【元塾講師暴露】埼玉の塾で伸びない子はどう扱われるか

こんにちは、あおばです。

埼玉県内の大手学習塾で10年間、高校受験の指導をしてきました。この記事では、塾の内部で実際に交わされていた「成績が上がらない生徒」に対する本音、そしてその生徒や保護者が塾からどう扱われがちなのかを、できる限り具体的に、そして深く掘り下げて書いていきます。

正直、これは大手塾の広報が絶対に公にしない話です。読んで気分がいい内容ではないかもしれませんが、知っておくことでお子さんが「都合よく扱われる側」に回るのを防げると思い、書くことにしました。

塾の中で生徒は「見えないランク付け」をされている

塾という組織は、慈善事業ではなくビジネスです。教室長や講師は、担当する生徒一人ひとりについて、面談前や講師会議のたびに状況を共有します。そのとき現場で交わされる会話は、表向きの「頑張りましょう」とはまったく別の視点を含んでいます。

具体的には、講師の頭の中で生徒は大きく次のように分類されがちです。

  • 伸びる生徒(合格実績になる生徒):もともと素養があり、少しの指導で成績が上がる。塾のパンフレットに「合格体験記」として載る候補。
  • 伸び悩んでいる生徒(テコ入れ対象):本人にやる気はあるが結果が出ていない。ここが一番、追加講座やオプション教材を提案される対象になりやすい層です。
  • 正直、厳しい生徒(現状維持でいいと判断される生徒):講師側が「これ以上は本人の努力量次第」と半ば見切りをつけつつも、退塾されると困るので通常授業だけは丁寧に続ける、という扱いになることがあります。

この3つ目の層に分類された瞬間、教室側の熱量は明らかに落ちます。これは講師が冷たい人間だからではなく、限られた時間の中で「合格実績に直結しやすい生徒」に指導リソースを割く、という組織の構造上どうしても起きてしまう力学です。塾も人手と時間が有限である以上、ある程度は仕方のない側面もあります。

問題は、保護者にはこの「ランク付け」が一切共有されないという点です。三者面談で語られる言葉は、どの生徒に対しても「頑張っていますよ」「伸びしろがあります」というポジティブな表現に均されてしまいます。

講師会議で実際に交わされる会話のリアル

もう少し具体的に、教室の裏側で何が起きているかをお話しします。

多くの大手塾では、月に1〜2回、あるいは季節講習前に「生徒状況共有会議」のような場が設けられます。ここで話されるのは、成績の推移だけではありません。「この生徒はあとどれくらいの投資(=追加受講)で結果を出せそうか」「保護者はどれくらい教育費に前向きか」といった、いわば営業的な視点も同時に共有されます。

これは決して特別な塾だけの話ではなく、多くの大手塾が拠点数を拡大し、企業として利益目標を持つようになった結果、現場レベルにまでこうした管理指標が浸透してきた、というのが私の実感です。

会議で「伸び悩んでいる」と報告された生徒に対して次に検討されるのは、たいてい次の3パターンのいずれかです。

  1. 担当講師を変える(相性の問題として処理する)
  2. 座席やクラスを移動する(本人のやる気の問題として処理する)
  3. 追加講座を提案する(時間・演習量の問題として処理する)

ここで見落とされがちなのが、「そもそも学習方法や理解の順序自体に問題があるのではないか」という、根本原因への踏み込みです。これは個別の分析に時間がかかるため、集団授業を主軸とする塾では後回しにされやすい選択肢です。結果として、表面的な対処(担当変更・クラス移動・増コマ)が先に提案される構造になりがちです。

「伸び悩んでいる生徒」ほど、実はオプション講座を勧められやすい

ここが今回いちばん伝えたいポイントです。

成績が思うように伸びない生徒に対して塾がまず提案しやすいのは、「授業の質を見直す」ことではなく、「授業のコマ数を増やす」ことです。単価が上がる講座、季節講習のオプション、追加の個別フォローなどが、成績不振の相談をした直後の面談で提示されるケースは珍しくありません。

もちろん、本当に演習量が足りていないケースもあります。しかし現場にいた立場から言うと、「なぜ伸びていないのか」の原因分析(授業についていけていないのか、家庭学習の習慣がないのか、そもそも単元の基礎が抜けているのか)を丁寧に行う前に、まず「増コマ」の提案が先に来てしまう場面を何度も見てきました。原因を特定せずに時間だけ増やしても、成績は簡単には上がりません。むしろ生徒が疲弊し、家庭学習の時間まで奪われて逆効果になることさえあります。

なぜ夏期講習・冬期講習・正月特訓のタイミングが狙われやすいのか

季節講習は、通常授業とは別料金で組まれることがほとんどです。そして季節講習前の面談は、模試の結果が出た直後に設定されることが多く、成績不振への不安が一番高まっているタイミングと重なります。

このタイミングで「このままでは志望校に届きません」「今この講座を取っておかないと間に合いません」という言葉が出てきたら、一度立ち止まってほしいと思います。それが本当にお子さんの弱点分析に基づいた提案なのか、それとも季節講習という繁忙期の売上目標に基づいた提案なのか、冷静に見極める必要があります。

