を同時並行で進めるのは、保護者が家庭だけで管理するには正直かなりの負担です。志望校の加点ラインに合わせて英検の級を計画的に引き上げていきたいというご家庭では、家庭教師の合格王のように、一人ひとりの弱点や埼玉県の志望校の基準に合わせて計画を組んでくれる家庭教師を選択肢に入れておくと、直前になって慌てずに済みます。
よくある質問
Q. 英検は3級を持っていれば私立高校の確約で必ず有利になりますか?
A. 志望校の偏差値帯によります。偏差値55前後までの中堅校では加点対象になりやすい一方、上位校では準2級以上を求められることが多く、3級だけでは加点対象にならない場合もあります。
Q. 漢検と英検、両方取ったほうがいいですか?
A. 加点を認めている学校では、両方の証明書を提示することで加点が積み上がるケースもあります。ただし学校ごとに扱いが異なるため、志望校での確認が前提になります。
Q. 数検も同じように加点されますか?
A. 数検を加点対象とする学校もありますが、この記事では英検・漢検に絞って解説しています。志望校が数検も評価しているかどうかは、個別相談会で別途確認することをおすすめします。
Q. 英検の従来型の試験に間に合わなかった場合、どうすればいいですか?
A. 原則毎週実施されている「英検S-CBT」であれば、従来型と同じ級・資格・CSEスコアを取得でき、受験機会を増やすことができます。日程に不安がある場合は活用を検討しましょう。
Q. 2025年の実態調査で確約制度自体がなくなる可能性はありますか?
A. 2025年の調査・改善要請は、主に特待生・奨学金の判定における業者テストの使用に関するものであり、通常の確約制度そのものが直ちになくなるわけではありません。ただし、業者テストの利用をめぐる県の監視は今後も続くとみられるため、令和9年入試に向けても最新の運用を個別相談会で確認することが重要です。
まとめ
英検・漢検は、埼玉県内の私立高校の確約制度において「使えば有利になる可能性のあるカード」であることは間違いありません。
しかし、その効果は志望校の偏差値帯や単願・併願の別によって大きく変わります。「取っておけば安心」という一律の答えは存在しないのです。
大切なのは次の2つです。
- 目標級を早めに定め、S-CBTなども活用しながら余裕を持って取得すること
- 個別相談会で志望校ごとの加点基準を具体的に確認すること
この記事が、令和9年入試に向けた検定対策の計画づくりの参考になれば幸いです。






