こんにちは、あおばです。
三者面談のシーズンになると、必ずと言っていいほど聞かれる質問があります。
「うちの子、部活で県大会まで行ったんですが、内申点にプラスになりますか?」
「部長をやっていたことは、受験で評価されますか?」
先に結論をお伝えします。
今、埼玉県内の中学校に通っているお子さんは、学年を問わず、部活動の実績が調査書(内申書)に直接得点として加算される仕組みの対象外になります。
この仕組みは令和9年度入試(2027年2月下旬実施予定)から廃止されることが決定しています。
現在の中学3年生は、この新しいルールが適用される最初の学年です。中学2年生も、新制度2年目にあたる令和10年度入試(2028年2月下旬実施予定)で同じ枠組みの対象になることが、埼玉県教育委員会から公表されています。中学1年生についても、同様の制度が続く見通しです。
「え、うちの子は中1だけど関係あるの?」「中3だからもう間に合わないのでは?」と思われた方もいるかもしれません。
順を追って、埼玉県教育委員会が公表している一次資料をもとに、正確なところを整理していきます。
実際、私のところに相談に来られる保護者の方の多くが、この制度変更をご存知ないまま「とりあえず部活は頑張らせておけば内申点になるはず」という認識で止まっています。
大手の集団塾の面談でも、担当講師がここまで踏み込んで説明してくれるケースは、正直あまり多くない印象です。
そもそも「特別活動等の記録」とは何だったのか
これまで埼玉県公立高校の調査書には、大きく分けて次のような記載項目がありました(令和7年度入試まで)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学習の記録 | 9教科5段階の評定(いわゆる「内申点」の中心) |
| 特別活動等の記録 | 学級活動・生徒会活動・部活動などの実績・役職 |
| その他 | 総合的な学習の時間の記録、資格取得、ボランティア活動など |
| 出欠の記録 | 出欠状況 |
このうち「特別活動等の記録」と「その他」は、高校ごとに定める基準に従って点数化され、選抜に使われていました。
具体的な配点は高校・学科ごとに異なりますが、県の資料では、特別活動等の記録とその他の項目を合わせた得点が、学習の記録(評定)の得点を超えないよう、それぞれの得点の最高点が調整されていたことが確認できます。
つまり、部活動や生徒会活動をどれだけ頑張っても、内申点全体における評定(学習の記録)の重みを超えることはない設計になっていた、ということです。
保護者の方が「部活の実績は内申点になる」という認識を持っているのは、この仕組みが長年運用されてきた実績があるためです。
ただし、ここには見落とされがちな段階があります。
令和8年度入試(2026年2月実施、現在の高校1年生が経験した入試)では、新しい入試制度への移行期間として、部活動に関する記載欄が「特別活動等の記録」から「その他」の項目へすでに移されていました。得点化の対象であること自体は変わらず、各高校の選抜基準の中で配点の見直しが行われた、という位置づけです。
そして令和9年度入試(現在の中学3年生が対象)から、「特別活動等の記録」も「その他」も調査書から完全になくなり、自己評価資料と面接に置き換わりました。
現在の中学生には、令和7年度以前の「特別活動等の記録」による直接加点も、令和8年度の移行的な仕組みも、もう当てはまりません。
令和9年度(2027年)入試から、調査書の中身が根本的に変わる
埼玉県教育委員会は、令和6年9月に「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針」を公表しました。
その後、令和8年5月には実施要項・選抜要領の確定版も公表されており、制度の中身はすでに固まっています。
この中で、調査書と選抜方法が次のように変更されることが示されています。
調査書の記載項目が簡素化される
令和9年度入試からは、調査書の記載項目は「各教科の学習の記録(9教科5段階の評定)」と「総合的な学習の時間の記録」のみになります。
これまで得点化されていた「特別活動等の記録」「その他」「出欠の記録」は、調査書からなくなります。
(「総合的な学習の時間の記録」自体は調査書に残る点は、誤解しやすいポイントです。)
なぜこのタイミングで変更されるのか。
県教育委員会の公表資料では、改善の背景の一つとして、部活動が地域のクラブ活動へ移行しつつあるなど、学校内外での生徒の活動が多様化してきたことを踏まえた入試を実現する、という趣旨が挙げられています。
つまり、全国的に部活動が学校単位から地域クラブ活動へ移行しつつある中で、「学校の部活動での実績」だけを基準に評価する仕組みそのものが、時代に合わなくなってきたという判断があるようです。
「特別活動等の記録」「その他」に書いていた内容は、自己評価資料へ
これまで調査書に記載していた部活動の実績や資格取得などの内容は、受検生本人が出願時に提出する「自己評価資料」に記載する形に変わります。
自己評価資料には、これまでの自分の体験を振り返り、力を入れたことや努力したこと、高校入学後や将来やってみたいこと、自己PRなどを、自分自身の言葉でまとめます。
