部活の県大会出場は内申点に?令和9年度入試の調査書

「うちの子、部活で県大会まで行ったんですが、内申点にプラスになりますか?」

「部長をやっていたことは、受験で評価されますか?」

三者面談のシーズンになると、こうした質問をよく耳にします。毎日の練習や週末の大会を、送迎やお弁当づくりで支えてきたご家庭ほど、気になるところだと思います。

結論から言うと、2027年(令和9年度)入試からの埼玉県公立高校の調査書には、部活動や生徒会活動などを書く欄そのものがなくなります。県大会に出たこと自体が内申点として加点される仕組みは、いまの中3から対象外です。

ただし、部活動の経験が受験で無意味になるわけではありません。評価される場所が、調査書から「自己評価資料と面接」に移りました。この記事では、埼玉県教育委員会が公表している令和9年度の実施要項・選抜要領をもとに、何がどう変わったのか、家庭では何を準備すればよいのかを整理します。

これまでの調査書では、部活動はどう扱われていたか

従来の埼玉県公立高校の調査書には、教科の成績にあたる「学習の記録」のほかに、学級活動・生徒会活動・部活動などを書く「特別活動等の記録」や、資格・ボランティアなどを書く「その他」の欄がありました。

そのため、「部活で県大会に出れば内申点が上がる」という認識をお持ちの保護者の方も多いと思います。ここでいう内申点は、正確には調査書の点数のことです。令和9年度入試からは、県の選抜要領で調査書の記載項目が「各教科の学習の記録」と「総合的な学習の時間の記録」の二つと定められ、調査書で点数になるのは評定だけです。

先輩の保護者から聞いた話や、ご自身が受験したときの記憶がそのまま残っているのは自然なことです。ただ、いまの中学生にはその前提が当てはまりません。次の節で、新しい調査書の中身を見ていきます。

令和9年度入試で変わること:調査書・自己評価資料・面接

埼玉県教育委員会の実施要項・選抜要領(令和9年度)では、選抜の資料が次のように定められています。

調査書は「評定」と「総合的な学習の時間」だけになる

調査書の記載項目は、「各教科の学習の記録」(9教科5段階の評定)と「総合的な学習の時間の記録」の二つです。特別活動等の記録や部活動の欄は、調査書にありません。

「総合的な学習の時間の記録」は、第3学年の1学期・2学期の学習の状況や成果などを、簡潔な文章で書くものとされています。調査書に残るのは、この欄までです。

自己評価資料を、全員が提出する

これまで調査書に書かれていたような活動の内容は、受検生本人が書く「自己評価資料」に移ります。これまでの自分の体験を振り返り、力を注いだことや努力したこと、高校入学後や将来取り組んでみたいこと、自己PRなどを、自分で考えて記載します。

志願先の高校が面接で独自の項目を設けている場合は、その項目も書きます。自己評価資料そのものは評価の対象ではなく、面接の際の参考として使われます。点数をつけられるのは面接のほうです。

面接が全員に課され、得点になる

令和9年度から、すべての志願者に面接が実施されます。個人面接または集団面接で、1人あたり10分程度とされています。面接委員は2人以上で、観点ごとに3〜5の3段階を基本に評価します。

県教育委員会が定めた共通の観点は次の二つで、高校が学科やコースの特色に応じて独自の観点を足すこともできます。

  • 主体的・協働的な学びの力
  • 自らの人生や社会の未来を切り拓く力

なお、面接で学力そのものを測るような質問や、保護者の職業・学歴・収入などの質問はしないことも、要領に定められています。

では、部活動の経験は評価されないのか

ここが一番の誤解されやすいところです。面接実施要領には、次の趣旨の定めがあります。

  • 学校内外での活動の経歴や役職、大会等の実績、資格等を評価するのではなく、取組の過程や意欲等について評価をすること

つまり、「県大会に出場した」「部長だった」という結果や肩書きそのものは、面接の評価の中心ではありません。評価されるのは、その活動にどう取り組み、何を考え、これからどうしたいのかという中身です。

