「北辰の偏差値が50台前半で伸び悩んでいる。この成績で、大学進学を見据えた私立高校なんて選べるのかしら」「特進コースの確約が取れないと、大学進学はあきらめるしかないの?」。三者面談の場で、こうした不安を口にされる保護者の方は少なくありません。
結論から言うと、北辰偏差値50台でも、大学進学に力を入れている埼玉の私立高校は選べます。ただし、見るべきは学校名よりも「自分の子が入るコース」の基準と進路の傾向です。同じ学校でもコースによって必要な成績が大きく違うので、パンフレットの表紙に載るコースだけを見て判断しないことが大切です。
この記事では、東部・南部・西部から花咲徳栄高校、浦和学院高校、山村学園高校の3校を取り上げます。確約の仕組み、コースごとの違い、公式に公表されている日程や基準、学費を整理し、個別相談で何を確かめればよいかをまとめました。ここでは、学校が公表している情報を中心に書きます。基準は年度で変わるので、最後は必ず各校のその年の募集要項で確認してください。
前提:北辰偏差値50台はどのくらいの位置か
まず、「北辰偏差値50台」という言葉の位置づけを整理します。北辰テストの偏差値は、県内の受験生の中での自分の位置を示す数字です。一方、学校の偏差値(学校案内などに載る数字)は、その学校の合格者層の目安です。この2つは別のものなので、「北辰55だから偏差値55の学校なら安全」と単純に重ねることはできません。
特に私立高校の場合、同じ学校の中でもコースごとに学力の幅があります。そのため、北辰50台の層は、公立の第一志望に届くかどうかの境目にいながら、私立の中では複数のコースから選べるゾーンにいると言えます。ここで大切なのは、公立の結果を見てから決められる併願の仕組みを活用しつつ、私立の中でも大学進学に合うコースを選ぶことです。
この記事の3校は、成績の幅が違う家庭が自分の位置を確かめやすいように選びました。北辰偏差値が40台後半から50前後の層には花咲徳栄と浦和学院の進学系コース、50台後半の層には山村学園の総合進学コースを中心に紹介します。コースの偏差値の数字は、あくまで目安として読んでください。
埼玉の私立高校選びで知っておきたい「確約」の仕組み
埼玉県の私立高校入試では、秋以降の個別相談で成績を示し、合格の見通しを伝えてもらう「確約」という慣習があります。学校によって「推薦」「相談」などの呼び方が違い、基準の数字を公表している学校と、公表していない学校があります。
押さえておきたいのは、確約の基準は同じ学校でもコースによって違うという点です。特進系のコースは基準が高く、進学系や総合進学系のコースは基準が低めに設定されているのが一般的です。パンフレットに大きく載る難関大学の合格実績は特進系の生徒の成果であることが多く、お子さんが入るコースの実績とは別だと考えましょう。
基準の数字は、学校によって扱いが違います。この記事の3校で、2026年11月時点で確認できた状況は次のとおりです。
- 浦和学院:中学校推薦の評定基準が募集要項に公表されている。保護者推薦は個別相談会への参加が条件
- 山村学園:公式サイトの入学試験要項には、確約や内申の基準の数字が書かれていない(人物・学業成績ともに優れている者、との記載のみ)
- 花咲徳栄:2027年入試の募集要項は、現時点では読める形で公表されていない。県の入試要項に載っている日程と募集人員のみ
インターネット上には、掲示板や予備校系サイトに「確約の目安」がいくつも載っています。ただし、公式の数字ではなく、年度によって変わるものです。この記事では、学校が公式に公表している数字だけを書き、公表されていないものは「個別相談で確認する」としています。確約全体の仕組みや各校の基準は、次の記事にもまとめています。
→ 内申・北辰の確約基準一覧【2027年入試】埼玉私立の学校別
基準に少し届かないとき:個別相談では正直に伝える
基準にわずかに届かないとき、多くの保護者の方が「あきらめるしかないのでは」と考えます。ですが、学校によっては、成績以外の活動や資格を考慮する仕組みを設けています。たとえば浦和学院では、保護者推薦の「自己PR」として、次のような項目が募集要項に書かれています。
- 生徒会活動で会長または副会長を務めた
- 委員会活動で委員長を務めた
- 英検・漢検・数検のいずれかで3級以上を取得している
- ボランティア活動の経験がある
ここに挙げたのは募集要項にある項目の一部で、ほかにも自己PRの項目があります。これらは、進学類型の6コースの単願・併願を希望する場合に、1つ以上当てはまることが条件とされています。どの程度考慮されるかは個別相談会での相談になるので、資格や活動歴は、成績表と一緒に正直に伝えてください。「誇張する」のではなく、事実をそのまま示して、学校の示す基準に照らして相談する場だと考えるのがよいでしょう。ほかの学校でも同じ仕組みがあるとは限らないので、自分の志望校について、募集要項と相談会で確かめてください。
