併願校選びで後悔する7つのパターン|埼玉の私立と確約

「公立が第一志望なのはわかっているんですが、併願校って結局どこでもいいんですよね?」

「週末は私立の説明会で埋まっているのに、どこを見ればいいのか決め手がない」

三者面談の時期になると、こうした疑問が出やすくなります。仕事や家事の合間に学校を調べ、週末は説明会に付き添う。それだけで手一杯になるのは当然のことで、保護者の方の努力が足りないわけではありません。

併願校は「落ちても行かない学校」ではなく、内申点と北辰テストの結果次第で、実際に3年間通う可能性のある学校です。「どこでもいい」ではなく、「通うことになっても納得できるか」で選ぶのが、後悔しない近道です。

この記事では、併願校選びでつまずきやすい7つのパターンと、確約の仕組み、後悔しない選び方、2027年(令和9年度)入試で気をつけたい点を順に整理します。

併願校とは?埼玉県の「確約」の仕組み

埼玉県の公立高校入試は、原則として1人1校しか出願できません。そのため多くの受験生は、本命の公立高校とは別に、私立高校を「併願校」として受験します。

この私立併願には、「確約」と呼ばれる仕組みが関わっています。内申点と北辰テストの偏差値が学校の示す基準を満たしていれば、入試前の相談の段階で、学校が合格の見通しを示してくれるというものです。基準の中身や呼び方は学校ごとに違うので、必ず各校の募集要項や個別相談で確かめてください。

つまり多くの受験生にとって、併願校は「合否が読めない賭けの相手」ではなく、「内申点と北辰の結果次第で、進学先になり得る学校」です。この前提を理解しないまま「とりあえず」で選んでしまうことが、後悔の入り口になります。

単願と併願では、基準が変わることがある

同じ私立高校でも、「その学校を第一志望として受験する単願」と、「公立本命のうえで受ける併願」とでは、確約の基準が異なる学校があります。単願のほうが基準がやや低めに設定されている学校が見られますが、これは学校によって差があります。

「うちは併願だから」「単願だから大丈夫」と決めつけず、単願・併願それぞれの基準を、学校名・コース名とセットで確認することが大切です。

北辰テストは「一度の結果」だけで判断されるとは限らない

もうひとつ誤解されやすいのが、北辰テストの扱いです。学校によって、対象になる回、必要な回数、数字の出し方(基準を複数回クリアするのか、複数回の平均を見るのか)は細かく違います。

「1回よかったから安心」「1回悪かったから諦める」と短く判断せず、対象の回と計算方法を個別相談で確認してください。基準の一覧は、こちらの記事にまとめています。

→ 内申・北辰の確約基準一覧【2027年入試】埼玉私立の学校別

また、大学附属の学校など、確約の仕組み自体がない学校もあります。「併願校=確約が取れる学校」と一律に考えず、志望校ごとに制度の有無から確かめておきましょう。他県との違いは次の記事で説明しています。

→ 埼玉だけの「確約」とは|他県出身の親が知る私立の仕組み

2027年入試は制度が変わる最初の学年です

併願校選びの話を進める前に、今の中3生に関わる大事な点をお伝えします。令和9年度(2027年春)の埼玉県公立高校入試から、制度が変わります。埼玉県教育委員会の実施基本方針で示されている主な点は、次のとおりです。

  • 調査書の記載項目は「各教科の学習の記録(9教科5段階の評定)」と「総合的な学習の時間の記録」になる
  • 受検生は、自分の体験や高校入学後にやってみたいことなどを「自己評価資料」に書く。自己評価資料そのものは評価されず、面接の際の参考にされる
  • 全受検生に、個人面接または集団面接が行われる
  • 選抜は「共通選抜」と「特色選抜」の2種類になる。特色選抜では、学校によって特色検査(実技検査または作文・小論文)が行われることがある
  • 学力検査は国語・社会・数学・理科・英語の5教科で、各100点の合計500点満点

日程は、学力検査が2027年2月25日(木)、面接が2月26日(金)、入学許可候補者の発表が3月5日(金)と県から公表されています。出願期間などの細かい日程は、県の日程資料で確認してください。

