「英検を持っていると、私立高校の確約が取りやすくなるって聞いたけど本当?」
「漢検も同じように使えるの? 3級を取れば安心?」
秋の個別相談会が近づくと、こうした疑問が出てきます。検定の申し込みに北辰テスト、相談会の予約と、やることが一気に重なる時期ですよね。この記事では、英検・漢検の扱いを整理します。
結論から言うと、英検・漢検が確約の判断材料に加わる私立高校はありますが、「何級から」「どれだけ」は学校ごとに違い、公表されていないことも多いため、志望校に直接確かめるのが唯一の確実な方法です。
「3級を取れば安心」とも、「検定は関係ない」とも言い切れません。この記事では、次の3点をお伝えします。
- 英検・漢検が確約の判断にどう関わりうるのか
- 志望校に何をどう質問すれば、検定が使えるかどうかわかるのか
- 令和9年(2027年)入試に向けて、いつまでに何を準備するのか
そもそも「確約」とは何か
「確約」は、埼玉県教育委員会が定めた公式の制度名ではありません。私立高校が秋の個別相談会などで、北辰テストの偏差値と内申点をもとに「この成績なら安心して受験してください」と伝える、事実上の合格の見通しを指す通称です。
学校側は「確約」という言葉を避け、「安心して受験できる状況です」といった表現を使うことが一般的です。保護者や生徒のあいだでは、この呼び方が定着しています。
判定の組み立て方は学校ごとに違います。よくあるのは、次のような要素の組み合わせです。
- 北辰テストの偏差値(何回分を見るか、最高点か平均か)
- 中学校の内申点(9教科の合計や、5教科の数字など)
- 単願か併願か
- 欠席日数や提出物などの学校生活の状況
この組み立ては、公開されている学校もあれば、相談会で個別に伝えられる学校もあります。まず「基準そのものが学校ごとに違う」という前提を押さえておくと、検定の話も理解しやすくなります。
基準の一覧は、こちらの記事にまとめています。
→ 内申・北辰の確約基準一覧【2027年入試】埼玉私立の学校別
英検・漢検は確約の判断材料になるのか
答えは「学校によって違う」です。
私立高校の中には、英検や漢検などの取得級を、入試の優遇や相談会での評価の材料として挙げている学校があります。一方で、検定をまったく見ない学校や、コースによって扱いが違う学校もあります。
ここで気をつけたいのは、「何級なら何点加わる」という数字を、インターネット上の一般論で決めつけないことです。加点の有無も幅も、学校が公表していなければ外からは確かめられません。この記事でも「一般的には〇点」と書くことはできません。
検定の扱いは、おおまかに次の3つのどれかに分かれます。
募集要項や説明会資料に書いてある学校
出願条件や優遇制度として、英検・漢検の級を明記している学校です。この場合は、公式の資料で「何級以上が対象か」「単願・併願のどちらが対象か」を、そのまま確認できます。
相談会で個別に説明される学校
資料には載っておらず、個別相談会で「検定を持っていれば申し出てください」と案内される学校です。持っていることを伝えなければ評価の対象にならない可能性もあるため、合格証明書のコピーなどを持参するとよいでしょう。
特に評価に使わない学校
検定の級を判断材料にしない学校もあります。この場合、検定の勉強が無駄になるわけではありませんが、確約のためだけに急いで取る必要は薄くなります。
志望校がどれに当たるかは、募集要項を読み、それでも書かれていなければ問い合わせて確かめます。ここを飛ばして検定の計画を立てると、せっかく取った級が使えなかった、ということが起こりえます。
志望校のレベルと「使える級」の考え方
検定を優遇に使う学校でも、求める級は学校ごとに違い、公表されていないことも多くあります。級の目安を一般論で決めつけず、志望校の資料で確かめることが大切です。
つまり、「3級を持っているから有利」と一律には言えません。志望校の対象が準2級以上なら、3級だけでは優遇の対象にならないこともあります。逆に、3級から対象になる学校で準2級を目指すのは、確約のためだけに見れば過剰かもしれません。
志望校が「学校選択問題」を使う公立上位校などの場合は、英検準2級以上が学力の目安として話題になることがあります。公立入試での検定の位置づけは、次の記事で整理しています。
