「まだ第一志望校が決まっていないんです」
夏の面談で、そう相談してくる保護者の方は本当に多いです。
でも、ここで手を止めてしまうのはもったいない。
北辰テストの申込用紙にある「志望校記入欄」は、ただの事務手続きではありません。
書き方ひとつで、確約に向けた準備の質が大きく変わってきます。
今日はこの「志望校欄」をどう書けば、確約に向けて有利に動けるのか、具体的にお話しします。
- 確約は「志望校欄」ではなく「数字」で決まるという大前提
- それでも志望校を「固定して書くべき」2つの明確な理由
- 単願・併願それぞれの戦略的な志望校記入テクニック
- 多くの家庭が見落としている「成績票」の重要データ
まず前提として:確約は「数字」で決まります
最初にはっきりさせておきたいことがあります。
確約の基準は、志望校欄の書き方で決まるものではありません。
多くの私立高校では、「7月以降の北辰テストのうち、指定された回で基準偏差値を2回ともクリアすること」といった、明確な数値基準が設定されています(一部の学校では2回の平均で見る方式を採る場合もありますが、基本形は「2回ともクリア」です)。
これに加えて、内申点や欠席日数といった項目もあわせて見られます。
個別相談の担当者が最も重視するのは、この「数字」です。
志望校欄に名前が書かれ続けているかどうかで、確約の可否そのものが変わるわけではありません。
ここを勘違いしたまま「とにかく書き続けさえすれば有利になる」と思い込んでしまうと、肝心の偏差値対策がおろそかになりかねないので、先に釘を刺しておきます。
では、志望校欄には意味がないのかというと、そうではありません。
数字そのものを左右するわけではないけれど、数字を「正確に把握し、戦略を立てる」ための土台として、大きな意味を持っています。
なぜ「固定して書き続ける」べきなのか
理由①:定点観測で「合格までの距離」を正確に測るため
北辰テストの志望校欄は、書いた学校ごとに合格判定(A3〜Dなどのランク)を出すための欄です。
これは過去にその高校へ合格した先輩たちが、中3の同じ時期にどれくらいの北辰偏差値だったかを調べたデータと照合して算出されています。
同じ学校を書き続けると、個人成績票の中に「志望校判定の推移」という記録が積み上がっていきます。
確約の基準となる「偏差値」の数字自体は、志望校欄を書かなくても成績票を見れば分かります。
しかし、「その偏差値が、目標とする高校の基準に対してどの程度の立ち位置にいるのか」「あと何点取れば確約の安全圏(ワンランクアップ)に届くのか」は、志望校として書き続けていないと正確に測ることができません。
回によって書く学校を変えてしまうと、この定点観測ができなくなり、「今、合格ラインまであとどれくらいなのか」が親子でも見えにくくなってしまいます。
保護者と本人が「あと少しで届く」という現在地を視覚的に把握し、残りの回数で何をすべきかの戦略を立てるためにこそ、志望校欄は固定して書き続ける価値があるんです。
理由②:単願確約を狙うなら、「熱意」を伝える武器になる
もう一つ、数字とは別の理由もあります。
特に単願確約を検討している場合、個別相談の場で「本当にこの学校を第一志望として考えてきたのか」という姿勢を聞かれる場面があります。
このとき、志望校欄に一貫して同じ学校が書かれ続けてきた個人成績票は、「ずっと第一志望として考えてきました」ということを視覚的に伝える材料になります。
これは私が塾講師をしていた頃、単願確約を目指していた生徒の個別相談に同行して感じたことです。
数字の基準は満たしていても、志望動機を聞かれたときにうまく言葉にできず、やり取りがぎこちなくなってしまう生徒がいました。
そのとき、複数回分の志望校判定が同じ学校で積み上がった成績票を一緒に見せながら話すと、口頭での説明を後押しする材料として機能していたように感じます。
併願確約の場合は、この「熱意」の要素よりも、複数校を並行して定点観測する使い方の方が重要になってきます。
戦略的な記入法:具体的にどう書くか
ではここから、実際の記入テクニックに入ります。
① 第一志望は「迷っていても」固定して書く
第一志望校が本当に決まっていなくても、毎回コロコロ変えるのは避けましょう。
現時点で一番可能性が高いと思う高校を、仮でいいので固定して書き続けてください。
途中で気持ちが変わったら、そこから書き換えれば十分です。
大事なのは「7月から12月まで、ずっと迷い続けている状態」のまま個人成績票を積み上げてしまわないことです。
判定記録がバラバラだと、定点観測としても、個別相談に持って行く資料としても使いづらくなってしまいます。
② 併願校は「本命候補」だけに絞る
「とりあえず名前が知られている学校を書いておこう」という書き方はおすすめしません。
志望校欄に書いた学校の数だけ判定結果が出るとはいえ、本当に受ける可能性が薄い学校の判定を積み重ねても、後で個別相談に持って行く資料としてはあまり意味を持ちません。
本当に受ける可能性がある学校だけを書き、その分の記録をしっかり積み上げていく方が、結果的に説得力のある資料になります。
③ 確約が絡む回(7月〜12月)は特に慎重に
北辰テストは確約の判定材料として使える回が決まっています。