志望するコースの評定にあと少し足りないとき、「足りないから無理」と相談を見送ってしまうのは、もったいない判断です。英検3級や委員長の経験があるなら、事実だけをまとめた資料を持って相談会に行き、出願できるコースの選択肢を学校と一緒に整理できます。ただし、どう扱うかは学校の判断であり、同じ状況でも結論が変わる場合があります。
大学進学を見据えた高校選びで見る4つのポイント
- 併願・単願それぞれの基準:単願は入学を約束する代わりに基準が低め、併願は基準が高めになるのが一般的です。浦和学院のように、公表された数字で比べられる学校もあります。
- 入るコースの進路傾向:学校全体の合格者数ではなく、自分が入るコースでどの大学群が中心なのかを、個別相談で具体的に聞いてください。
- 指定校推薦の使いやすさ:コースによって、一般受験を前提とするコースと、推薦を活用するコースに分かれる学校があります。自分のコースで、実際にどの大学の推薦枠が使われているかを確認しましょう。
- 初年度の学費の総額:授業料だけでなく、入学金・施設費・教材費・積立金などを含めた総額で比べます。国の就学支援金や埼玉県の補助で、実際の負担は家庭ごとに変わります。
これらを踏まえて、3校を順に見ていきます。
北辰50台前後で検討したい私立高校3校
1. 花咲徳栄高校(加須市・県東部)
花咲徳栄は、普通科にアルファコースとアドバンスコースがあり、ほかに食育実践科があります。埼玉県の令和9年度入試要項(2026年9月11日掲載)では、募集人員は普通科アルファが140人、普通科アドバンスが300人、食育実践科が80人です。
みんなの高校情報に載っているコース別の学校偏差値は、アドバンスコースの選抜進学が53、特別進学が51、総合進学が47です。アルファコースは特別選抜が61、文理選抜が58、理数選抜が62で、食育実践科は46です。北辰偏差値が40台後半から50前後の層は、アドバンスコースの3つのクラスが主な検討範囲になります。
2027年入試の試験日は、県の入試要項によると次のとおりです。いずれも合格発表はインターネットです。
2027年入試の日程(県の要項)
- 第1回:試験日 2027年1月22日(金)、発表 1月24日(日)
- 第2回:試験日 1月23日(土)、発表 1月24日(日)
- 第3回:試験日 1月29日(金)、発表 1月30日(土)
一方で、単願と併願の区分、出願期間、受験料、確約の基準、入学手続の期限、学費は、現時点では公表されていません。民間の入試情報サイトには前年度の情報がありますが、2027年入試の事実としては扱えません。公式サイトで募集要項が公開されたら、保存して数字を書き出し、足りない項目は電話や個別相談で確認してください。
校風の合う合わないは、実際に見てみないとわかりません。説明会や文化祭で、学校の雰囲気を確かめるのがおすすめです。部活動に入る予定がある場合は、活動の日数や時間と、希望するコースの時間割がどう重なるかを、個別相談で具体的に聞いてください。
2. 浦和学院高校(さいたま市緑区・県南部)
浦和学院は、国際・特進・進学の3類型があり、普通科の募集定員は800名です。進学類型には、文理選抜・文理進学・総合進学などのコースがあります。みんなの高校情報のコース別偏差値は、文理選抜が55、文理進学が51、総合進学が47です。進学類型のコースが、北辰偏差値50台前後の層の中心的な候補になります。
浦和学院の特徴は、中学校推薦の評定基準が募集要項に公表されていることです。進学類型の主なコースの基準(5科は国語・数学・英語・社会・理科、3科は5科のうち上位3教科)は、次のとおりです。
中学校推薦の評定基準(2027年度入試)
- 文理選抜は、単願が「3科11・5科18・9科33」、併願が「3科12・5科19・9科34」です。3コースの中でいちばん高い基準です
- 文理進学は、単願が「3科10・5科17・9科31」、併願が「3科11・5科18・9科32」で、文理選抜より単願・併願とも各1ずつ低くなっています
- 総合進学は、単願が「3科9・5科16・9科29」、併願が「3科10・5科17・9科30」で、3コースの中でいちばん低い基準です