→ 英検準2級は公立受験の加点にならない?令和9年度入試の変更点
級を取っても、持参と質問が必要になる
合格証明書を家に置いたまま個別相談会に行くと、北辰の偏差値と内申点の話が中心になり、検定の話が出ないまま終わることがあります。志望校の資料に検定は「申し出があった場合に参考にする」と書かれているなら、証明書の持参と質問の両方が必要です。取った級を使うには、持っていることを自分から伝えるところから始まります。
志望校に確かめる3つの質問
検定が使えるかどうかは、次の3つを聞けばほぼわかります。相談会の場でも、電話や問い合わせフォームでも構いません。
1. 英検・漢検は、判断の材料になりますか
最初に聞くのは、これだけです。「加点」と決めつけた言い方をせず、「合否や相談会での評価に関係しますか」と、広く聞くと答えてもらいやすくなります。
2. 何級以上が対象ですか。単願・併願で違いますか
対象になる級と、単願・併願の別を確かめます。同じ級でも、単願のほうが扱いが手厚い学校もあれば、併願でも変わらない学校もあります。
3. 証明書はいつまでに、どう提出しますか
合格証明書のコピーで足りるのか、原本が必要か、提出の期限はいつかを確かめます。出願の直前に気づいても、検定は急には取れません。早めに聞いておけば、受検のタイミングを逆算できます。
質問のときは、「検定を取れば確約をもらえますか」と聞くのではなく、「いまの成績と持っている検定で、どのような扱いになりますか」と事実を示して聞くと、学校も具体的に答えやすくなります。個別相談は、学校の基準を確かめ、正直に相談する場です。
相談会に親だけで行く場合の注意点は、こちらにまとめています。
英検のCSEスコアと、漢検の扱い
英検は「級」とは別にCSEスコアがある
英検には、合否とは別に「CSEスコア」という総合の得点が出ます。学校によっては、級の合否だけでなく、スコアを参考にすることがあるかもしれません。ただし、どの学校がどう扱うかは公表されていないことが多く、これも個別に確認するしかありません。
確認のしかたは簡単で、先ほどの質問に「級だけを見ますか、スコアも見ますか」を足すだけです。
漢検は、国語の力を示す材料になりうる
漢検も、国語の力を客観的に示す資料として扱う学校があります。英検とあわせて証明書を持参すると、取り組みの幅が伝わるかもしれません。ただし、これも学校ごとに扱いが違います。英検ほど話題にならないぶん、聞かなければ説明されない可能性もあります。
数検(数学検定)を評価に使う学校もあるため、気になる場合は同じように確認してください。
確約に使えなくても、取得が無駄になるわけではない
志望校の対象に届かない級だったとしても、検定の勉強で身につけた語彙力や読解力は、高校の授業や大学受験の基礎になります。この記事で扱っているのは、あくまで「確約の判断材料になるか」という限られた視点です。
とはいえ、検定対策と北辰テスト、定期テストが同じ時期に重なると、家庭だけで管理するのは負担が大きくなります。確約に向けて北辰の点数を優先したいのか、検定を優先したいのかを、残りの期間で整理しておくと、迷いが減ります。
2025年の県の調査と、令和9年入試で気をつけること
確約の話をするうえで、知っておきたい動きがあります。2025年、埼玉県は県内の私立高校を対象に、業者テスト(北辰テストなど)の使い方を調べました。報道によると、調査の対象は県内55校の59課程で、特待生の候補者などを選ぶ際に業者テストの結果を使っていた課程が9あり、県は個別に改善を求めたと伝えられています。
この調査で報じられたのは、主に特待生の選び方でした。個別相談会で伝えられる「確約」そのものが、一度にすべてなくなったという話ではありません。ただし、業者テストの使い方への関心が高まっているのは事実で、学校の説明のしかたが年度によって変わる可能性は十分にあります。
そのため、令和9年入試では、次のことを心がけてください。
- 前年度の体験談や去年の基準をそのまま信じず、今年度の資料と説明で確かめる
- 検定の扱いも、年度が変わると変わりうると考えて、毎年確認する
- 口頭の説明だけでなく、募集要項や配布資料に書かれている内容を優先する
調査の報道は、次のページで確認できます。
