英検準2級は埼玉の公立受験に有利?それとも時間の無駄?

「英検準2級を取らせたほうがいいんでしょうか。それとも、その時間があるなら5教科をやらせたほうがいいんでしょうか」

保護者から頻繁に受ける質問です。

塾や情報サイトを見れば「英検は有利」と書いてあるし、一方で「結局は内申点と学力検査がすべて」という意見もある。

結論から言ってしまうと、今の埼玉家県の中学生にとって、公立入試における英検の加点は「消滅」しました。しかし、だからといって「時間の無駄」と切り捨てるのは早計です。

今日は、埼玉県の公立高校入試という枠に絞って、英検準2級が実際にどう効くのか、どこまでが本当でどこからが「気休め」なのかを、できるだけ具体的に整理していきます。

結論:公立入試の「英検加点」は、今の中学生全員から消えた

先に、大事な事実からお伝えします。

「英検準2級を持っていると埼玉県公立高校入試の調査書で加点される」という話は、これから受験を迎える今の中学生には、実はもう当てはまりません。学年を問わず、です。

埼玉県公立高校入試は「令和◯年度入試」という名前で呼ばれますが、これは入学する年度を指す呼び方で、実際の学力検査は前年の2月に行われます。

直近の令和8年度(2026年度)入試の学力検査は、すでに2026年2月26日に実施済みです。対象だったのは当時中学3年生だった学年、つまり今は高校1年生になっている世代です。

今の中学3年生が受けるのは令和9年度(2027年度)入試で、学力検査は2027年2月25日に予定されています。この令和9年度入試から、調査書における資格の加点がなくなります。

つまり今の中学3年生も、中学2年生も、中学1年生も、全員がこの新しい制度の対象です。

令和9年度からの入試制度、何が変わったのか

従来(令和8年度入試まで)と新制度(令和9年度入試から)の違いを、ポイントごとに並べてみます。

資格・特別活動の扱い

  • 従来:調査書の「その他の項目」で、英検・漢検・数検などの資格が得点化されていた
  • 新制度:資格・特別活動の記載自体が調査書から消え、加点の仕組みがなくなる

調査書に記載される内容

  • 従来:9教科の評定+特別活動等の記録+その他の項目(資格等)+出欠の記録
  • 新制度:9教科の評定(内申点)+総合的な学習の時間の記録の、2項目のみ

面接

  • 従来:実施するかどうかは学校ごとに任意だった
  • 新制度:全受験生に実施が義務化され、30点または60点満点で得点化される

自己評価資料

  • 従来:制度として存在しなかった
  • 新制度:全受験生が提出。部活動や資格取得などの活動を自分の言葉で書く欄があり、面接の補助資料として使われる(この資料自体は得点化されない)

