「最後の長文、丸ごと白紙で出しちゃったみたいです…」
北辰テストが終わった後、こういう報告を保護者から聞くこと、正直かなり多いです。
英語が苦手な子だけじゃありません。単語も文法もそこそこできるのに、時間切れで大問4・5あたりを落としている子、実はすごく多いんですね。
これ、「英語力」の問題じゃなくて時間の使い方の問題であることがほとんどです。
この記事では、①テスト本番で今すぐ使える「即効テクニック」と、②次の北辰に向けて数週間かけて身につける「根本対策」の2本立てで、原因の分析から具体的な解き方、家庭練習までまとめます。いわば試験直前にサッと目を通しておく「カンニングペーパー」のようなチェックリストとして使ってもらえたらと思います。
元塾講師で、現在は家庭教師として埼玉の受験生・保護者から数多くの北辰対策の相談を受けてきた立場から、現場で実際に効果があったやり方だけを紹介していきます。
【罠】北辰英語は「実質35分のタイムアタック」である
北辰テストの英語は、大問1のリスニングから始まります。
このリスニングに、体感で15分前後かかるという声が、実際に受験した生徒や指導者の間でよく聞かれます(公式に「◯分」と固定されているわけではなく、放送時間や進行によって多少前後します)。配点でもリスニングは100点中28点前後とされ、決して軽視できる大問ではありません(こちらも実施回によって多少の変動はあり得ます)。
つまり、試験時間50分のうち、最初の15分前後はリスニングに拘束され、残りの大問2〜5(単語・長文・英作文)を実質35分程度で処理しなければならない、というのが北辰英語の実際の姿です。
しかもこの後半戦にも罠があります。大問2の英文完成(単語知識を問う問題)に時間をかけすぎると、後半の長文2題に手が回らなくなる、という事故が起きやすい設計になっているんです。公立高校入試そのものよりも、北辰の方が時間的にタイトに感じるという声もよく聞きます。これは本番に向けた実力測定というより、限られた時間内でどれだけ処理できるかという処理速度も同時に試されているテストだからです。
「時間が足りない」と感じるのは、決して大げさな悩みではなく、テストの構造上ある意味「当たり前」のことなんです。まずこの前提を親子で共有しておくだけでも、焦りは少し和らぎます。
この記事は「学力検査問題(標準タイプ)」を受ける層を想定して書いています。中3の北辰テストでは第7回・第8回に限り、埼玉県公立高校入試の「学校選択問題」に対応したタイプを選んで受験することができます。学校選択問題は文章量・設問形式ともにさらに難度が上がり、時間配分の作戦もこの記事とは変わってきます。対象校(浦和・浦和一女・大宮・市立浦和・川越・川越女子など上位校)を志望していて学校選択問題タイプを受ける予定のご家庭は、その点だけ念頭に置いておいてください。
「読めるのに解けない」子に共通する3つのクセ
塾講師・家庭教師をしていて感じるのは、時間切れになる子には共通するクセがあるということです。
- 頭から一文ずつ丁寧に日本語訳しながら読む
- 分からない単語が出た瞬間に思考が止まる
- 「なんとなく違う気がする」選択肢も一応最後まで検討してしまう
このクセ自体は、実は真面目に勉強してきた証拠でもあります。ただし、テストという「制限時間のあるゲーム」の中では、この丁寧さが最大の敵になってしまうんです。
※これは指導経験にもとづく傾向のまとめであり、統計データではなく著者の経験的な見解です。
即効カンニングペーパー:試験中にやること
ここから先は、テストが始まった瞬間から使える具体的な行動リストです。「準備編」「長文読解編」「解答テクニック編」の3つに分けて解説します。
【準備編】開始直後にやること
ステップ1. 開始10秒で大問構成を確認する
まず表紙をめくったら、最後の大問が何番まであるか、長文が何題あるかをざっと確認します。