評定は、3年次の1・2学期(前期)の通知表か、3年次の学年評定を使います。共通の条件として、3年次の欠席が10日以内(理由があれば20日以内)で、9教科に「1」がないことが求められます。推薦には、中学校の判断で出す「中学校推薦」と、保護者の判断で出す「保護者推薦」があり、保護者推薦は個別相談会への参加が条件です。チャレンジ受験(相談したコースより上のコースへ出願する制度)は、保護者推薦のみで使えます。
2027年入試の日程は、単願推薦と併願推薦の試験が1月22日(金)です。併願推薦は1月22日〜24日から選べます。併願の場合は、合格発表後から2月3日(水)までに延納金1万円を納めると、入学金等の納付期限が3月8日(月)17時まで延びます。この延納金は入学金の一部に充てられ、入学を辞退した場合は返金されません。
初年度の学費は、募集要項によると、入学手続時に入学金25万円と施設費10万円の合計35万円です。毎月の授業料などは、授業料3.8万円・設備維持費0.6万円・施設管理費0.6万円・保護者の会費0.2万円・後援会費0.2万円で、合計5.4万円(旅行積立金は実費)です。このほか、2年次・3年次にも施設費が各10万円かかり、制服や教科書などは別途必要になります。
どんな子に合うかについては、コースが多く規模の大きい学校なので、自分で先生に質問して、必要な支援を取りにいける子に向いていると考えられます。サポート体制は、個別相談で具体的に聞いておくと安心です。大学の合格実績は、コースごとの内訳が公式に出ていない場合があるので、「自分のコースではどの大学群が中心か」を質問してください。
3. 山村学園高校(川越市・県西部)
山村学園は、特別選抜SA・特別進学EL・総合進学GLの3コース制で、埼玉県の令和9年度入試要項の募集人員は、SAが40人、ELが160人、GLが240人です。みんなの高校情報のコース別偏差値は、SAが64、ELが62、GLが59で、他の2校より一段高い位置にあります。北辰偏差値が50台後半の層が、GLコースを検討する形になります。
山村学園の公式サイトの入学試験要項には、確約や内申の基準の数字は書かれていません。出願資格は「人物・学業成績ともに優れている者」とされているだけなので、基準は個別相談会で確かめる必要があります。ネット上に出回る目安の数字は、公式ではありません。
2027年入試の日程は、公式サイトの入学試験要項によると次のとおりです。
単願入試
- 試験日:2027年1月22日(金)
- 合格発表:1月25日(月)10時(インターネット)
- 入学手続期間:1月25日(月)〜1月29日(金)
併願入試
- 試験日:山村学園の併願は、1月22日(金)・23日(土)・24日(日)のうち都合のよい日を選べます(複数日の受験も可)
- 合格発表:1月26日(火)10時(インターネット)
- 入学手続期間:1月26日(火)〜2月5日(金)
- 延納:延納手続を2月5日までに行うと、入学手続を3月7日(日)まで延ばせる
入試は国語・数学・英語の3教科(各50分・100点・マークシート方式)と書類審査です。インターネット出願の期間は、2026年12月19日(土)から2027年1月12日(火)23時59分までです。
学費は、公式サイトの「学費・諸経費」のページに、令和7年度の予定金額が載っています。入学金23万円、授業料年額33万6,000円、施設費年額14万4,000円、学年費・教材費14万円、宿泊研修費4万円です。2027年度入学者の金額ではないので、あくまで参考にしてください。このほかに、制服や研修旅行の費用がかかります。
GLコースの進路については、一般受験の割合や推薦の使われ方を、公式の数字では示されていません。そのため、ここでは傾向を断定しません。個別相談では、「GLコースの生徒は、どのような進路方法で、どの大学群に進んでいるか」を、できれば直近の実績で聞いてください。
偏差値の出典:みんなの高校情報(花咲徳栄高校・浦和学院高校・山村学園高校)
3校を並べて見る
数字はいずれも2026年11月時点で公表されているものです。公表されていない項目は「公表なし」と書いています。
花咲徳栄(加須市)
- 検討するコース:アドバンス(選抜進学・特別進学・総合進学)
- 確約の基準:公表なし
- 試験日:1月22日・23日・29日
- 学費:公表なし
浦和学院(さいたま市緑区)
- 検討するコース:進学類型(文理選抜・文理進学・総合進学)
- 確約の基準:中学校推薦の評定基準を公表(総合進学の単願は9科29、併願は9科30)
- 試験日:推薦は1月22日〜24日、一般は1月30日
- 入学手続時の納付金:35万円
山村学園(川越市)
- 検討するコース:総合進学GL
- 確約の基準:公表なし(個別相談で確認)
- 試験日:単願は1月22日、併願は1月22日〜24日
- 学費:令和7年度の参考額あり(入学金23万円など)