調査書の評価は9教科の評定が中心になるため、日々の授業や定期テストの積み重ねが、これまで以上に大切になると考えられます。これは見立てで、各校がどの配点の組み合わせを選ぶかは、公立の各校が公表する選抜実施内容で確かめる必要があります。

私立高校の確約基準も、内申点を大事な指標にしていることが多くあります。公立側の仕組みが変わることで、私立側の運用に変化が出る可能性もあります。去年までの先輩の情報がそのまま当てはまるとは限らない最初の学年ですから、学校ごとの現在の情報を、個別相談や説明会で確かめるようにしてください。

私立高校の中には、英検・漢検などの資格を確約の加点要素にしている学校もあります。加点の有無や幅は学校によって違うため、志望校が決まったら早めに調べておくと安心です。

制度全体の流れは、こちらの記事も参考にしてください。

→ 【2027年入試】埼玉県公立・私立高校入試の年間スケジュール

「とりあえず〇〇高校」で後悔する7つのパターン

失敗1:ネームバリューだけで決める

「聞いたことがある名前だから安心」という理由だけで併願校を決めるケースです。学校の知名度と、お子さんとの相性は別のものです。大学進学実績を前面に出す学校もあれば、面倒見のよさや部活動を強みにする学校もあります。

対策

  • 志望理由を「知名度」以外の言葉で説明できるか、親子で言葉にしてみる
  • 進学実績だけでなく、面倒見、校則、部活動の力の入れ方も比べる

失敗2:コース選択を軽く見る

同じ学校でも、特進コースと進学コース、あるいは普通科と専門学科では、授業の進み方も宿題の量も、周りの生徒の学習意欲も違います。

確約の基準を満たしやすいコースを選んだ結果、授業に物足りなさを感じることもあれば、基準が高めのコースを選んで想像以上に忙しくなることもあります。情報収集は「学校名」ではなく「学校名+コース名」で行いましょう。

対策

  • コースごとの宿題量、補習の有無、大学進学実績を個別相談で聞く
  • コースごとの確約基準を、メモに分けて残す

失敗3:学校見学や文化祭に行かずに決める

パンフレットの写真と、実際に足を運んだときの校内の空気は違います。説明会や文化祭に一度も参加しないまま確約を取り、入学後に「校則が思ったより細かい」「先生との距離感が合わない」と感じる生徒もいます。

併願校であっても、最低1回は現地に足を運ぶことをおすすめします。

対策

  • 併願候補であっても、学校説明会か文化祭に1回は参加する
  • スマホ、髪型、アルバイトなどの校則を事前に確認する

失敗4:今の学力との差を考えていない

北辰偏差値との差を意識せずに併願校を選ぶと、2つの方向でずれが出ます。ひとつは、基準に余裕がありすぎる学校を選び、入学後に授業が物足りなくなるパターン。もうひとつは、基準ぎりぎりで確約を取り、入学後の授業に最初からついていくのが大変になるパターンです。

自分の今の立ち位置を正しくつかんだうえで、無理なく力を伸ばせる学力帯の学校を選ぶことが大切です。

対策

  • 直近2〜3回分の北辰偏差値の平均で、立ち位置を把握する
  • 確約基準に対して、ある程度の余裕(安全マージン)を持たせて検討する

失敗5:通学時間や学費など「入学後の現実」を見落とす

私立高校は、授業料のほかに施設費、教材費、制服代などがかかります。初年度の総額は、想定より大きくなることがあります。通学に1時間以上かかる立地を選んで、3年間、毎日の通学が負担になるケースも珍しくありません。

学力面だけでなく、通学時間と、年間でかかる総費用まで含めて検討しましょう。

対策

  • 通学ルートと所要時間を、実際に通学する時間帯に一度試してみる
  • 入学金、施設費、教材費まで含めた「初年度総額」を事前に確認する

併願校は、公立の結果によっては実際に3年間通う学校です。パンフレットの路線図だけで通学を判断せず、実際に通う時間帯に乗り換えまで試し、授業料・施設費・教材費・制服代を含めた初年度の費用も、受験前に確かめておきましょう。「ここに通う場合の毎日」を具体的に想像しておくことが、併願校選びの大事な準備です。