「今日は長文が2題だな」「英作文もあるな」と分かるだけで、時間配分の心構えが変わります。このとき、時計を見て「今何分か」を頭に入れておくのも忘れずに。
ステップ2. 前半(文法・会話文・語彙)は「即断ルール」で進める
前半の小問でありがちなのが、1問に2分も3分もかけてしまうパターンです。
前半は基本的に知っているか、知らないかで決まる問題が多いので、10秒考えて分からなければ一旦マークして次に進む、というルールを決めておきましょう。
- 5秒で答えが浮かぶ問題 → 即答
- 10〜15秒考えても浮かばない問題 → 印をつけて後回し
- 後回しにした問題は、長文を終えてから戻る
「戻る時間」を最後に必ず数分確保する、という意識が大切です。
ステップ3. 長文は本文より先に設問を読む
長文をいきなり頭から読むのはNGです。
先に設問(特に選択肢や下線部の位置)にサッと目を通しておくと、「何を探しながら読めばいいか」が分かった状態で本文に入れます。
たとえば「◯◯はなぜ〜したか」という設問が先に見えていれば、本文を読みながら理由を表す表現(because, so, in order to など)に自然とアンテナが立つようになります。これだけで読むスピードと正答率の両方が変わってきます。
【長文読解編】長文を読むときの意識
ステップ4. 段落ごとに「要するに何の話か」だけをつかむ
丁寧に和訳しながら読むクセがある子ほど時間が足りなくなります。全部を日本語に訳す必要はありません。
「誰が」「何をした」「結果どうなった」くらいのアタリだけつけて、次の段落に進む意識を持たせてください。
具体的には、各段落の最初の1〜2文だけをやや丁寧に読み、あとは流し読みするという方法が効果的です。英語の文章は段落の冒頭にその段落の主旨が来ることが多いためです。
ステップ5. 分からない単語で立ち止まらない
1つの単語が分からないだけで思考が止まってしまう子、本当に多いです。
分からない単語は四角で囲むだけにして、いったん読み進める。前後の文脈で意味が取れることの方が圧倒的に多いですし、そもそも設問を解く上でその単語の意味が不要なケースもよくあります。
ステップ6. 大問ごとの目標時間を「体感」で決めておく
目安として、長文1題あたり8〜10分を上限に区切っておくのがおすすめです。
腕時計やアナログ時計を持ち込んで、「この時間になったら次の大問に移る」という自分ルールを決めておくと、最後の1題が白紙になる事態を防ぎやすくなります。
さらにおすすめなのが、過去問演習の段階で「大問ごとの自分の所要時間」を実際に計って記録しておくことです。本番でも「自分は長文1題に平均9分かかる」という感覚があれば、時計を見た瞬間に軌道修正しやすくなります。
【解答テクニック編】選択肢・英作文の解き方
ステップ7. 迷った選択肢は「消去法」で減らしてから決める
正解を探すより、明らかに違う選択肢を消していく方が速いです。4択のうち2つを消せれば、当たる確率も一気に上がります。
「正解を選ぶ」のではなく「不正解を消す」という発想の切り替えは、時間短縮にかなり効きます。本文に書かれていない情報が含まれる選択肢、本文と真逆の内容の選択肢は、比較的見抜きやすい「消去候補」です。
ステップ8. 英作文・並べ替えは「型」で時間を節約する
英作文や語句整序が出題される回では、ゼロから文を組み立てようとすると時間がかかりすぎます。
普段の学習で、自分が自信を持って使える「型」(I think that ~. / It is important to ~. など)をいくつか用意しておき、本番ではその型に当てはめるだけにすると、時間短縮になります。
完璧な文を目指すより、部分点が取れる文を素早く書く、という発想の切り替えも大切です。
ステップ9. 試験終了5分前は「見直し」より「空欄埋め」を優先する
残り時間が少なくなったとき、見直しよりも優先すべきは空欄を埋めることです。