部活動をやっていた子にとっては、語る材料が豊富にあるという意味で、経験は引き続き役に立ちます。逆に、部活動に入っていなかった子や、途中でやめた子が、それだけで不利になるという定めはありません。委員会活動、地域の活動、家庭での役割、勉強での工夫など、書く材料は部活動に限られないからです。

自己評価資料の下書きが「部長をやった」「大会に出た」という事実の列だけになると、本人の考えが見えません。「そのとき一番困ったことは何だった?」「次はどうしたい?」と家族が短く聞くだけにとどめ、答えを教えないほうが、本人の言葉が出やすくなります。実績を並べるより、取組の途中で考えたことを書き出すほうが、要領の趣旨に合っています。

点数の仕組み:評定の重みは学校ごとに違う

調査書で点数になるのは、評定だけになります。そのため、部活動を続けながら評定をどう守るかが、これまで以上に大事になります。共通選抜の配点は、次のように定められています。

共通選抜の配点(県教育委員会の定め)

  • 学力検査:5教科×各100点=500点満点
  • 調査書:評定の各学年の合計(9教科×5段階=45点満点)に、高校が選んだ学年の比率(1年:2年:3年が1:1:1、1:1:2、1:1:3のいずれか)をかけて基本点を出し、それを200点・300点・400点のいずれかに換算
  • 面接:30点満点を基本点とし、高校が1倍(30点満点)か2倍(60点満点)を選ぶ

この組み合わせだと、合計は最も小さい場合で500+200+30=730点、最も大きい場合で500+400+60=960点です。同じ埼玉県の公立高校でも、評定と面接のどちらを重くみるかは、学校ごとに違います。

特色選抜(学科やコースの特色に応じた選抜)では、学力検査の傾斜配点や、実技検査・作文(小論文)などの特色検査を使う学校もあり、さらに学校ごとの違いが大きくなります。志望校がどの方式なのかは、各高校の「選抜実施内容」で確認できます。

評定は1年生・2年生の成績も計算に入ります。いまの中1・中2のお子さんも、日々の成績がそのまま調査書の点数につながります。学年ごとの比率の考え方は、次の記事にまとめています。

→ 内申点があと1足りない中3|期末テストと提出物で届く範囲

中1・中2の保護者は、この制度をどう受け止めればよいか

令和9年度の実施要項で定められているのは、2027年3月に中学校を卒業する現在の中3の入試です。中1・中2の入試については、このページを書いている時点で同じ内容が公表されているわけではありません。

とはいえ、調査書の記載項目の簡素化も、自己評価資料と面接の導入も、一時的な措置として示されたものではありません。入試の見直しの方向として、年度が進んでも大きく戻る可能性は低いと考えられます。ただしこれは推測です。お子さんの受験年度の要項は、公表されたときに県教育委員会のページで確認してください。

確かなこととして言えるのは、いまの時点でも、部活動の実績だけで調査書の点数が増えることはない、ということです。評定を落とさないことと、自分の経験を自分の言葉で話せるようにしておくことは、学年にかかわらず役に立ちます。

保護者が今からできること

家庭での準備チェックリスト

  • 大会名・結果・時期、役職、資格の取得状況を、日付つきでメモしておく(書くときの材料になります)
  • 活動ごとに「何をしたか」「うまくいかなかったこと・悩んだこと」「そこからどう考えて行動したか」を、箇条書きで書き出してもらう
  • 家庭での会話の中で、「そのときどう思った?」「次はどうしたい?」と短く聞き、本人の言葉で話す練習をする
  • 部活動の時間が長いお子さんは、部活動のある日の学習時間をどう確保するか、評定を守る計画を一緒に考える
  • 志望校の「選抜実施内容」を見て、調査書と面接の配点、面接の学校独自の項目があるかを確認する

面接の練習は、短く・何度かに分ける

  • 面接は1人10分程度なので、家庭では1回3〜5分で十分です。長く続けると本人が疲れてしまいます
  • 最初は「力を入れたこと」「高校でやってみたいこと」「自己PR」の3つだけを、自己評価資料を見ながら話してみる
  • 慣れてきたら、資料を見ずに話す。つまっても、その場で直さず、あとで「どこが話しにくかった?」と聞く
  • 話す内容を暗記させない。覚えた文章を読み上げるより、自分の言葉で話すほうが、要領の趣旨に合っています