失敗6:「単願だから基準が低いはず」と確認せずに思い込む

単願と併願で基準が違うのは、あくまで傾向で、すべての学校に当てはまるわけではありません。「単願だから大丈夫だろう」と確認せずにいて、内申点が足りず、慌てて別の学校を探すことになるご家庭もあります。

単願と併願の違いは、次の記事で詳しく説明しています。

→ 単願確約は何校まで?併願確約との違いと選び方

対策

  • 「単願基準」と「併願基準」を、学校名・コース名とセットでメモする
  • 個別相談では、単願・併願の基準を両方質問する

失敗7:「一つ上のランク」を狙って基準ぎりぎりを攻める

「せっかくならレベルの高い学校を」という気持ちから、基準ぎりぎりを狙うご家庭もあります。挑戦すること自体は悪くありません。ただ、併願校は本来、公立本命が思うようにいかなかったときの受け皿です。

基準ぎりぎりを狙って、内申点の確定や北辰の結果次第で確約が取れなくなっては、受け皿の役目を果たせません。確約を取っても合格が決まるわけではない点は、次の記事で整理しています。併願校に関しては、背伸びよりも安全性を優先する視点を持っておきましょう。

→ 確約があっても不合格になる?私立高校で起きる5つのケース

対策

  • 併願校は「挑戦枠」ではなく「安心枠」として選ぶ
  • 基準ぎりぎりの学校を考えるなら、もう1段安全な候補も用意しておく

後悔しない併願校選びのチェックポイントと動く時期

併願校を決める前に、保護者の方に確かめていただきたいのは次の3点です。

  1. 今の北辰偏差値と内申点で、その学校の確約基準に無理なく届くか(ぎりぎりではなく、ある程度の余裕があるか)
  2. コース・学科まで含めて、お子さんの学習ペースに合っているか
  3. 通学時間と学費を含めて、3年間続けられる現実的な選択肢か

この3つを満たしたうえで、実際に学校見学や文化祭に足を運び、お子さん自身が「ここなら通ってもいい」と思えるかどうかを確かめる。これが、後悔しない併願校選びの基本です。

いつから動くか

併願校選びは、直前に慌てて決めるものではありません。中3の一般的な流れは、おおまかに次のとおりです。

  • 夏(7〜8月):情報収集を始める。パンフレットやWebサイトで、コース、学費、立地の候補を洗い出す
  • 秋(9〜10月):学校説明会やオープンスクールに足を運び、候補を絞る。北辰テストの結果が複数回分そろい、立ち位置が見えてくる
  • 秋〜初冬(10〜12月):内申点と北辰の推移をもとに、現実的な併願校を絞り込み、私立高校の個別相談で確約に向けた最終確認をする
  • 1月以降:私立高校の入試や確約にもとづく手続きを進め、その後に公立高校入試へ

学校ごとに説明会や個別相談の日程は違います。大枠のイメージとして受け止め、志望校が固まったら各校の公式情報で日程を確認してください。先延ばしにしているうちに、説明会や個別相談の予約が埋まってしまうこともあります。

この記事を読んでいる時期が秋以降なら、今からでも遅くはありません。まず、候補の学校の確約基準と個別相談の日程を、一覧にして書き出すところから始めましょう。

数字を並べて、高校の個別相談で直接確かめる

併願校選びで後悔するご家庭の多くは、「今の内申点と北辰偏差値で、どの学校のどのコースなら無理なく確約が取れるのか」を、感覚だけで判断しています。

塾の三者面談は、貴重な情報源です。そのうえで、塾の面談で聞いた話とは別に、家庭でも数字を並べ、高校の個別相談で直接確かめるという「もう一つの確認ルート」を持っておくと、判断が安定します。塾によって勧める学校に偏りが出ることもあるため、複数の情報を突き合わせるのが安心です。

家庭で用意しておく数字

  • 直近の内申点(9教科の評定の合計)と、各学期の推移
  • 北辰テストの偏差値(直近2〜3回分)と、受けた回の日付
  • 候補の学校ごとの、単願・併願それぞれの確約基準
  • 候補の学校ごとの、通学時間と初年度の総額