記号選択の問題であれば、内容が分からなくても必ず何かをマークする。特に理由がなくても、本文中に出てきた単語を含む選択肢を選ぶなど、「当たる確率が少しでも上がる選び方」を子どもに教えておくと、土壇場での粘りが変わってきます。
こんな生徒がいました
私が以前担当していた中3の生徒で、単語も文法も真面目にこなしているのに、北辰の偏差値がなかなか伸びない子がいました。
過去問を一緒にやってみたら、原因は単純で、最初の長文を丁寧に和訳しすぎて、後半の長文にたどり着く前に試験が終わっていたんです。
そこで「設問を先に読む」「段落ごとに立ち止まらない」の2つだけを徹底して練習してもらったところ、次の回の北辰で偏差値が上がりました。英語力そのものは、実はそこまで変わっていません。時間の使い方が変わっただけです。
面白いのは、この生徒はその後「時間が余る」感覚を初めて味わい、見直しの時間まで確保できるようになったことです。時間に追われている状態と、時間をコントロールできている状態とでは、同じ実力でも出る点数がまったく違います。
家庭でできる練習法(4週間の目安)
ここまでの「即効ワザ」は、あくまで本番で使う小手先のテクニックです。テストの数日前に読むだけでも一定の効果はありますが、本当に定着させるには、数週間かけた練習が必要になります。以下は目安としての取り組み方の一例です。
- 1週目:過去問を解くときに、大問ごとにタイマーで時間を計り、「自分がどこで時間を使いすぎているか」を記録する
- 2週目:「設問を先に読む」を毎回のルーティンにする。読む順番を変えるだけの練習に集中する
- 3週目:分からない単語に線を引いて飛ばす練習をする。訳さずに段落の主旨だけをつかむ練習
- 4週目:消去法で選択肢を切る練習、英作文の「型」を実際に使う練習を取り入れる
過去問を繰り返し解くほど、「自分の弱点がどこにあるか」が具体的に見えてきます。北辰テストの過去問は市販もされているので、時間配分の練習には実際の過去問を使うのが一番効果的です。
保護者ができるサポート
家庭でできることは、実は「教える」ことよりも「環境を整える」ことの方が大きいです。
- 過去問演習のときにキッチンタイマーで時間を計ってあげる
- 「今日は大問ごとに何分かかった?」と聞いてあげる(責めるのではなく記録として)
- 一喜一憂せず、時間配分が改善したこと自体を褒める
点数だけを見てしまうと、時間配分という「見えない改善」に気づきにくくなります。プロセスに目を向けてあげることが、結果的に一番の近道になります。
とはいえ、思春期の中学生に対して、親がタイマーを持って「何分かかった?」と毎回管理するのは、お互いにとってストレスになることも多いですよね。「また時間測ってないの!」と親子ゲンカになってしまっては、本末転倒です。
そんなときは、無理に一人(一家庭)で抱え込まず、学校の先生や塾・家庭教師など、第三者の力を借りるのも選択肢のひとつです。
北辰テストの過去問を使った時間配分の練習から、長文読解の弱点補強までを見てもらいたい場合は、家庭教師&個別指導の合格王のような、埼玉エリアにも対応した家庭教師紹介サービスを利用してみるのもひとつの手です。資料請求は無料なので、まずは相談してみるところから始めてみてください。
まとめ
北辰の英語で時間が足りなくなるのは、多くの場合「英語力不足」ではなく時間配分の作戦不足です。
- 開始直後に大問構成を確認する
- 前半の小問は即断ルールで進める
- 長文は設問から先に読む
- 段落ごとに立ち止まらず主旨だけをつかむ
- 分からない単語で立ち止まらない
- 大問ごとに時間の上限を決めておく
- 選択肢は消去法で絞る
- 英作文は「型」で時間を節約する
- 最後の5分は見直しより空欄埋めを優先する
この9つを意識するだけで、最後の大問が白紙になる事態はかなり防げるはずです。
次回の北辰、ぜひ試してみてください。






