学年末テストは、まだ先です。けれど、先だからこそ打てる手が、2学期のうちにはあります。
「2学期の通知表、あまりよくなかった。3学期で取り返せるのかな」
「学年末テストって、1年分の勉強が全部出るんでしょう? 今からで間に合うのか、そもそも何をすればいいのかわからなくて」
2学期の通知表が返ってくる秋から冬にかけて、中1・中2の保護者の方が気にしやすい疑問です。1年の締めくくりのテストは、親の目にも特別に見えます。結論からお伝えすると、学年末テストで評定を動かすには、テストの1〜2週間前の追い込みより、2学期のうちから2月までの間に、点を落とす原因を一つずつ減らしておくことのほうが効きます。
この記事では、埼玉の公立入試で中1・中2の通知表がどう関わるかを県の公表資料で確認したうえで、学年末テストに向けて2月までに家庭でできること、それでも手が回らないときの外部の力の見方を整理します。評定の決まり方は学校ごとに違うため、確認できないことは「学校に確認する」と書いています。
学年末テストで内申点が動く場面と、動かない場面
まず、学年末テストが通知表のどこに関わるのかを整理します。ここを勘違いしたまま頑張ると、努力の向け先がずれてしまいます。
通知表は「定期テストの点」だけで決まるわけではない
埼玉の公立入試で使われる調査書は、各教科の学習の記録(9教科5段階の評定)が基本です。この評定が、各教科でどう決まるのかは、学校や先生によって違います。一般に、定期テストの点に加えて、提出物、授業中の取り組み、小テストなどが合わさって決まります。
そのため、「学年末テストで高得点を取れば、評定が必ず上がる」とは言えません。テストの点は大きな材料の一つですが、すべてではない、という前提で考えてください。
中1・中2の評定も、入試の計算に入る(令和9年度の方針)
県の「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針」では、共通選抜の調査書は、評定の各学年別合計(9教科×5段階=45点満点)に、各学年の比率(1年:2年:3年)をそれぞれ乗じて加えた数を基本点とするとされています。比率は、各高校が1:1:1、1:1:2、1:1:3のいずれかから選びます。
この比率は、いま中3の学年が受ける令和9年度(2027年)入試のものです。いま中2の学年が受ける令和10年度入試については、学力検査が2028年2月29日と発表されている一方、調査書の扱いは県の公式サイトで改めて確かめる必要があります。ただ、学年末の評定が調査書に入るという考え方は、中1・中2の通知表を見るときの目安になります。
学年末は「1年のまとめ」だが、前の学期の分は戻らない
学年末テストは、その学年の最後の定期テストにあたる学校が多く、評定にも関わる大切な機会です。ただ、1学期・2学期のテストや提出物の評価を、3学期のテストだけで全部ひっくり返せるとは限りません。どのくらい3学期の評価が重く扱われるかは、学校の評価方法によります。
だからこそ、「学年末でまとめて取り返そう」と構えるより、学年末までに残っているテストと提出物の機会を、一つずつ丁寧に取りにいくほうが現実的です。
お子さんの状況を見分けるチェックリスト
- 2学期の中間テストの答案を、間違いの種類(知らなかった・忘れていた・ケアレスミス)に分けて見たことがない
- 提出物の期限を、お子さん本人が把握していない
- 3学期のテスト範囲が、前の学期より広いことを知らない
- 点が低い教科が、1〜2教科に固まっている
- 前の単元や前の学年の内容があやふやなまま、次に進んでいる
- 学校の評価の方法(テストと提出物の比率など)を、先生の説明で聞いたことがない
当てはまるものが多いほど、学年末の直前に慌てるよりも、いまのうちに整えておく価値が大きくなります。学年末テストの時期や、範囲の出し方は学校ごとに違うので、お子さんの学校の年間予定表で確認しておきましょう。
2月までの流れを逆算する|3つの時期に分ける
学年末テストの前に、2学期の期末テストが控えている学校が多いはずです。2学期から2月までを、3つに分けて考えます。日付は学校ごとに違うので、年間予定表を見ながら当てはめてください。