この期間中の志望校欄は、いわば「定点観測と個別相談資料の土台」だと考えてください。
模試感覚で適当に書く回と、確約に関わる回とでは、記入への意識を変える必要があります。
④ 変更するときは「理由」を子ども自身に説明させる
志望校を変更すること自体は悪いことではありません。
ただ、変更する場合は「なぜ変えるのか」を子ども自身の言葉で説明できる状態にしておきましょう。
個別相談の場で高校側から志望動機を聞かれたときに、揺らぎが伝わってしまうと、話がスムーズに進まないことがあります。
見落とし厳禁!確約の戦略を立てる「個人成績票」の裏ワザ的見方
志望校欄を書くと、判定ランクだけでなく、実はもっと細かいデータが個人成績票に表示されます。
これを見落としている家庭が、正直かなり多いです。
先輩の入試データ
その高校に合格した先輩・不合格だった先輩が、中3当時どれくらいの偏差値だったかをグラフで確認できます。
自分の今の偏差値が、合格ラインのどのあたりに位置しているかが視覚的に分かります。
「基準ギリギリです」と口で言うより、このグラフを個別相談に持って行った方が、話が早いことがあります。
今回の志望状況
同じ回でその高校を志望した人たち、特に第1志望とした人たちの中で、自分がどの順位にいるかが分かります。
これは埼玉県全体でのライバルの数と自分の立ち位置を把握できる、意外と使い勝手のいいデータです。
母集団の中での相対位置が分かれば、「基準偏差値ぎりぎり」なのか「余裕を持ってクリアしている」なのか、精度高く判断できます。
ワンランクアップ
今回のテストであと何点取れば、判定が一段階上がるかを示してくれる項目です。
確約の基準まであと一歩、という時期にはここを見て、残りの回で何点上乗せすべきかの目標設定に使えます。
志望校判定の推移
先ほどお話しした、同じ志望校について過去3回までの判定がどう変化してきたかを示す項目です。
ここが、書き続けることの一番の恩恵になります。
学校選択問題タイプを受ける人は要注意
浦和、浦和一女、大宮、市立浦和、川越、川越女子といった学校選択問題実施校を第1志望に考えている場合、記入の際に注意点があります。
北辰テストでは、学校選択問題タイプで受験する人の第1志望校は、学校選択問題実施校の中からしか選べない回があります。
第2〜第4志望校は問題タイプにかかわらず自由に選べますが、第1志望欄だけは制約がかかることがあるので、申込前に「志望校カードの書き方」を必ず確認しておきましょう。
ここを見落として、本来書きたかった第1志望校を書けなかった、というケースも実際にあります。
よくある質問
Q. 中3の最初の回から、もう志望校を固定した方がいいですか?
無理に固定する必要はありません。
ただし、確約の判定材料として使われる7月以降の回については、できるだけ早い段階から同じ学校で記録を積み上げ始めるのがおすすめです。
Q. 第2志望以降も真剣に選ぶべきですか?
はい。第2〜4志望も、実際に受ける可能性がある学校を選んでおくと、併願校の判定データも並行して蓄積できます。
「とりあえず埋める」ための欄ではないと考えてください。
Q. 2027年度からのマークシート化は、志望校欄の書き方にも関係しますか?
志望校欄自体の記入方法が変わるわけではありませんが、令和9年度入試からマークシート方式が導入される影響で、テスト自体の出題形式や得点の取り方が変わっていきます。
判定に使われる偏差値の算出基盤が変わる以上、例年以上に早い時期からの記録の積み上げが安心材料になります。
よくある失敗パターン
- 毎回志望校欄を書き換えてしまい、定点観測としての記録が一貫して積み上がらない
- 志望校欄さえ固定していれば確約が有利になると思い込み、肝心の偏差値対策が後回しになる
- 併願校欄に「なんとなく知っている学校」を並べてしまう
- 保護者だけで志望校を決め、子ども本人が説明できない状態になっている
どれも、本来注ぐべき偏差値・内申点の対策から意識がそれてしまう、という結果につながりやすい失敗です。
まとめ
確約の可否を決めるのは、あくまで偏差値・内申点・欠席日数といった「数字」です。
志望校欄そのものが判定を左右するわけではありません。
ただし、志望校欄を固定して書き続けることで、合格までの距離を正確に測る定点観測データが手に入り、単願確約であれば個別相談での説明を後押しする材料にもなります。
第一志望が決まりきっていない時期でも、「迷っている」状態をそのまま欄に反映させず、仮でもいいので一貫性を持たせること。
これが、確約に向けた準備を一段階引き上げる第一歩になります
北辰テスト対策、そろそろ本気で考えませんか?
志望校欄を固定して定点観測を始めると、「あと何点でワンランクアップに届くか」が具体的に見えてきます。
ただ、その「あと何点」を実際に埋める作業は、家庭学習だけではなかなか進まないというご相談もよくいただきます。
特に、苦手科目だけがネックになって基準まで届かないというケースでは、その科目にピンポイントで時間を割いてくれる指導が力になることがあります。
1対1で弱点の単元まで戻って徹底的に埋めていく家庭教師・個別指導の「合格王」も、そうした選択肢の一つとして知っておいて損はないと思います。