不安な気持ちのときほど、「増やせば安心」という提案は魅力的に見えてしまいます。ですが、面談で講座を勧められたら、その場でサインする前に一度、「なぜその講座が必要なのか」「今の成績不振の原因は具体的に何か」を、できれば数値やテスト結果の根拠つきで説明してもらうことをおすすめします。それに答えられない提案は、正直、疑ってかかっていいと思います。

北辰テストの偏差値が、塾内での「本気度」の境界線になっている現実

埼玉の高校受験特有の事情として、北辰テストの偏差値が塾内での生徒の扱いに直結しやすいという実態があります。

というのも、埼玉の私立高校の多くは北辰偏差値をベースにした「確約」の仕組みを持っており、塾側からすると「この生徒はどのラインの高校に確約が取れそうか」が、指導の優先順位を左右する現実的な指標になってしまうからです。

参考までに、北辰テストの偏差値帯で見ると、埼玉県内の高校のレベル感はおおよそ次のようになります。

  • 偏差値70前後:大宮高校(理数72、普通70)、県立浦和高校(普通70)など、県内最難関層
  • 偏差値65〜69:浦和第一女子高校(69)、市立浦和高校(68)、県立川越高校(67)、春日部高校・越谷北高校(理数、66)など、難関上位校
  • 偏差値60〜64:不動岡高校、越谷北高校(普通)、大宮北高校(理数)など上位校
  • 偏差値55〜59:所沢高校、熊谷女子高校、伊奈学園総合高校などの中上位校
  • 偏差値50〜54:草加高校、朝霞高校、大宮光陵高校(普通)など中位校
  • 偏差値45〜49:桶川高校、坂戸西高校など中位〜中堅校

このライン、特に偏差値50〜55あたりを境に、塾側の「熱の入れ方」が変わる印象を正直に持っています。上位校を狙えるボーダー付近の生徒には、講師も個別のフォローや過去問対策など手厚く時間を割きやすい一方、中堅校あたりで「確約が固い」と判断されると、それ以上の追い込みの優先度は下がりがちです。これは塾にとって「合格実績」として目立ちにくい層だからです。

「合格実績になる生徒」と「ならない生徒」の分かれ目

塾のパンフレットや広告に載る「合格実績」は、基本的に難関校・上位校への合格者数です。偏差値60を超えるあたりの高校、たとえば不動岡高校や越谷北高校、大宮北高校のような上位校への合格は、塾にとって広告的な価値が高いため、講師の力の入れ方も自然と強くなります。

一方で、偏差値40〜50台の中堅校圏内で「確約がほぼ固い」と判断された生徒は、悪く言えば「もうこれ以上、緊急に手をかけなくても合格ライン上にいる」と見なされ、優先順位が下がることがあります。これは冷たい話に聞こえるかもしれませんが、限られた講師の稼働時間を、より「危うい」生徒や「実績になる」生徒に振り分けるという、組織としては合理的な判断の結果でもあるのです。

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自分の子どもが今どのあたりの偏差値帯にいて、県内でどの位置にいるのかを客観的な数字で把握しておくことは、塾に言われるがままにならないための第一歩になります。県内の高校の偏差値を北辰テストのデータをもとに一覧で整理していますので、お子さんの現在地を確認する際にはあわせてご覧ください。

埼玉県公立高校偏差値ランキング【2026年度北辰テスト】

「伸びない」の中身を分解する:3つのタイプ

一口に「成績が伸びない」と言っても、現場で見てきた限り、その中身は大きく3タイプに分かれます。塾側がこの分解をきちんと行っているかどうかは、その塾・その講師の指導力を見極める一つの目安になります。

タイプ1:基礎の穴が原因(積み残し型)

数学であれば中1・中2の計算や図形の基礎、英語であれば文法の基本文型など、過去の単元でつまずいたまま放置され、今の学習内容が積み上がっていないケース。このタイプは、今の学年の内容をいくら追加で演習しても、根本的には解決しません。過去に遡った復習が必要ですが、これは集団授業のカリキュラムでは基本的に扱われないため、見過ごされやすいポイントです。

タイプ2:処理速度・演習量が原因(時間不足型)

理解はできているが、テスト本番で時間内に解ききれない、あるいは単純に演習量が絶対的に不足しているケース。このタイプは、確かに追加の演習講座が有効な場合があります。ただし「何を」「どれくらい」演習するかが的確に設計されていないと、ただ疲弊するだけで終わってしまいます。

タイプ3:本人のモチベーション・生活習慣が原因(土台型)

学習内容以前に、家庭学習の習慣がついていない、スマホやゲームとの付き合い方が定まっていない、睡眠時間が不安定といった、学習の土台となる生活面に課題があるケース。このタイプに追加講座を提案しても、通う時間だけが増えて根本の習慣は変わらず、むしろ疲労が蓄積して逆効果になることが少なくありません。

塾が「伸びない」と判断したときに、このどのタイプに該当するのかを具体的に説明できない場合、その面談で提案される対策は的を外している可能性が高いと考えたほうがよいでしょう。

