中1の英語でつまずいた子へ|中2の内容が進む前に戻る場所

「三単現のs」を、教科書にもワークにも書いてあるのに、どうして毎回落とすのか。親から見ると、不思議に思える場面です。

「英語のテスト、中1の最初は普通に取れていたのに、2学期から急に半分くらいになった」
「本人は『単語は覚えてる』と言うのに、文を書くと間違いだらけ」

英語は、数学と並んで、積み上げで差がつく教科です。中1の内容があいまいなまま中2に進むと、新しい文法が上に重なって、どこでつまずいたのか本人にもわからなくなります。結論からお伝えすると、中1の英語は「全部やり直す」必要はなく、つまずいた文法の入口を見つけて、そこから順番に戻れば取り返せる範囲に収まることが多いです。

以下では、be動詞・一般動詞・三単現のどこで止まっているかの見分け方から、中2の英語が本格的に始まる前に戻る順番、家庭での単語と英作文の練習、外部に頼るときの比べ方までを順に書きます。いま中1のお子さんが受ける入試の制度と日程は、2026年11月時点で県から発表されていないため、数字は載せません。

まず「どこで止まっているか」を見分ける

「英語が苦手」と言っても、止まっている場所は子どもによって違います。単語が覚えられないのか、文の形がわからないのか、読むことはできても書けないのか。ここを見誤ると、毎日単語を書かせても手応えが出ません。

学校や教科書によって進む順番は違いますが、中1の英語は、一般に次のような流れで文法が積み上がっていきます。

  • be動詞(am・is・are)と、一般動詞の肯定文
  • 否定文・疑問文(「〜ではありません」「〜ですか」の形)
  • 三人称単数現在(三単現)の s
  • can などの助動詞、命令文
  • 現在進行形(〜している)
  • 過去形(学校によっては中1の後半、または中2の最初に学ぶ)

この中でも、be動詞と一般動詞の使い分けが、いちばん多くの子がつまずく入口です。ここがあいまいだと、否定文・疑問文・三単現のすべてで間違いが連鎖します。

つまずき方の3つのタイプ

中1の英語のつまずきは、大きく3つに分けて考えると整理しやすいです。

  • 単語・発音のタイプ:単語が覚えられない、綴りが定着しない、読み方がわからない。ローマ字との混同も多い
  • 文の形のタイプ:主語の次に何が来るか、be動詞か一般動詞かが選べない。語順が日本語のまま英語になる
  • 読む・聞く・書く、の手順のタイプ:単語も文法も部分的にはわかるのに、長めの文や対話文になると手が止まる

同じ「英語ができない」でも、手を打つ場所は全く違います。単語のタイプに文法の問題集を渡しても、文の形のタイプに単語帳を渡しても、手応えは出ません。

つまずきの場所を見分けるチェックリスト

  • テストで落とした問題を見ると、be動詞か一般動詞かを選ぶ問題の失点が目立つ
  • 否定文・疑問文に書き換える問題で、doやdoesを入れる場所がわからない
  • 主語が he や she のとき、動詞に s を付け忘れる、または何にでも付けてしまう
  • 単語テストは満点に近いのに、文を書く問題は白紙に近い
  • 教科書の本文を、声に出して読むとつかえる
  • 日本語を見て英文を作るとき、日本語の順番のまま単語を並べてしまう
  • 間違い直しをしても、数日後に同じ形でまた間違える

7つのうち、多く当てはまるのが be動詞・一般動詞の項目なら、戻り先は文法の入口です。単語テストの項目なら、読み方と綴りです。止まっている種類が2つ以内に絞れれば十分で、絞れると戻る範囲は思ったより小さくなります。

英語の点より、朝起きられない、食欲が落ちている、落ち込んだ様子が続くといった変化のほうが気になる場合は、成績の話の前に、担任やスクールカウンセラーに相談してください。この記事が扱うのは、学習面の見分け方だけです。

中2に進む前に、戻る順番を決める

中2の英語は、中1の文法を土台に、さらに新しい文法が加わります。たとえば、過去形、未来を表す言い方、不定詞、比較といったものです(どの順番で出るかは教科書で異なります)。新しい文法の説明には、中1で習った be動詞・一般動詞・疑問文・否定文の知識が当たり前のように使われます。

そのため、中1の穴が残ったまま進むと、「新しい文法がわからない」のではなく、「新しい文法の説明に出てくる中1の言葉がわからない」状態になります。これが、中2で英語が急に苦手になる子の典型的な形です。

戻る順番の目安

  1. be動詞と一般動詞の区別。「I am」「you are」「he is」と、「I play」「you play」の違いを、主語ごとに言えるか確認する
  2. 否定文・疑問文の作り方。be動詞の文は be動詞を動かす、一般動詞の文は do を使う、という2つの型を分けて練習する
  3. 三単現の s。主語が he・she・it・名前のとき動詞に s を付ける。疑問文・否定文では s が消えて does に移ることまで、セットで確認する
  4. 語順の感覚。「主語+動詞+〜」の基本の語順を、短い文で書く練習に戻る
  5. 現在進行形・過去形。ここまでが安定してから、学校の進度に合わせて確認する