面接は学力を測る場ではなく、志願者の個性や適性、意欲を知るためのものと定められています。上手に話せるかどうかより、自分の経験を振り返って、自分の言葉で伝えようとしているかが大切です。親が採点役になりすぎないことも、練習を続けるコツです。

自己評価資料の書き方は、いきなり文章にしようとせず、箇条書きの下書きから始めるとまとめやすくなります。実績を並べるのではなく、取組の過程と、そこで考えたことを軸にするのがコツです。

部活のある平日は帰宅が遅く、週末は大会や練習試合で埋まるご家庭も多いと思います。すべてをご家庭だけで抱え込まず、担任の先生や学校の進路指導に相談する、塾の面談で面接対策の有無を聞くなど、使える相談先を早めに確認しておくと気持ちが楽になります。塾を選ぶときの見方は、こちらの記事が参考になります。

→ 「とりあえず大手塾」で行き詰まる家庭の7つの特徴

志望校選びの土台になる偏差値の目安は、次の記事にまとめています。

→ 埼玉県公立高校偏差値ランキング【2026年度】

よくある質問

Q. 部活に入っていない、または途中で退部した場合は不利になりますか?

A. 調査書に部活動の欄がなくなるため、部活動をしていないこと自体が点数に影響する仕組みはありません。自己評価資料には、部活動以外の取り組み(委員会活動、ボランティア、学校外の活動、勉強での工夫など)も書けます。

Q. 人間関係が理由で部活を途中でやめました。マイナスの印象になりますか?

A. 面接は、経歴や実績ではなく、取組の過程や意欲を見るものと定められています。やめた事実よりも、その後どう気持ちを切り替え、何に取り組んだかを話せることのほうが大切だと考えられます。無理に続けたエピソードを作る必要はありません。

Q. 大会の成績が地区大会止まりでも意味はありますか?

A. 大会の成績で点数が決まる仕組みではないため、地区大会でも、そこでの取り組みや学びを自分の言葉で話せれば、材料になります。

Q. 資格は自己評価資料に書く意味がありますか?

A. 書くことはできます。ただし、資格の級によって自動的に加点されるわけではありません。資格を取るまでにどう取り組んだかが、面接で話す材料になります。

Q. 私立高校の「確約」の基準とは別のものですか?

A. 別の仕組みです。この記事で説明したのは公立高校の調査書・自己評価資料・面接の話です。私立高校の確約や推薦の基準は学校ごとに公表の仕方が違うため、志望校の募集要項と個別相談会で確認してください。募集要項の読み方の一例は、こちらの記事にあります。

→ 細田学園の併願は延納の申請が要らない|3月5日正午と相談カード

Q. 面接で聞かれることは、自己評価資料に書いたことだけですか?

A. 自己評価資料を参考に面接が行われますが、書いたことだけに質問が限られるとは定められていません。資料に書く内容は、そのまま話せるものにしておくと安心です。面接で何を聞くかは学校ごとに質問内容を定めるため、志望校の「選抜実施内容」も確認してください。

まとめ:部活動は「加点」から「自分の言葉で語る材料」へ

  • 令和9年度(2027年)入試から、調査書の記載項目は「各教科の学習の記録」と「総合的な学習の時間の記録」だけになり、部活動や生徒会活動を書く欄はなくなる
  • これまで調査書に書かれていた活動の内容は、受検生本人が書く自己評価資料に移る。自己評価資料自体は点数にならず、面接の参考として使われる
  • 面接は全員に課され、得点になる。経歴・役職・大会の実績・資格ではなく、取組の過程や意欲が評価される
  • 共通選抜の配点は、学力検査500点、調査書200〜400点、面接30〜60点の範囲で、高校ごとに違う
  • 調査書で点数になるのは評定だけなので、部活動を続けながら評定を守る計画が大切になる

親が次にやることは三つです。お子さんの活動の記録を日付つきで残すこと、「そのときどう思った?」と聞いて本人の言葉を引き出すこと、志望校の選抜実施内容で調査書と面接の配点を確認することです。

この記事で確認した資料