学力検査

  • 従来:記述式中心
  • 新制度:マークシート方式と記述式を組み合わせた形式に変更

各高校ごとの詳細な選抜内容は、令和8年5月29日付で確定版が埼玉県教育委員会から公表されています。志望校の分は必ず一次情報で確認してください。

しかし「無駄」ではない、本音の理由

ここまで読むと「じゃあ英検はもう受験に関係ない」と思われるかもしれません。でも私はそうは考えていません。理由は2つあります。

理由1:私立の「確約」では、今も絶大な効力を持っている

埼玉県の高校受験で、保護者にとって最大の安心材料になっているのが、私立高校の確約(併願確約)です。

これは公立高校の入試制度とは別の、私立高校ごとの独自制度です。今回説明した公立入試の制度変更の影響は一切受けません。

私立の確約では、内申点や北辰テストの偏差値が基準にわずかに届かない受験生に対して、英検3級・準2級の取得を加点要素として認めている学校が少なくありません。

つまり、公立入試の資格加点という文脈では役目を終えつつある英検準2級も、私立併願校の確約という文脈では、今も現役でカードとして使える可能性があるということです。

私立併願校を検討している場合は、確約基準の中に英検の扱いがあるかどうかを、志望校ごとに個別に確認しておくことを強くおすすめします。

理由2:公立本番の「長文読解」の基礎体力になる

そしてもう一つ、公立入試一本で勝負する生徒にとっても、英検対策は決して無駄になりません。

埼玉県公立入試の英語は長文読解の比重が大きく、英検準2級レベルの語彙力・読解力があると、本番の英語の文章を読むスピードと正確さに明確な差が出ます。

英検の対策に使った時間は、たとえ合格に届かなくても消えてなくなるわけではなく、5教科の英語の得点力として残ります。

これは新しい制度になっても変わりません。資格そのものの加点がなくなった今は、英検準2級を目指す価値の重心が、加点狙いから英語の基礎体力づくりへと完全に移ったと考えたほうが実態に近いと思います。

なお、新制度で導入される自己評価資料や面接の「My Voice」で、英検に挑戦した経緯を語れる材料になるのは事実です。ただし正直に言うと、2分程度の自己PRのネタ作りだけを目的に、検定料と数十〜数百時間をかけるのはコストパフォーマンスが見合いません。あくまで「私立の確約」と「公立本番の英語力の底上げ」が主目的で、自己PRの材料になるのはその副産物、くらいに捉えておくのが実態に近いと思います。

現実的なコスト:時間とお金のリアル

英検準2級に挑戦するかどうかを判断するには、実際にどれくらいの時間とお金がかかるのかを知っておく必要があります。

必要な勉強時間と合格率

英検協会は2016年以降、合格率を公式には発表していません。それ以前の公開データをもとにした推測値として、一次試験の合格率はおよそ25〜35%、二次試験(面接)の合格率はおよそ80%前後というのが、複数の受験情報サイトで共通して語られている水準です。中学生に限ると、一次試験の合格率はやや低めになる傾向があるとされています。

必要な学習時間についても、情報源によって幅があります。

  • すでに英検3級に合格しているレベルからのスタートであれば、数十時間程度で届くという試算
  • ゼロに近い状態からのスタートであれば、150〜200時間程度を見込む試算

中1の段階で英検3級レベルの基礎ができていれば、準2級はその延長線上で十分に狙えます。逆にゼロから積み上げる場合は、相応の時間がかかると見ておいたほうがいいでしょう。

なお2025年度からは、準2級と2級の間を橋渡しする「英検準2級プラス」という級も新設されています。

検定料はいくらかかるのか

地味に見落とされがちですが、これは受験のたびにかかります。不合格が続けば、その分だけ数万円が単純に飛んでいきます。

日本英語検定協会が公表している2026年度の検定料(税込)は、準2級の場合、本会場受験で8,400円、準会場(学校や塾経由)で6,000円です。

参考までに、3級は本会場6,800円・準会場4,900円、2級は本会場9,000円・準会場6,800円となっています。

一次試験に不合格だった場合、当然ながら次回の受験でも同額がかかります。二次試験(面接)のみを再受験する場合も、一次試験免除者として同額の検定料が必要です。

2回、3回と受け直すことを見込むなら、対策塾や教材の費用とは別に、検定料だけで1万数千円から2万円台になり得るということは、あらかじめ覚悟しておいたほうがいいと思います。

中3の夏、英検に賭けるか、5教科に絞るか

ちょうど今の時期、中3のお子さんを持つ保護者の方にとって一番切実なのは、ここだと思います。

夏休みという限られた時間を、英検準2級の対策に割くべきか、それとも5教科の総復習に全振りすべきか。

私が実際の指導で目安にしているのは、次のような基準です(これは統計データではなく、あくまで私自身の指導経験に基づく目安です)。

  • すでに英検3級を持っている、または直近の北辰テストで英語の偏差値が50台後半以上出ている場合は、夏から準2級に挑戦する体力は十分にあると判断しています
  • 英語がまだ3級レベルに届いておらず、5教科全体の偏差値も伸び悩んでいる場合は、英検よりも5教科の総復習を優先するようすすめています
  • 「英検の勉強に月20時間以上使っても、他の教科の模試の偏差値が落ちないかどうか」を、夏休み中に一度自己点検してみることをおすすめします。もし他教科に響いているようなら、その時点で潔く英検から手を引く判断も必要です