各校の日程や注意点は、次の記事で詳しく整理しています。
→ 山村学園高校の特待は定員10名|延納で3月7日まで延ばせる
北辰50台の保護者からよくある質問
Q. 確約をもらったあとは、勉強を緩めてもよいですか?
緩めないほうが安心です。確約は、入学後の学力や、公立高校を受ける場合の準備とは別の話です。浦和学院の募集要項にも、出願後の調査書で「1」がある場合や、入試当日の態度が適切でないと判断された場合は、推薦の対象にならないと書かれています。確約が出たあとも、評定や生活態度は最後まで保ちましょう。
Q. 総合進学コースからでも、大学進学は狙えますか?
コースによって進路の傾向が違うため、一概には言えません。大切なのは、学校全体の合格実績ではなく、自分が入るコースの進路を聞くことです。個別相談では、「このコースの生徒は、指定校推薦と一般受験のどちらが多いか」「推薦枠はどんな大学に回っているか」を質問すると、実態に近い答えが得られます。
Q. 基準が非公表の学校は、どう準備すればよいですか?
通知表と北辰テストの成績表を持って、個別相談会に出て確かめるのが基本です。学校によっては、相談会の参加が出願の条件になっています。予約が早く埋まる学校もあるので、公式サイトの説明会・相談会のページを早めに確認してください。
基準に届くかどうかが分かれ目になるご家庭は、残りの期間で何を伸ばすかを決める必要があります。北辰の偏差値は、5教科の合計のわずかな差でも、基準に届くかどうかが変わります。
記事を読んだあとにやってほしいこと
この記事の数字は、2026年11月に公式サイトなどで確認できた範囲のものです。基準や日程は毎年見直されるので、必ず志望校のその年の募集要項で確かめてください。秋から冬にかけて、次の3つを進めていきましょう。
- 学校説明会や個別相談会に参加し、その年の基準を学校から直接聞く
- 自分が入るコースの進路傾向と、指定校推薦の使われ方を質問する
- 英検などの資格や活動歴は、事実のとおりに整理して持参する
相談会では、親の受け答えや態度も見られていることがあります。聞きたいことを事前にメモしておくと、時間を有効に使えます。
学校選びと並行して、基準までの差をどう埋めるかも考える必要があります。塾の転塾や追加を考えている場合は、次の記事も参考にしてください。
日程が重なる1月は、受験校の試験日と手続の期限が近づきます。残りの期間を考えると、秋から冬の間に苦手の対策を進めておく必要があります。部活が忙しくて集団塾のペースに合わない、あと少しの偏差値や評定を伸ばしたい、というご家庭は、家庭教師や個別の指導を加える選択肢もあります。ただし、会社によって料金体系も講師も大きく違うので、1社の説明だけで決めず、先に比べることが大切です。
まとめ:コースごとの基準と進路を、自分の目で確かめる
- 北辰偏差値50台でも、大学進学に力を入れている私立高校は選べる。見るのは学校名より、入るコースの基準と進路
- 確約の基準は、同じ学校でもコースで違う。パンフレットの難関大学の実績は、特進系の成果であることが多い
- 浦和学院は中学校推薦の評定基準を公表している。山村学園は公式の要項に基準の数字がなく、花咲徳栄は2027年入試の要項が未公表のため、個別相談での確認が必要
- 併願は、延納の期限(浦和学院は2月3日までに延納金、山村学園は2月5日までに延納手続)を見落とさない
- 資格や活動歴は、事実のとおりに整理して個別相談で伝える
次にやることは、志望校の説明会・個別相談会の予約と、通知表・北辰の成績表の整理です。数字が公表されていない学校は、相談会で質問して、メモに残してください。お子さんに合うコースを、納得して選べるよう応援しています。