重要なのは、自己評価資料そのものは得点化されないという点です。
あくまで、次に説明する面接の際の参考資料として使われます。
面接が全受検生に必須化され、得点化される
これまで面接は一部の高校・学科でのみ実施されていましたが、令和9年度入試からは、共通選抜を受けるすべての受検生に面接が課されることになります。
面接は、県教育委員会が定めた共通の評価観点(主体的・協働的な学びの力、自らの人生や社会の未来を切り拓く力)を基本とし、各高校が独自の評価項目を追加することもできる仕組みです。
評価は5段階のルーブリックに基づいて行われ、最高評価は「大変優れたものとして評価できる」という水準になります。
つまり、部活動での実績や役職経験そのものが評価されなくなるわけではなく、「調査書に書いてもらって加点される」から「自己評価資料に自分で書き、面接で自分の言葉で語って評価される」へと、評価の場所が移る、というのが正確な理解になります。
得点の全体構造
具体的な得点構造も県教育委員会の資料で公表されています(共通選抜の場合)。
- 学力検査:5教科×各100点=500点満点
- 調査書:各学年の学習点(9教科×5段階評定=45点満点)の学年比率を、高校が①1:1:1(135点満点)②1:1:2(180点満点)③1:1:3(225点満点)のいずれかから選択し、それを基本点として①200点②300点③400点のいずれかに換算
- 面接:基本点30点を、高校が①1倍(30点満点)②2倍(60点満点)のいずれかに設定
この組み合わせにより、合計点は「学力検査500+調査書200+面接30=730点」から「学力検査500+調査書400+面接60=960点」まで、高校によって幅があります。
つまり、同じ埼玉県公立高校でも、調査書(評定)をどれだけ重視するか、面接をどれだけ重視するかは、学校ごとに設定が異なるということです。
志望校がどの配分を選んでいるかは、各高校が公表する「選抜実施内容」で確認できます。
なお、特色選抜(学科・コースの特色に応じた選抜)では、学力検査を1教科150点または200点として3教科まで傾斜配点をかけたり、実技検査や小論文といった特色検査を組み合わせたりと、さらに学校ごとの独自性が強くなります。
では、部活動の実績はもう無意味なのか
いいえ、そういうわけではありません。
直接的な得点として調査書に加算される仕組みがなくなるだけで、部活動での経験は、自己評価資料や面接でのアピール材料として引き続き重要です。
例えば、部長やキャプテンとしてチームをまとめた経験は、面接の評価観点である「主体的・協働的な学びの力」に対応する材料になり得ます。
県大会出場を目指して努力を続けた経験は、「自らの人生や社会の未来を切り拓く力」の材料になり得ます。
ただし、これまでのように「実績があれば自動的に加点される」わけではなく、その経験から何を考え、何を学び、それを高校入学後にどう活かしたいのかを、自分の言葉で説明できるかどうかが問われる形に変わる、という点は強調しておきたいところです。
単に「県大会に出ました」という事実だけを並べても、面接では評価されにくくなります。
保護者が今からできること
- お子さんが現在何年生かにかかわらず、令和9年度入試以降の新しいルール(調査書は評定中心、自己評価資料+面接)が適用されることを前提に準備を進める
- 部活動の大会実績(大会名・結果・時期)や役職経験を、日付を含めて記録しておく
- 資格試験(英検・漢検・数検など)の取得状況を記録しておく
- 単なる実績の記録にとどめず、「その経験で何を考え、何を学んだか」を、お子さん自身の言葉で話せるように、家庭での会話の中で少しずつ言語化する練習をしておく
- 志望校が調査書・面接をどの配分で選択しているか(学力検査500点に対して調査書200〜400点、面接30〜60点のどの組み合わせか)を、各高校が公表する選抜実施内容で確認する
志望校選びの土台になる偏差値情報については、以下の記事に北辰テストベースの最新ランキングをまとめていますので、あわせて参考にしてください。
よくある質問
Q. 部活に入っていない、または途中で退部した場合は不利になりますか?
A. 新制度では、部活動の実績が調査書の得点に直接影響する仕組み自体がなくなります。自己評価資料には部活動以外の学校内外での取り組み(委員会活動、ボランティア、学校外での活動など)を書くこともできるため、部活動をしていないこと自体が直接の不利にはなりません。
Q. 人間関係が理由で部活を途中で辞めてしまいました。面接や自己評価資料でマイナスの印象を持たれませんか?
A. 「辞めた」という事実そのものよりも、その後どう気持ちを切り替え、何に取り組んだかを語れるかどうかが重要だと考えられます。例えば、別の活動(地域のクラブチーム、委員会活動、学習面での取り組みなど)に切り替えて力を注いだ経緯があれば、それ自体が「主体的に自分の進む道を選び直した経験」として、面接評価の観点に沿った材料になり得ます。無理に部活を続けたエピソードを作る必要はありません。