順番を守る理由は、上のものが下のものの土台になっているからです。三単現がわからない子に、先に過去形を練習させても、結局は「主語によって動詞の形が変わる」という考え方で止まります。

「戻る」ときに大切な3つの考え方

  • 最初から全部やり直さない。チェックリストで絞った場所だけを、教科書の該当ページと学校のワークで確認する
  • 短い文で、声に出す。長文より、5〜6語程度の短い文を言って、書く。ここで止まれば、まだ土台に穴がある
  • 間違いの理由を一言で言う。「主語が he だから s が必要」のように、理由をセットで言えるようにする

保護者の方が英語を教える必要はありません。子どもに「この文、主語は何?」「be動詞と一般動詞、どっちを使う?」と聞くだけで、考える手順が見えてきます。答えられなければ、そこがまさに戻る場所です。

単語・発音のタイプには、読み方から整える

単語が覚えられない子の多くは、「覚えが悪い」のではなく、読み方と綴りが結びついていないことがあります。英語は、アルファベットの並びと発音に一定のきまりがあり、そのきまり(フォニックスと呼ばれる考え方)を知らないまま、ひとつずつ丸暗記しようとすると、負担が大きくなります。

家庭でできる単語の整え方

  • 覚えるときは、見て書くだけでなく、声に出して読みながら書く
  • 一度に覚える数を、1日5〜10語など少なめに決めて、翌日に前日分を確認する
  • 教科書の本文の中の単語を優先する。学校のテストに直結するのは、教科書に出てくる語だから
  • 知らない綴りの語は、先に音を聞いてから見る(教科書付属の音声やデジタル教材があれば活用する)

単語帳を何冊も広げるより、教科書の範囲をしっかり押さえるほうが、定期テストの点につながります。

文の形のタイプには、型を先に見せる

文の形でつまずく子は、「型」を見たことはあっても、自分で使ったことがないことが多いです。授業で例文を聞いて、ワークの穴埋めをこなしても、白紙の状態から自分で文を作る場面で止まります。

型を使う練習の進め方

  1. 教科書の例文を、ノートにそのまま写す
  2. 主語だけを入れ替えて書く(I → he → my sister など)。このとき動詞の形がどう変わるかを見る
  3. 否定文・疑問文に書き換える
  4. 自分の生活に合わせた文を1つ作る(「私は毎日7時に起きます」など)

最後の「自分の文を作る」まで来ると、型が自分のものになっていきます。途中でつまずく場所が、そのまま戻る場所です。

丸写し→主語の入れ替え→書き換え、という順番は、中2の新しい文法を学ぶときにもそのまま使えます。中1のうちに身につけておくと、中2以降の勉強が楽になります。

中1・中2の定期テストで点が取れないときの考え方は、別の記事にもまとめています。

→ 中1・中2の定期テストで点が取れない|原因の見分け方

中2の4月までの、時期ごとの進め方

中1のお子さんが中2に進級するのは、2027年4月です。11月から4月までを、次の3つの時期に分けて考えると、焦らずに進められます。

11月〜12月:戻る場所を特定し、1つだけ立て直す

  • 直近の英語の答案で、落とした問題に「文法の形」「単語の綴り」「英作文」のラベルを付ける
  • チェックリストで絞った場所のうち、いちばん上流のもの(be動詞と一般動詞の区別など)から始める
  • 期末テストの範囲が決まっていれば、その範囲の文法を優先する(学校のテストは内申点に関わるため)

冬休み:まとまった時間で、次の文法につなげる

  • 否定文・疑問文・三単現のうち、まだ不安なものを短い文で確認する
  • 新しい問題集を何冊も広げず、教科書の本文と学校のワークを解き直す
  • 毎日10分、教科書の本文を声に出して読む習慣を入れる

1月〜3月:学年末テストに向けて、土台をつなぐ

  • 学年末テストの範囲表が出たら、その単元の本文と文法を先に固める
  • 過去形など、中1の後半から中2の前半の内容に入ったら、「中1の型」を使って確認する
  • 中2の英語に出てくる新しい文法の単元名を、先に教科書の目次で確認しておく

過去形を中1で学ぶ学校と中2で学ぶ学校があるように、英語は教科書会社と学校で単元の順番が変わります。上の月は目安です。実際の進度は、学校の年間計画か配布プリントの単元表で合わせてください。

英語は、短い時間でも毎日触れるほうが定着しやすい教科です。「週末に3時間まとめてやる」より、「毎日10分を外さない」ほうが、結果として続きやすいです。

家庭だけでは手が回らなくなる場面

見分け方も、戻る順番も、単語や型の練習も、家庭で試せる内容です。ただ、中1の三単現や否定文・疑問文まで戻ろうとして、親子で行き詰まることもあります。次のような状況が重なるときは、家庭だけで抱えない選択肢も考えてみてください。