制度の運用は、県の発表や各校の公式サイトで確かめてください。併願確約をめぐる状況と、保護者が気をつけたい点は、こちらの記事にまとめています。
検定はいつ取る?受検の計画の立て方
個別相談会は秋から冬にかけて集中します。検定を使いたいなら、相談会や出願の時期から逆算して、いつまでに合格証明書をそろえるかを決めておきます。
英検の従来型とS-CBTを使い分ける
英検の従来型は年に3回行われます。2026年度は、第2回の一次試験が10月4日、第3回の一次試験が2027年1月24日と案内されています(申込期間などの詳細は、日本英語検定協会の公式サイトで必ず確認してください)。
従来型の日程に間に合わない場合は、コンピューターで受検する「英検S-CBT」という方式もあります。S-CBTは複数の日程が設けられていて、従来型と同じ級・資格が取得できるとされています。日程と会場は、公式サイトで確認してください。
漢検は、日程の公式案内を確認する
漢検にも、年に複数回の検定日があります。申込期限は早めに来ることが多いため、受けたい時期の1〜2か月前には、日本漢字能力検定協会の公式サイトで日程を確認しておきましょう。
中3の秋からでも、まだ間に合うことはある
すでに秋の時期に入っていても、第3回や、S-CBTの日程を使える場合があります。ただし、北辰テストや期末テストの勉強とぶつかります。検定に使える時間と、北辰・内申に使える時間のバランスを、子どもと一緒に決めておくと安心です。
確約の判断で一番大きいのは、検定よりも北辰の偏差値と内申点であることが多いと考えられます(学校ごとの公式な比率ではありません)。検定の勉強で北辰や内申の勉強時間が削られるなら、順番を見直す価値があります。
北辰の偏差値が基準にあと少し届かない場合の考え方は、こちらの記事が参考になります。
よくある質問
Q. 英検3級を持っていれば、確約で必ず有利になりますか?
A. 必ずとは言えません。検定を判断材料にする学校でも、対象となる級は学校によって違います。志望校が何級を対象にしているかを、資料や問い合わせで確かめてください。
Q. 漢検と英検、両方取ったほうがいいですか?
A. 学校によります。両方を評価する学校もあれば、どちらか一方だけの学校もあります。まず志望校の扱いを確かめてから決めると、時間のむだがありません。
Q. 英検の従来型に間に合わなかったら、どうすればいいですか?
A. 英検S-CBTという受検方式があります。日程や会場は公式サイトで確認し、志望校が提出を求める期限に間に合うかを逆算してください。
Q. 県の調査で、確約はなくなりますか?
A. 2025年の調査で報じられたのは、主に特待生などの選び方でした。確約そのものがなくなったという公式の発表は出ていません。ただし、運用が変わる可能性はあるため、今年度の説明を個別に確認してください。
検定の対策と北辰の対策を並行する時期は、あと何を足せば間に合うのか、判断が難しくなります。年が明けると、1月24日の英検第3回(一次試験・本会場)や、私立の入試が近づき、残りの期間は短くなります。優先順位に迷う場合は、先に志望校の募集要項で検定の扱いを確かめておくと、判断しやすくなります。
まとめ:検定は「取る前に」志望校に確かめる
英検・漢検は、確約の判断材料になる学校がある一方で、扱いは学校ごとに違います。要点を振り返ります。
- 確約は公式の制度名ではなく、基準も扱いも学校ごとに違う
- 検定の対象級や評価のしかたは、公表されていない場合も多く、志望校への確認が前提になる
- 確かめるのは、判断材料になるか、何級以上か、証明書の提出方法の3つ
- 英検は従来型とS-CBTを使い分け、日程は公式サイトで確認する
- 確約の判断では、北辰と内申のバランスを見て、検定の優先順位を決める
親ができる次の一歩は、志望校の募集要項と説明会資料を開き、検定の記載があるかを調べることです。書かれていなければ、次の相談会か問い合わせで、3つの質問を聞いてみてください。
この記事で確認した資料
- 埼玉新聞「特待生の選出巡り9課程で業者テスト使用 埼玉県内の私立高校」(2025年、確認日2026年11月4日)
- 日本英語検定協会(英検)公式サイト(受検日程・申込は公式で確認)