個別相談で聞きたいこと

  • 確約の対象になる北辰テストの回と、数字の出し方
  • 内申点の数え方(9教科か5教科か、学年ごとの扱い)と、資格による加点の有無
  • 基準にあと少し届かない場合の扱い
  • 入学金や授業料を納める期限と、公立の結果を待てるかどうか

個別相談は、基準をごまかす場ではなく、学校の示す基準を確かめ、今の状況を正直に伝えて相談する場です。内申点や北辰の数字を正確に伝えたほうが、学校からも具体的な助言を受けやすくなります。

判断は家庭で、確認は高校に直接。この役割分担を持っておくと、「塾に言われたから」ではなく、親子で納得して併願校を決められます。基準まであと少しという課題が見えてきたら、苦手な科目の対策をどう組むかは、併願校選びとは別に考えれば十分です。塾の講座を増やす、個別指導を使う、家庭学習の計画を立て直すなど、手段はいくつかあります。塾選びで迷ったときの視点は、こちらの記事に書いています。

→ 「とりあえず大手塾」で行き詰まる家庭の7つの特徴

よくある質問

Q. 併願校は何校くらい受験するのが一般的ですか?

ご家庭の考え方や本命校との兼ね合いによって差があります。何校が適切かは、確約の内容や試験日程にも関わるため、説明会や個別相談の際に、日程を並べて確認しておくと安心です。

Q. 確約をもらった後でも辞退できますか?

単願確約か併願確約かによって、扱いが違います。併願確約は、公立の結果次第で私立を辞退することが、最初から前提になっている仕組みです。公立に合格したときに辞退することは、通常の流れとして想定されています。

一方、単願確約は「その学校を第一志望として必ず入学する」という前提で認められるものです。合格後に辞退することは基本的に想定されていません。確約を受ける段階で、単願か併願かを必ず確認してください。

Q. 単願と併願、どちらが内申の基準は厳しいですか?

単願のほうが基準が低めの学校が見られますが、学校やコースによって差が大きく、一概には言えません。正確な基準は、学校ごとに確かめる必要があります。

Q. 併願校の確約が取れたら、公立本命の対策は手を抜いていいですか?

確約はあくまで受け皿であり、ゴールではありません。精神的な余裕が生まれること自体はよいことですが、そのまま公立の対策を緩めてしまうと、本来の目的から離れてしまいます。確約が取れたあとこそ、本命の対策に集中できる期間と考えましょう。

2027年入試では、公立でも面接が全員に行われます。自己評価資料を書く準備や、面接で自分の言葉で話す練習も、確約が取れて気持ちが落ち着いた時期に進めておくと安心です。

まとめ:併願校は「通うかもしれない学校」として選ぶ

この記事の要点を振り返ります。

  • 併願校は、内申点と北辰の結果次第で、実際に3年間通う可能性のある学校
  • 2027年入試は、調査書、自己評価資料、全員面接など、公立入試の制度が変わる最初の学年。情報は公式で確かめる
  • 後悔のもとは、ネームバリュー、コースの見落とし、見学不足、学力との差、通学と費用、単願・併願の思い込み、基準ぎりぎりの背伸び
  • チェックは「基準に余裕があるか」「コースが合うか」「通学と学費が現実的か」の3点
  • 数字を家庭で並べ、高校の個別相談で直接確かめる

親が次にやることは、3つに絞れます。まず、候補の学校の単願・併願それぞれの確約基準を、コース名つきで書き出す。次に、今の内申点と北辰偏差値を並べて、余裕のある学校を見つける。最後に、その学校の説明会か個別相談の予約を入れる。

2027年入試の制度や各校の確約基準は複雑で、迷うのは自然なことです。全部をご家庭だけで抱え込まず、制度や基準の確認は高校の個別相談で、学力面の相談は塾や学校の先生にと、切り分けて進めていきましょう。

併願校は、数字を確かめ、実際に足を運び、親子で納得して選べば、「とりあえず」の後悔はぐっと減らせます。できるところから、一つずつ進めてください。