北辰テスト数学で偏差値60の壁を越える|捨て問の見分け方

「北辰テストの数学、いつも偏差値58〜59で止まってしまう」「あと一歩で偏差値60なのに、なぜか超えられない」。中3の保護者の方にとって、こうしたお悩みは少なくありません。

お子さんの努力が足りないわけではなく、むしろ真面目なお子さんほど、大問の最初から順番に、全部の問題を解き切ろうとして伸び悩むことがあります。偏差値60に届くかどうかは、難問を解けるかよりも、解く問題と後回しにする問題を試験中に選べるかで変わることが多いと考えられます。

この記事では、数学で「全問を解こうとする」ことがなぜ点数につながりにくいのかを整理したうえで、後回しにする問題の見分け方、単元ごとの考え方、ご家庭でできる練習の手順をお伝えします。あくまで一般的な傾向であり、お子さんに当てはまるかどうかは、答案を見て確かめていただく必要があります。

なぜ偏差値60が「壁」に感じられるのか

偏差値60は、受験者全体の中でおよそ上位の位置にあたる数字で、志望校の選択肢が広がる目安として意識されやすい数字です。そのため、58や59で止まっていると、「あと少しなのに」という気持ちが強くなります。

ただ、あと1〜2ポイントの差は、問題数にすると数問分、点数にすると数点分の差であることがほとんどです。この数点を、新しい単元の勉強で埋めようとすると、時間も手間もかかります。それよりも、いま解けているはずの問題を、本番で取りこぼさず得点に変えるほうが、短い期間で結果につながりやすいものです。

なお、偏差値は受験した回の受験者の成績で決まるため、同じ点数でも回によって数字が動きます。1回の結果で一喜一憂せず、複数回の答案を見比べて、傾向をつかむことをおすすめします。志望校ごとの偏差値の目安を確かめたい場合は、当ブログの記事にまとめています。

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「全部解こうとする」お子さんに多いパターン

数学で伸び悩むお子さんの答案を見返すと、共通して見られるのが、大問の最初から順番に、律儀に全部解こうとしている形です。計算問題や序盤の小問集合はほぼ取れているのに、中盤の関数の応用や、終盤の空間図形に時間を使い切り、そのあとの解きやすい設問に手がつかないまま終わる、という流れです。

これは、能力の問題ではなく、時間配分の設計の問題です。「解けるまで粘る」姿勢は、日々の勉強では美徳ですが、制限時間のあるテストでは、粘った分だけ他の問題に使える時間が減ります。

難しい問題に時間をかけて解けなかった場合、その時間で解けたはずの標準レベルの問題を落とすことになります。点数の面では、これが一番もったいないパターンです。

偏差値60は、満点近くを取らなければ届かない水準ではありません。基礎から標準までの問題を取りこぼさないことで、十分に射程に入ってきます。

もうひとつ知っておきたいのは、こうした時間の使い方のクセが、解いている本人にはほとんど見えないということです。「そんなに時間をかけていたつもりはない」と感じていても、答案と所要時間を並べてみると、特定の大問に時間が偏っていることがよくあります。

北辰テスト数学の出題の流れを知っておく

後回しにする問題を決めるには、まず出題の全体像を頭に入れておくことが大切です。年度や回によって内容は変わりますので、大問ごとの配点や時間の目安は、お手元の問題冊子と成績表で確かめてください。ここでは、よく見られる単元の傾向だけを整理します。

  • 計算・小問集合:正負の数、文字式、方程式など、基礎力を問う問題。得点の土台なので、原則として後回しにしない
  • 資料の活用(データの分析・確率など):表やグラフを読み取る問題や確率。読み取りに手間がかかる設問が混ざることがある
  • 関数:グラフと図形を組み合わせた問題が多く、前半は基本的な座標計算、後半は複数の条件を同時に扱う応用になりやすい
  • 平面図形:角度、合同・相似、証明、面積比など。証明は途中までの記述で部分点がもらえる場合がある一方、完成させるには時間がかかる
  • 空間図形:体積や表面積の計算に加え、切断面や最短距離などの応用が後半に置かれやすい。条件の整理に手間がかかる
  • 規則性など思考力を問う問題:最後の設問だけ難しくなる構成が見られる

こうして並べると、同じ大問の中でも、前半は取りやすく、後半ほど難しくなる作りになっていることが多いと気づきます。大問ごとに「ここまでは取る」という線を引いておく、という考え方が使えます。