時期1:2学期の期末テストまで(立て直しの時期)
学年末に向けた土台づくりは、実は2学期の期末テストから始まっています。期末テストで「やり方のズレ」を直せれば、3学期にその型をそのまま使えるからです。この時期にやるのは、次の3つです。
- 中間テストの答案の見直し:間違いを3種類(知らなかった・忘れていた・ケアレスミス)に分ける
- 提出物の期限の洗い出し:期末までに出すものを、一覧にして壁に貼る
- 苦手教科の絞り込み:全教科を同時に立て直さず、1〜2教科に絞る
詳しい勉強のやり方は、定期テストの点が取れない原因を整理した記事にまとめています。
時期2:冬休み〜3学期の始め(穴埋めの時期)
冬休みは、学校の授業が止まるぶん、前の単元に戻る時間をつくりやすい期間です。学年末テストの範囲は、その学年の内容が広く含まれることが多いため、前半に習った単元を放っておくと、そこで点を落としやすくなります。
- 1学期・2学期に習った単元のうち、テストで間違えた問題を、ワークで解き直す
- 英単語・理科社会の用語は、白い紙に書いて出せるか確認する
- 数学の計算ミスが多い子は、計算だけの練習を毎日5分でも続ける
時期3:学年末テストの2〜3週間前(仕上げの時期)
範囲表が出たら、その日を「スタートの日」にします。ここまでにやってきた解き直しがあれば、新しく覚えることは少なくなり、仕上げに集中できます。
- 範囲表を、お子さん本人が1枚の予定表に書き直す
- ワークは、間違えた問題だけを2周目で解く
- 提出物は、期限の3日前までに終わらせる
- テスト前日は新しい範囲に手を出さず、間違えた問題の確認だけにする
2学期の中間テストで点が下がった教科があるときは、「期末と学年末で取り返そう」と考えがちです。ただ、期末テストの範囲表が出る時期によっては、ほかの教科と重なって手が回らないことがあります。その場合は、中間と期末で間違えた問題を、冬休みにまとめて解き直す形に切り替えると、学年末の範囲に向けた準備になります。点を一気に戻そうとせず、間違えた問題の解き直しから始めるのが現実的です。
家庭でできる準備|学年末までに積み上げる5つのこと
学年末テストに向けて、親が教科を教えられなくても整えられることを5つにまとめます。親は教える役ではなく、「仕組みを整える役」に回るのがいちばん続きます。
1:テストと提出物のカレンダーを、家の見える場所に貼る
学校の年間予定表と、各教科の提出物の期限を、1枚のカレンダーにまとめます。お子さんに書いてもらい、親は確認するだけで構いません。「いつ何があるか」を家族全員が見える状態にしておくと、直前に慌てる回数が減ります。
2:提出物は「出す」だけで終わらせず、テスト勉強に変える
ワークやプリントは、提出して終わりにすると、評価には役立ってもテストの点にはつながりにくくなります。出す前に、間違えた問題に印をつけ、提出後にもう一度解き直す。この一手間で、提出物がそのままテスト勉強になります。
3:授業中の取り組みは、家庭で本人に聞いてみる
通知表の評価には、授業中の取り組みも関わります。親が学校の様子を見ることはできませんが、「きょうの授業で、先生が一番大事だと言っていたことは?」と聞くだけでも、お子さんが授業の要点を意識するきっかけになります。授業態度を責める口調にならないよう、聞き役に徹するのがコツです。
4:苦手教科は1つに絞って、前の単元にさかのぼる
全教科を同時に立て直そうとすると、どれも中途半端に終わります。まず点が低い教科を1つ選び、その教科で間違えた問題を、前の単元までさかのぼって確認します。穴が見つかった単元を優先して直すほうが、学年末の範囲全体の点につながります。
5:テストが返ってきたら、その日のうちに15分だけ直す
返却日は、間違いの原因がいちばん鮮明な日です。全部を直す必要はありません。「知らなかった」「忘れていた」「ケアレスミス」に分けて、次にやることを一つ決めるだけで十分です。責めるのではなく、「どこで迷った?」と聞くようにしてください。
→ 内申点があと1足りない中3|期末テストと提出物で届く範囲