内申点との関係で見えてくる、もう一つの本音

埼玉県公立高校入試の合否は、本番の学力検査の得点と、内申点(調査書点)の組み合わせで決まります。北辰テストはあくまで民間の模試であり、公立入試の合否判定に直接使われるわけではありませんが、本番の学力検査でどれくらい得点できそうかを測る現実的な目安として、多くの塾や生徒が北辰偏差値を指標にしています。

そのため塾の中では、「北辰偏差値(本番レベルの得点力の目安)は高いのに内申点が伸びない生徒」と、「内申点は悪くないのに北辰偏差値が伸びない生徒」とで、指導の方向性が変わってくることがあります。

前者の場合、講師が生徒本人よりも「学校の提出物や定期テストへの取り組み方」に口を出すことがあります。これは、内申点は公立入試の合否に直結する一方で、塾が直接コントロールできない領域だからこそ、講師としてもどかしさを感じやすいポイントだからです。

後者の場合、逆に模試の演習量や解法パターンの定着に指導の比重が置かれやすくなります。

いずれにしても、「なぜ伸びないのか」を北辰偏差値の側面だけで語る塾は、内申点という埼玉の公立入試のもう一つの柱を見落としている可能性があります。

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私立高校の確約は、この北辰偏差値と内申点の組み合わせで判定される、埼玉特有の複雑な仕組みになっています。こちらについても別記事で詳しくまとめていますので、あわせてご確認ください。

内申・北辰の確約基準一覧【埼玉県私立高校入試】

「成績が上がらない」と判断されたときに、家庭でできること

塾側の内部事情を知ったうえで、保護者としてできることは大きく4つあると考えています。

1. 「伸びない原因」を、タイプ別に言語化してもらう

「頑張りましょう」「もう少しです」で終わらせず、先ほどの3タイプ(積み残し型・時間不足型・土台型)のどれに該当するのか、テストの答案や成績データをもとに具体的に説明してもらいましょう。原因が言語化できない指導は、その先の対策も曖昧になりがちです。

2. 増コマの提案には「根拠」と「期間」を求める

前述の通り、成績不振の相談の後に出てくる追加講座の提案は、必ずしも悪いものばかりではありません。ただし、「なぜその科目・その形式の講座が必要なのか」「いつまでにどんな状態になっていれば効果があったと言えるのか」を、本人の弱点分析とセットで説明できない提案は、一度立ち止まって検討する価値があります。効果測定の期限を決めずに始める追加講座は、ずるずると継続されやすい傾向があります。

3. 北辰偏差値と内申点、両方の推移を自分の手元で記録する

塾からの報告を待つだけでなく、模試の結果や通知表の内申点を、家庭でも時系列に記録しておくことをおすすめします。数字の推移を客観的に把握していれば、塾の説明が実態と合っているかどうかを自分で判断できるようになります。

4. 塾以外の選択肢も並行して検討する

大手塾の集団授業は、ある一定より上の学力層や、自走できる生徒には非常に効率的な仕組みです。一方で、「なぜ伸びないのか」の原因が積み残し型や土台型のように個人特有のつまずきにある場合、集団授業のペースでは根本的な解決に至らないことも少なくありません。

こうしたケースでは、地域の入試制度に精通し、一人ひとりの弱点に合わせて指導してもらえる家庭教師のような形式のほうが、遠回りに見えて実は近道になることがあります。特に埼玉県は北辰テストや確約制度など特殊な入試事情が絡むため、その事情に詳しい指導者に見てもらえるかどうかは、実は成績以上に重要なポイントだったりします。

まとめ:塾の「本音」を知ることが、無駄な出費と時間のロスを防ぐ

塾は決して悪意を持って生徒をランク付けしているわけではありません。ただ、組織である以上、限られたリソースをどこに割くかという判断が常に働いており、その判断の中で「伸び悩んでいる生徒」への向き合い方には、どうしても濃淡が出てしまう。これが10年間、現場で見てきた率直な実感です。

大切なのは、その構造を知ったうえで、「塾に任せきりにしない」という姿勢を持つことです。伸び悩みの原因をタイプ別に言語化してもらう、塾から提案された講座の根拠と期限を確認する、お子さんの北辰偏差値と内申点の推移を自分でも記録する、そして必要なら塾以外の選択肢も視野に入れる。この4つを意識するだけで、無駄な出費や時間のロスはかなり防げるはずです。

正直に言うと、私が塾を辞めた理由の一つは、この記事で書いてきたような「集団塾という仕組みの構造的な限界」に、現場でずっとジレンマを感じていたからです。伸び悩みの原因がタイプごとに違うと分かっていても、集団授業という形式である以上、一人ひとりに合わせた対応にはどうしても限界がありました。

そんな中、指導方針に共感して現在関わらせてもらっているのが、埼玉特有の入試事情(確約・北辰テスト・内申点)に精通した家庭教師「合格王」です。

合格王の無料相談では、まず「お子さんが積み残し型・時間不足型・生活習慣型のどのタイプに当てはまるのか」を客観的に診断するところから始めます。この記事を読んで「うちの子はどのタイプだろう」と気になった方は、単なる営業の場としてではなく、今後の学習方針を整理する場として活用してみてください。

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