後回しにする問題を見分ける3つの視点

1. 時間と得点のバランスで考える

1問にかける時間と、その問題で得られる点数を比べる考え方です。大問の最後の設問が、それまでの何倍もの条件処理を求めてくるのに、配点はそれほど変わらない、ということは珍しくありません。

そういう問題に時間を使うより、すでに解いた問題の見直しに使ったほうが、全体の得点は安定します。目安として、「問題を読んで、解き方の道筋が数秒で浮かぶか」を自分に問う習慣をつけると、判断しやすくなります。浮かばなければ、一度印をつけて次へ進みます。

2. 難しくなりやすい位置を知っておく

規則性、空間図形の計量、関数と図形の融合問題では、大問の最後の設問だけ難しさが上がる出題がよく見られます。偏差値60を目標にする段階では、こうした最後の設問に無理に取り組むよりも、そこまでの設問を落とさず押さえるほうが優先順位は高くなります。

これは、最後の設問を永久に解かなくてよいという意味ではありません。基礎と標準を固めたうえで、時間が余ったら戻る、という順番にするということです。

3. お子さんの得意・不得意と重ねて考える

図形が苦手なお子さんが、後半で複雑な空間図形に出会って粘ってしまうのは、よくある失敗の形です。得意な単元と苦手な単元をあらかじめ把握しておき、「苦手な単元で、しかも難しそうな設問だ」と判断できれば、迷わず後回しにできます。

得意・不得意は、直近の2〜3回の答案から、単元ごとの正答の様子を並べてみるとわかります。感覚ではなく、答案の記録で確かめるのがポイントです。

単元ごとの時間のかけ方の考え方

単元ごとに、時間を使いすぎやすい場面と、対処の考え方を整理します。過去問に取り組むたびに、お子さんの答案と照らし合わせてみてください。

関数

  • 時間を使いすぎやすい場面:座標や条件が複数絡む後半の応用設問
  • 考え方:傾きや座標を求める前半の設問を落とさず取り、複数の条件が絡む設問は最後に回す

平面図形

  • 時間を使いすぎやすい場面:相似や合同を何段階も組み合わせる証明
  • 考え方:書き出せるところまで書いて、完成にこだわりすぎない

空間図形

  • 時間を使いすぎやすい場面:切断面や最短距離を求める応用設問
  • 考え方:体積・表面積の基本計算は必ず取り、切断系の難しい設問は時間が余ったら取り組む

規則性

  • 時間を使いすぎやすい場面:後半の一般化や文字式で表す設問
  • 考え方:具体的な数で規則をつかむ前半の設問までを落とさず取り、一般化は後回しにする

資料の活用

  • 時間を使いすぎやすい場面:複数の資料を読み比べる設問
  • 考え方:単純な読み取りを先に取り、読み比べる設問は残り時間を見て判断する

保護者の方へ:「飛ばす勇気」を持てない子への声かけ

頭では理解できても、本番で「この問題は後回しにする」と決めるのは、お子さんにとって思っている以上に難しいことです。特に真面目で責任感の強いお子さんは、解かずに次へ進むことに、罪悪感に近い抵抗を感じます。

ご家庭でできるのは、結果だけでなく、時間の使い方に目を向けた声かけです。点数を見て「なぜ間違えたの」と聞くだけでなく、「この問題にどれくらい時間を使った?」と一緒に振り返ると、お子さん自身が自分の時間の使い方を客観的に見られるようになります。

練習の手順は、次の3ステップがおすすめです。

  1. 時間を計って解く:本番と同じ制限時間で、過去問を解く
  2. 大問ごとの所要時間を記録する:どの大問・どの設問に、何分使ったかをメモしておく
  3. 得点と時間のバランスを振り返る:時間をかけた割に点が取れなかった設問を洗い出し、「次はここを早めに切り上げよう」と親子で言葉にする

これを2〜3回分の過去問で繰り返すだけでも、お子さん自身の「切り上げる基準」が少しずつ見えてきます。過去問の使い方そのものは、こちらの記事に詳しくまとめています。

→ 北辰テストの過去問、いつ解く?春・秋・冬の使い分け

問題集を増やす前に、過去問を時間を計って解き、「この大問にどれくらい使った?」と聞いてみてください。終盤の空間図形に毎回ほぼ同じだけ時間をかけている、といったクセが見つかることがあります。難しそうな設問を飛ばすときは、「飛ばすこと」と「戻る時間を決めておくこと」をセットにします。一度で結果が出るものではなく、2〜3回かけて自分なりの基準を探していく作業です。