Q. 大会の成績が県大会未満(地区大会止まりなど)でも意味がありますか?
A. 旧制度では「県大会出場以上」を加点の目安とする高校が多く見られましたが、新制度では調査書への直接加点という概念自体がなくなります。地区大会レベルの経験であっても、そこでの取り組みや学びを自己評価資料・面接で言語化できれば、評価の材料になり得ます。
Q. 資格は自己評価資料に書く意味がありますか?
A. はい、書くこと自体は可能です。ただし自己評価資料そのものは得点化されない資料であり、面接での参考資料という位置づけになります。資格の級によって自動的に加点される、という仕組みではなくなっている点に注意してください。
Q. 私立高校の「確約」の基準とは別物ですか?
A. はい、まったく別の仕組みです。ここまで解説してきたのは公立高校入試の調査書・自己評価資料・面接に関する話で、私立高校の確約は北辰テストの偏差値や内申点をもとにした私立高校独自の合格確約の仕組みです。混同しやすいポイントなので、志望校が公立か私立かによって見るべき情報を分けて考える必要があります。
Q. 自己評価資料の書き方が分かりません。何から手をつければいいですか?
A. いきなり文章にしようとせず、まずは「部活動・委員会活動・学校外の活動」ごとに、①何をしたか②うまくいかなかったこと・悩んだこと③そこからどう考えて行動したか、を箇条書きで書き出すところから始めるとまとめやすくなります。実績の羅列ではなく、そこでの考え方や行動の変化を軸にすると、面接の評価観点(主体的・協働的な学びの力など)に沿った内容になりやすいです。
集団塾の面談だけで、本当に自己評価資料・面接まで見てもらえるのか
これは私自身が塾講師時代に何度も感じていたジレンマでもあるのですが、集団授業のカリキュラムは「決まった時期に、決まった単元を、決まったペースで」進めることが前提になっています。
地域の大手集団塾の体験授業に足を運んだ保護者の方から、「面談では偏差値と志望校のことは詳しく話してもらえたけれど、うちの子の部活動の経験をどう自己評価資料に落とし込めばいいのか、面接でどう話せばいいのかまでは、正直あまり突っ込んで見てもらえなかった」というお話を伺うことも少なくありません。
自己評価資料や面接対策は、お子さん一人ひとりの経験や性格に合わせて言語化を手伝う、いわば「個別作業」に近いものです。
集団授業の枠組みだけでカバーしきれない部分がある、というのは、現場を見てきた人間として正直な実感です。
個別の戦略は、家庭だけで判断するのが一番難しい
元塾講師としてこれまで多くの家庭を見てきた立場から言うと、「うちの子の内申点・偏差値の状況で、どの高校の配点方式が有利なのか」「面接や自己評価資料で、部活動の経験をどう言語化すればいいのか」といった、お子さん一人ひとりの状況に合わせた戦略部分こそが、実は一番難しく、かつ家庭だけでは判断しづらいところだと感じています。
集団塾の進路面談は、偏差値と志望校のマッチングまでは丁寧にやってくれても、そこから先の「うちの子専用のカスタマイズ」までは、クラス単位の運営である以上どうしても限界があります。
こうした個別最適化が求められる場面で、これまで多くの家庭を見てきた立場から自信を持って挙げられるのが、埼玉県の高校受験に特化した家庭教師サービス「家庭教師の合格王」です。
地域特化かつマンツーマンで、志望校ごとの配点方式や自己評価資料・面接対策まで含めて相談できる点は、他の選択肢と比べても大きな強みだと感じています。
まずは資料請求だけでも、検討してみる価値はあると思います。
まとめ
- 現在、埼玉県内の中学校に通うお子さんは、学年を問わず全員、部活動の実績が調査書に直接得点化される旧制度の対象外になる
- 部活動の記載欄は、令和7年度入試までは「特別活動等の記録」、令和8年度入試(現在の高校1年生が経験)では移行期として「その他」に位置づけられていたが、令和9年度入試(現在の中学3年生が対象)からは調査書自体から完全になくなる
- これまで調査書に書いていた部活動・資格などの実績は、得点化されない「自己評価資料」に記載し、全受検生必須の面接で参考資料として使われる形に変わる
- 得点構造は「学力検査500点+調査書200〜400点+面接30〜60点」の組み合わせで、高校ごとに配分が異なる
- 部活動の実績自体が無意味になるわけではなく、「加点される対象」から「自分の言葉で語ってアピールする材料」へと役割が変わる
志望校選びの土台になる偏差値情報や、私立高校の確約基準など、埼玉県特有の複雑な制度については、当ブログの他の記事でも包み隠さず解説していますので、あわせてチェックしてみてください。