この5つは家庭で始められます。ただ、学年末までの時間は意外に短いのが現実です。テストの前には期末テスト、冬休み、年末年始の行事、そして学校ごとの3学期の予定があり、部活や習い事の合間に前の単元までさかのぼる時間を毎週確保するのは簡単ではありません。しかも、前の単元の穴は、親が教科を教えられないと、どこにあるのかを特定する段階で止まりやすくなります。学年末テストの範囲は学校が決めて、お子さんの努力の結果が出るのは学期末と決まっているので、立て直す前に時間切れになる可能性も残ります。
教科別に見る|学年末テストで差がつきやすいところ
学年末テストは、1年間の内容が範囲に含まれる学校が多く、教科ごとに落とし穴があります。範囲は学校によって違うため、実際の範囲表で確認してください。
数学:中間・期末で間違えた単元が、そのまま残っていないか
数学は、前の単元の計算や考え方が、次の単元の土台になります。中1なら正負の数・文字式・方程式、中2なら連立方程式・一次関数・図形の証明が、積み上がりの中心です。学期ごとのテストで間違えた単元の問題を、何も見ずに解き直せるかを確かめましょう。
英語:本文を「書ける」「読める」まで持っていく
英語は、単語・文法・本文のどれかが欠けると点がつながりません。教科書の本文を声に出して読み、和訳から英文を書けるかを確認します。学年末に近いほど文法事項が増えるため、早めに前の学期の文法を整理しておくと、直前の負担が軽くなります。
理科・社会:用語と「なぜ」をセットで確認する
理科・社会は、用語の暗記だけでなく、「なぜそうなるか」を一言で説明できるかがポイントです。ワークの記述問題や、図・グラフを読む問題を、解き直しの対象に入れておきます。範囲が広くなるぶん、1日に回す量を決めて、少しずつ進めたほうが定着しやすくなります。
国語:漢字・文法・古文の基本で、取れる点を落とさない
国語は、読解で点を取るのが難しく感じられますが、漢字、文法、古文の基本のように、準備すれば取れる部分があります。まずその部分で落とさないことが、学年末の点を安定させる近道です。
実技教科:提出物と授業中の取り組みが評価に直結しやすい
音楽・美術・技術家庭・保健体育は、9教科の評定に入ります。ペーパーテストだけでなく、作品や実技、提出物の評価が大きく関わる教科です。期限の遅れや未提出があると、5段階の評定に影響が出やすいので、提出物の期限は特に注意して管理してください。
外部の力を借りるか迷ったとき|塾・個別指導・家庭教師の見方
解き直しや予定づくりを家庭で試しても、2学期の期末までに動きが見えない教科があるときは、塾や家庭教師に頼む道もあります。どこかを勧めるものではなく、学年末に向けた使い方の見方だけを書きます。
どんな場合に、外部の力を借りる価値があるか
- 前の単元までさかのぼる必要がある:穴を特定して戻って教えてもらえる形が合います
- 学年末までの計画づくりが続かない:テスト範囲を見て、いつ何をやるかを一緒に決めてもらえる形が合います
- 親が教えると感情的になってしまう:第三者が入ることで、親子の関係を保ちやすくなる場合があります
- 部活や習い事で、通う時間が取りにくい:自宅やオンラインで受けられる形が合う場合があります
3つの形の大まかな違い
- 集団授業の塾:授業の時間割は塾が決めます。学校の進度とは別に進むことが多く、学年末テストの範囲に合わせた細かい対応は、教室ごとに差があります
- 個別指導塾:講師1人に対して生徒が1〜数人です。前の単元に戻りながら進めやすい一方、講師の質や担当変更の有無は教室ごとに差があります
- 家庭教師:自宅やオンラインで1対1の形です。提出物の期限を含めた学期ごとの計画を一緒に作りやすいですが、講師との相性が合わないと続きにくくなります
比べる軸は金額より中身です。費用は会社ごとの差が大きいため、ここでは金額に触れません。学年末テストを見すえるなら、次の6点が手がかりになります。
- 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費・季節講習)
- 学校の定期テストの範囲に合わせた指導や、提出物の管理まで見てもらえるか
- 前の学年にさかのぼって教えてもらえるか
- 講師を選べるか、合わなかったときに交代できるか