「飛ばしすぎ」にも注意したい

難しそうに見える問題を、何でも飛ばしてしまう「飛ばしすぎ」にも注意が必要です。計算問題や小問集合など、本来取れるはずの基礎の設問まで、焦って飛ばしてしまうと、かえって点数は下がります。

後回しにする判断は、あくまで「時間をかけても得点につながりにくい、難易度の高い設問」に対して使うものです。基礎と標準の設問には当てはまりません。この線引きを間違えないことが、偏差値60を目指すうえで大切です。

見分けにくいときは、「前の回に解けた種類の問題かどうか」を基準にしてください。以前に解けた種類の問題なら、取り組む価値があります。初めて見るタイプで、しかも条件が多い問題なら、いったん後回しにする候補です。

答案の傾向は、家庭だけでは見えにくいこともある

ここまでの考え方は、意識するだけでも効果があります。ただ、「お子さんにとってどの問題が後回しの対象か」を、ご家庭だけで判断するのは、意外と難しい作業です。答案を見ても、どこで時間を使いすぎたのかが、点数だけでは見えないからです。

塾の面談では、「もっと過去問を解きましょう」と言われるだけで、何をどう見直せばよいかまではわからなかった、ということもあります。集団授業では、クラス全体の進度が優先されるため、お子さん一人ひとりの時間の使い方まで見る機会は限られる、という面もあります。

そういうときは、数学だけ個別指導や家庭教師で、答案を1対1で見てもらうのも選択肢のひとつです。塾に通っている場合は、まず在籍している塾の先生に、「答案の時間の使い方を一緒に見てほしい」と相談してみるのもよい方法です。

どの形を選ぶ場合でも、体験や相談のときは、次の点を確かめておくと判断しやすくなります。

相談や体験で確かめたいこと

  • 数学だけ、週1回だけなど、必要な科目・コマ数で受けられるか
  • 北辰テストや埼玉県公立入試の過去問を使って、答案の時間配分まで見てもらえるか
  • 月謝のほかに、入会金・教材費・交通費がいくらかかるか
  • 高額な教材のセット購入が条件になっていないか
  • 講師が合わなかったときの交代に費用がかかるか、中3の途中からでも受けられるか

相談のときは、お子さんが普段使っている過去問のノートや、直近の北辰テストの答案を、そのまま見てもらってください。特別な準備は要りません。手元にあるものを見せるほうが、時間の使い方のクセは伝わりやすくなります。

よくある質問

Q. 後回しにするかどうかは、本番のどのタイミングで判断すればいいですか?

問題を読んだ直後、解き始める前に、「解き方の道筋が浮かぶか」を数秒で判断するのが理想です。解き始めてから「やっぱり難しい」と気づくと、それまでの時間がもったいなくなります。迷ったら、問題番号に印をつけて次へ進み、最後に戻るようにします。

Q. どの模試・過去問で練習すればいいですか?

できるだけ本番に近い形式の過去問や北辰テストを、時間を計って解くのが効果的です。単元別の問題集だけでは、大問全体の中での時間配分の感覚が身につきにくいためです。

Q. 偏差値65以上を目指す場合も、飛ばす判断は必要ですか?

必要です。ただ、偏差値60を目指す場合に比べると、後回しにする問題の範囲は狭くなります。より少数の難問を見分ける精度が求められます。

まとめ:偏差値60は「解く問題を選ぶ力」で近づく

偏差値60の壁は、才能や地頭の差ではなく、多くの場合、時間配分と問題の取捨選択という技術の差から生まれます。要点を振り返ります。

  • あと1〜2ポイントの差は、新しい単元より、取れる問題を取りこぼさないことで埋まりやすい
  • 全部を解こうとする真面目さが、時間配分の失敗につながることがある
  • 後回しにする問題は、時間と得点のバランス、出題の位置、お子さんの得意・不得意で見分ける
  • 基礎と標準の設問まで飛ばしてしまう「飛ばしすぎ」には注意する
  • 家庭での練習は、時間を計る、大問ごとの所要時間を記録する、振り返る、の3ステップ

まずは直近の北辰テストの答案を親子で広げて、「どの問題に、どれだけ時間を使ったか」を振り返ることから始めてみてください。そのうえで、答案を見ても判断がつかないときは、数学だけ外の目を借りることも考えてみてください。同じ数学の悩みでも、時期によって優先することは変わりますので、12月の北辰までの過ごし方は、こちらの記事も参考にしてください。

→ 北辰の数学で偏差値が伸びない中3|12月北辰までの優先事項

→ 北辰の偏差値が40台で止まる原因|大問1の取りこぼし

→ 北辰の理科・社会が伸びない中3へ|立て直す勉強の順番