【埼玉】元塾講師が教え子には絶対にさせないNG行動6選

こんにちは、あおばです。埼玉県内の大手学習塾で10年間、高校受験指導に携わり、500名以上の生徒を第一志望校へ送り出してきました。

塾講師としてたくさんの合格を見送ってきた一方で、「合格する家庭」と「頑張っているのに伸び悩む家庭」の違いも、嫌というほど見てきました。今日は、教え子たちに対して「絶対にやらせなかった」勉強法やNG行動を、塾の売上事情に忖度せず正直にお伝えします。

その前に、一つだけ強くお伝えしておきたいことがあります。今まさに中3として受験勉強をしているお子さんたちが受ける2027年度(令和9年度)入試から、埼玉県公立高校の選抜方法が大きく変わります。学力検査へのマークシート方式の導入、全受検生への面接の実施、調査書様式の変更、「特色選抜」の新設など、変更点は多岐にわたります(詳細は記事後半の「よくある質問」で解説します)。これまでの「集団塾の過去の合格データ」や「先輩たちの必勝パターン」がそのままでは通用しにくくなる、まさに激動の年ということです。

この前提を踏まえたうえで、今日からの勉強法を一緒に見直していきましょう。

NG行動1:北辰テストの「総合偏差値」だけで一喜一憂する

埼玉県には「北辰テスト」という、県内の中学生の大半が受験する模擬試験があります。志望校選定の目安になるだけでなく、後述する私立高校の「確約」の判断材料としても使われるため、単なる腕試し以上の重みを持つ試験です。

結果が返ってくると、多くの保護者が真っ先に見るのは「5科総合偏差値」の数字です。もちろん重要な指標ではありますが、総合偏差値だけを見て安心したり落ち込んだりするのは、実はもったいない見方です。同じ偏差値60台であっても、数学だけが突出して高く英語の文法が壊滅的というケースもあれば、暗記科目は得意でも読解力に課題があるケースもある。総合点という「平均値」は、こうした弱点を覆い隠してしまうのです。

参考までに、北辰偏差値と主な高校の目安を一部抜粋します。

偏差値帯 代表的な高校・学科の例
70以上 大宮(理数72・普通70)、県立浦和(普通70)
65〜69 浦和第一女子(普通69)、市立浦和(普通68)
60〜64 不動岡(普通64)、浦和西(普通63)
55〜59 松山(理数59)、浦和南(普通58)
50〜54 所沢西(普通54)、松山女子(普通53)
45〜49 入間向陽(普通49)、志木(普通47)

大切なのは、この総合偏差値の中身を「科目別」「大問別」まで分解して見ることです。

具体的な分解の仕方
  • 5科の中で、どの科目が偏差値を最も押し下げているかを特定する
  • その科目の中でも、大問ごとの正答率(例:数学なら関数は取れているが図形が弱い、など)を確認する
  • 単発の結果ではなく、直近2〜3回分の推移を見て「たまたま」なのか「継続的な弱点」なのかを判断する

これをせずに「次回はもっと頑張ろう」という精神論だけで次のテストに臨んでしまうと、同じ弱点を何度も繰り返すことになります。私が塾講師時代、成績が伸び悩む生徒の答案を見返すと、実は毎回同じ単元・同じパターンの問題で失点しているケースが非常に多かったのです。

NG行動2:市販の問題集やアプリに、片っ端から手を出す

「これも良さそうだから」「友達が使っているから」と、参考書や学習アプリを次々に買い足していくご家庭は、現場での実感として非常に多くありました。しかし受験直前期になって、手つかずの問題集が本棚に何冊も積まれているというのは、実によくある光景です。

中3の1年間、限られた時間の中で成果を出すために本当に必要なのは「教材の数」ではなく「1冊をやり切る回数」です。同じ問題集を3周した生徒と、3冊の問題集をそれぞれ1周しかしていない生徒とでは、定着率にはっきりと差が出ます。

なぜ「3周」が効くのか
  • 1周目:知らない問題・解けない問題を洗い出す作業
  • 2周目:1周目で間違えた問題を中心に解き直し、解法を定着させる
  • 3周目:全体を通して解き、瞬間的に手が動くレベルまで仕上げる

なお、埼玉県公立高校入試では、上位進学校を中心とした一部の学校が、数学・英語で通常より難易度の高い「学校選択問題」という独自問題を採用しています。実施校は年度ごとに県教育委員会から発表されるため、志望校がこの対象かどうかは早めに確認しておく必要があります。

新しい教材に手を出す前に、「今使っている教材を完璧にできているか」を一度立ち止まって確認する方が結果的に近道になることが多いのですが、学校選択問題を採用する上位校を目指す場合は、標準レベルの問題集を何冊も浅く触るより、応用レベルの1冊を深く仕上げる方が得点力に直結します。

NG行動3:「確約」の話を鵜呑みにして安心してしまう

埼玉県の私立高校入試には、事前相談を通じて「この偏差値・内申点であれば合格をほぼ約束する」といった、いわゆる「確約」に近い運用が存在すると言われています。夏以降の学校説明会や個別相談会で、北辰テストの成績と通知表を提示し、基準を満たしていれば確約に相当する言葉をもらえる、という流れが一般的です。

注意したいのは、「確約が出たから絶対安心」と考えてしまうことです。確約の基準は学校によって、また年度によって変動しますし、当日点や欠席日数など複数の条件が絡むと言われています。「去年の先輩がこの偏差値で確約をもらえたから、うちの子も大丈夫」という又聞き情報だけを頼りにするのは、私が現場で最も危険だと感じていた「勘違い」の一つでした。