英語が得意で基礎ができている生徒にとっては、夏から挑戦して10月の回で合格を狙うのは十分に現実的です。一方で英語に不安を抱えたまま中3の夏から準2級を目指すのは、正直、時間対効果が良いとは言えません。

それでも気になる方へ:かつての「資格加点」の仕組み

なぜ「英検は公立入試で有利」という情報が今でもよく聞かれるのか、その背景を簡単に触れておきます。

令和8年度入試までの仕組みでは、調査書は「学習の記録の得点」「特別活動等の記録の得点」「その他の項目の得点」の3つで構成されていて、英検・漢検・数検といった外部資格は「その他の項目」で評価されるのが一般的でした。

例えば令和8年度入試の県立浦和高校の選抜基準では、「その他の項目」の中に取得資格等の欄があり、漢字検定2級以上・英語検定2級以上・数学検定準1級以上・TOEFL iBT50点以上・TOEIC550点以上といった基準が示されていました。最上位校になるほど、求められる級も高くなる傾向があったということです。

上尾高校のケースでは、令和8年度入試から調査書の記入欄が変更され、部活動の実績の記載場所が「特別活動等の記録」から「その他の項目」へ移り、それに伴って配点も組み替えられていました。

塾の情報サイトでは、英検3級は偏差値55前後までの中堅校、準2級は55〜65程度の中上位校、2級は65以上の最上位校で加点対象になりやすい、という目安がよく紹介されていました(特定の塾が独自に整理した目安であり、埼玉県教育委員会の公式発表ではありません)。

私が指導していた生徒の中にも、内申点がボーダーぎりぎりで、その他の項目の得点が精神的な支えになったケースはありました。ただしこれはあくまで私自身の指導経験に基づく実感であり、統計データではありません。

これらはすべて過去の制度の話です。今の中学生にそのまま当てはまるものではありませんが、なぜ「英検は有利」という話が保護者の間で広まっているのか、その背景として押さえておいてください。

よくある質問

Q. うちの子はもう英検を取っても意味がない?

公立入試の調査書で直接加点される、という意味での効果はなくなります。ただし私立併願校の確約で使える可能性があること、英語の基礎力そのものが学力検査の得点に直結することから、「意味がない」とまでは言えません。狙いを資格加点から、私立確約と英語力そのものへ切り替えて考えるのがおすすめです。

Q. 二次試験(面接)で落ちたらどうなる?

一次試験の合格は1年間有効で、二次試験だけを再受験できます。ただし検定料は毎回同額かかる点は覚えておいてください。

Q. 私立の確約でも準2級は使える?

学校によります。内申点や北辰テストの偏差値が確約基準にわずかに届かない場合の補完材料として、英検3級・準2級を認めている私立高校は少なくありません。ただしこれは公立入試とは別の制度なので、私立併願校ごとに確認が必要です。

まとめ

英検準2級が埼玉県公立高校入試の調査書で直接加点される、という仕組みは、令和9年度入試を境に、今の中学生全員にとって過去のものになりました。

だからといって、準2級を目指すこと自体が「時間の無駄」だとは考えていません。

私立併願校の確約という、埼玉県特有の制度の中では今も現役のカードであること。そして英検対策そのものが、公立本番の英語の基礎体力づくりに直結すること。この2つが、今も英検準2級に挑戦する意味だと思います。

「加点のために取る」から、「私立の確約カードと、英語力そのものを取りに行く」へ。英検準2級との向き合い方を、今の入試制度に合わせて切り替えていただければと思います。

「よし、5教科の勉強と並行して英検も狙ってみよう」と決断された方へ。限られた時間の中で両立を目指すなら、5教科の対策と英検対策のバランスを一緒に組み立ててくれる指導者がいると、かなり心強いはずです。

家庭教師であれば、志望校対策の合間に英検対策をどれくらい組み込むか、お子さんの状況に合わせて相談しながら進めることができます。気になる方は家庭教師の合格王など、埼玉県の高校受験に強い家庭教師の無料相談・無料体験から検討してみてください。