- 部活や習い事と両立できる曜日・時間帯か
- 体験授業の有無と、入会前に質問できる機会があるか
1社の説明だけでは、この6点は並べて見られません。複数の資料を同じ順で読むと、学年末までの予定に合うのがどの形かがつかめます。
家庭教師と個別指導塾の違いは、7つの項目に分けた別の記事に書いています。
→ 家庭教師と個別指導塾の違い|埼玉の中3の親が比べる7項目
やらなくていいこと
通知表が気がかりだと、あれこれ口を出したくなります。学年末に向けては、次のことが裏目に出やすいです。
- 「通知表を上げなさい」とだけ言うこと。何をすれば上がるのかが伝わらず、本人は追い込まれるだけです
- 5教科も実技教科も一度に仕上げようとすること。学年末の範囲は広いので、手を入れる教科は1〜2つに絞ります
- 学校の先生に、評定の根拠を問い詰めるように聞くこと。評価方法の確認は大切ですが、「どうすれば伸ばせますか」という聞き方のほうが、具体的な答えを引き出しやすくなります
- 他の子の通知表と比べること。学校や先生によって評価の基準は違うので、比べても判断材料になりません
点の低い理由を一緒に探す側に回ると、お子さんも次の一手を自分で選びやすくなります。
今週の予定確認から、冬休みの解き直し、学年末の範囲表まで
2月までの動きを、週・期末・冬休みの順に並べました。実際の日付は学校の予定表に合わせて動かしてください。
今週中にやること
- 学校の年間予定表で、2学期の期末テストと学年末テストの時期を確認する
- 直近のテストの答案を見て、間違いの種類を一緒に分ける
- 提出物の期限を一覧にして、見える場所に貼る
期末テストまでにやること
- 点が低い教科を1〜2つに絞り、前の単元にさかのぼる
- ワークは、間違えた問題だけの2周目をテスト前日までに1回やる
- 期末テストまでに外部の力を借りるか迷うときは、塾・個別指導・家庭教師の資料を集め、費用や提出物への対応の項目を並べて見比べる
冬休み〜学年末までにやること
- 1学期・2学期で間違えた単元を、冬休みのうちに解き直す
- 学年末テストの範囲表が出たら、その日に予定表を書く
- 学年末の通知表が届いたら、1学期から3学期の評定を並べ、動いた教科と動かなかった教科を見分ける
- 受検する年度の日程や調査書の扱いは、県の公式サイトで確かめる
期末・冬休み・年始の行事に挟まれると、学年末の準備に使える日は限られる
学年末テストは、学校によって差はあるものの2月〜3月ごろです。その手前に、2学期の期末テスト、冬休み、年末年始、3学期の授業が並びます。自由に使える日は、数えてみると思ったより多くありません。
前の単元の穴は、小さいうちに見つけるほど戻す時間が短くて済みます。外部の力を借りるかどうかは、資料を読んでから決めて間に合います。
まとめ:学年末の評定は、直前の追い込みより、いまからの積み上げで動かす
- 通知表の評定は、定期テストの点だけでなく、提出物や授業中の取り組みも含めて学校が決めます。決め方は学校ごとに違うので、先生の説明を確認しておきましょう
- 令和9年度入試の方針では、中1・中2の評定も調査書の基本点に入ります。令和10年度入試の扱いは県の公式サイトで確かめます
- 2月までは、期末テストまで(立て直し)、冬休み(穴埋め)、学年末の2〜3週間前(仕上げ)の3つに分けると、やることが整理しやすくなります
- 家庭では、カレンダーの共有、提出物のテスト勉強化、苦手教科の絞り込み、返却日の15分の直しが、続けやすい5つです
- 前の単元の穴が深いときは、家庭だけで戻すと時間が足りなくなりがちです。頼むかどうかは、資料を読み比べてから決めます
最初の一歩として、学校の年間予定表を開き、2学期の期末テストと学年末テストの時期に印をつけてみてください。それだけで、「いつまでに何をするか」の逆算が始められます。
この記事で確認した資料
- 令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針(埼玉県教育委員会)(2026年11月1日確認)
- 令和10年度埼玉県公立高等学校入学者選抜の日程について(埼玉県)(2026年5月21日発表)