  • 答案を見ても、どの文法のどこで止まっているのか、親には判断できない
  • 親自身が英語に自信がなく、「間違いかどうか」を判断できない
  • 戻っている間に学校の授業は先へ進み、新しい文法が始まってしまう
  • 英作文を書いても、添削してくれる人が身近にいない
  • 親が教えようとすると口論になり、英語の話題そのものを避けられる

英作文の誤りは、三単現の s の付け忘れのように、書いた本人には見えにくいものです。そのため、中1に戻る作業、いまの授業の予習復習、英作文の添削の3つが重なると、家庭だけでは回りにくくなります。

このうち、戻り先の特定と英作文の添削は、英語がわかる第三者に見てもらうほうが早く進みます。

英語のつまずきで外部に頼るなら

英語の立て直しを人に頼む形は、塾、個別指導、家庭教師の3つです。会社名ではなく、中1の文法まで戻れるかという一点で見比べます。

集団授業の塾

学校より先の単元を決まったペースで進める塾が多く、中1の三単現に戻る時間は授業の中にありません。質問しづらい子は、わからないまま次の文法へ進みやすくなります。

個別指導塾

講師1人に生徒1〜2人という形が多く、「三単現でなぜ s が消えるのか」のようなわからない点を、その場で質問できます。一方で、教室に通う時間が要り、担当講師の経験や入れ替わりは教室によって違います。

家庭教師

自宅で教えてもらえるので、中1のどこまで戻るか、英作文をどう見てもらうかを、お子さんの様子に合わせて決められます。その反面、講師との相性が成果に大きく影響するため、合わなかったときに交代できるかを、事前に確かめておきたいところです。

外部の力を借りる価値が出やすいご家庭

  • 英語の戻り先が複数あり、家庭では特定できない
  • 英作文を見て直してもらう機会が家庭にない
  • 部活で平日の夜に時間が取れず、教室に通う枠を足せない
  • 英語の話になると親子で言い合いになり、第三者のほうが話しやすい

どの形でも、入会しただけで点が上がるとは限りません。見比べる項目は、料金、指導の形、講師の相性、合わなかったときの交代の可否です。英語では加えて、「中1の文法まで戻って教えてもらえるか」「英作文を添削してもらえるか」を最初に聞いておくと、入会後のずれが減ります。

→ 家庭教師と個別指導塾の違い|埼玉の中3の親が比べる7項目

答案を開いて主語を聞く、家庭で始める6つの動き

ここまでの内容から、家庭で始めやすい行動を6つ選びました。どれか一つからで構いません。

英語の答案を使った6つの動き

  • 直近の英語の答案を、子どもと一緒に見る(点数ではなく、落とした問題の種類を見る)
  • 落とした問題を、be動詞と一般動詞・否定文と疑問文・三単現・単語・その他に分ける
  • 「この文の主語は何?」「be動詞と一般動詞、どっちを使う?」と、聞き役になってみる
  • 毎日10分の英語の時間を、夕食後など決まった行動の直後に入れる
  • 学校の配布プリントで、次の定期テストの英語の範囲を見ておく
  • 三者面談や連絡帳で、学校の先生に「どの文法で止まっていそうか」を聞いてみる

今のうちに確認しておきたいこと

  • いま中1のお子さんが受ける入試の制度と日程は、2026年11月時点で未発表。県の発表が出てから確かめる
  • 調査書(通知表の評定)が公立入試でどう使われるかは、現在の制度の考え方として、下の記事で確かめておく

→ 埼玉の公立入試で中1・中2の通知表はどう使われる?

中2に進級するのは2027年4月です。それまでに冬休みと学年末テストがあり、取り組める時間はありますが、中1の英語の文法は、中2・中3の英語すべての土台になります。3学期になっても戻る場所が決まっていないと、新しい学年の英語を、土台がぐらついたまま始めることになります。戻る場所の特定は、早いほど範囲が小さくて済みます。

まとめ:中1の英語は、入口を見つけて順番に戻す

  • 「英語が苦手」の中身は、単語・文の形・読み書きの手順など、子どもによって違う。まず2つ以内に絞る
  • いちばん多い入口は、be動詞と一般動詞の区別。ここがあいまいだと、否定文・疑問文・三単現に連鎖する
  • 戻る順番は、be動詞と一般動詞→否定文・疑問文→三単現→語順→現在進行形・過去形
  • 単語は声に出して、教科書の範囲を優先。文の形は、丸写し→主語の入れ替え→書き換え→自分の文、の順で練習する
  • 11月〜12月は一つの入口を立て直し、冬休みに次へつなぎ、1月〜3月で土台をそろえる。学校の進度は必ず確認する
  • 中1への戻り、いまの授業、英作文の添削が重なると、家庭だけでは回りにくい
  • 人に頼むなら、中1の文法まで戻れるか、英作文を添削してもらえるかを最初に聞き、料金や交代の可否と並べて決める

最初の一歩は、直近の英語の答案を広げて「どの問題がいちばんしんどかった?」と聞くことです。返ってくる答えが be動詞でも三単現でも、戻る場所はそこから決まります。