確約に関して、保護者が本来確認すべきこと
  • その基準が「今年度」のものかどうか(年度によって変わり得るため)
  • 北辰偏差値だけでなく、内申点の基準も併せて示されているか
  • 「確約」と「合格の可能性が高い」は同じ意味ではないと理解しているか

確約はあくまで「可能性が高まる」材料であり、当日の学力試験や内申の積み上げをおろそかにしていい理由にはなりません。特に学校選択問題を採用している上位校では、確約という言葉自体がほとんど関係なく、純粋に当日の得点力で合否が決まる傾向が強いことも知っておくべきポイントです。

なお、北辰テストのような民間模試の結果を、私立高校側が特待生や奨学金の判定に使うことについて、国はかねてから「不適切」という立場を示しています。2025年には埼玉県が県内の私立高校を対象に運用実態の調査を行いました。

これを受けて、高校側が個別相談での言葉の伝え方などを見直す動きも出てきています。2026年度入試までは確約の仕組み自体はこれまで通り機能しましたが、基準や伝え方は年度ごとに調整される可能性があります。

つまり「去年はこうだった」という情報を鵜呑みにせず、その年の学校説明会で直接確認することが、これまで以上に重要になっているということです。

NG行動4:映像授業やアプリへの「なんとなく課金」

夏期講習や正月特訓の時期になると、「これを取らないと乗り遅れる」という空気とともに、オプション講座や追加教材が次々に案内されます。もちろん本当に必要な講座もありますが、中には「不安を埋めるためだけの課金」になってしまっているケースも少なくありません。

映像授業やアプリは、使いこなせば非常に強力な武器になります。しかし「登録しただけで安心してしまい、結局ログインすらしていない」という状態では、お金だけが出ていって成果は何も残りません。

課金前に自問すべき3つの質問
  1. これは「弱点を埋める」ためのものか、「不安を消す」ためのものか
  2. 今使っている教材・講座を、本当に使い切れているか
  3. これを追加したことで、他の何かに使う時間が削られないか

ここで大事なのは、「課金そのものが悪い」わけではないということです。悪いのは、弱点と結びついていない「なんとなくの課金」の方です。逆に言えば、その子の弱点がはっきりしている状態で、そこにピンポイントで予算を投じるのは「無駄遣い」ではなく「投資」です。この違いは、後ほど改めてお話しします。

NG行動5:得意科目ばかり伸ばして、苦手科目を後回しにする

得意科目の問題を解いているときは、正答率が高く、気持ちよく勉強が進みます。一方で苦手科目は、解いても解いても点数が伸びず、精神的にしんどい。だからこそ、無意識のうちに得意科目の演習時間が長くなり、苦手科目が後回しになっていく——これは多くの受験生が陥る罠です。

しかし公立高校入試では、学力検査の5科目合計に加えて内申点や面接なども合わせた総合点で合否が決まります(2027年度からの制度変更の詳細は、記事後半の「よくある質問」で解説します)。学力検査の中だけを見ても、偏差値68の科目を70に上げるより、偏差値45の科目を55に上げる方が、労力に対する得点の伸びは大きいことがほとんどです。これは偏差値の性質上、上位に行くほど1点を上げるための労力が増えていく一方、下位の科目は基礎の抜け漏れを埋めるだけで得点が伸びやすいためです。

苦手科目への向き合い方の工夫
  • 「1日30分だけ苦手科目」のように、時間を固定して習慣化する
  • いきなり応用問題に手を出さず、教科書レベルの基礎から確認する
  • 苦手科目専用のノートを作り、間違えたパターンを一覧化する

「好きな科目を頑張る」のは気持ちがいいですが、「苦手科目に向き合う時間」を意識的に確保できているかどうかで、中3の1年間の伸び方は大きく変わります。特に学校選択問題を採用する上位校を目指す場合、数学・英語の得点差が開きやすい傾向があるため、この2科目のどちらかが苦手なまま放置してしまうと、他の科目でどれだけ稼いでも追いつかなくなるケースが少なくありません。

NG行動6:直前期に「量」だけを増やす一夜漬け型学習

埼玉県の入試スケジュールでは、1月に私立高校の単願・併願入試が行われ、2月末に公立高校の学力検査が実施されます。つまり「直前期」は一度ではなく、私立入試を控えた12月〜1月と、公立本番までのラストスパートとなる2月の、少なくとも2回訪れることになります。入試が近づくと、「あと少しでも多く問題を解かせなければ」と、演習量を一気に増やそうとするご家庭が増えますが、どちらの直前期であっても、やみくもに新しい問題集へ手を広げるのは、かえって非効率になりがちです。

この時期に本当にやるべきなのは、これまで解いてきた模試や問題集の「間違えた問題」を解き直し、確実に得点源に変えていく作業です。新しい問題を1問解くより、過去に間違えた問題を解き直して「なぜ間違えたのか」を言語化できるようにする方が、本番での得点力に直結します。

直前期の優先順位(高い順)
  1. これまでの模試・過去問で間違えた問題の解き直し
  2. 頻出単元の基礎の総点検
  3. 時間配分を意識した過去問演習
  4. 新しい問題集への着手(時間が余った場合のみ)

「新しい問題集を1冊買う」より、「今持っている過去問を解き直す」方が、直前期においては圧倒的にコストパフォーマンスが高いということを、ぜひ覚えておいてください。

偏差値帯別・志望校とのギャップの埋め方

ここまでの6つの無駄な勉強法を避けたうえで、次に大切なのは「今の偏差値」と「志望校の偏差値」のギャップをどう埋めるかです。ギャップの大きさによって、取るべき対策は変わってきます。

ギャップ 目安となる対策
3ポイント以内 現状の勉強法を継続しつつ、苦手単元の総点検で穴を埋める
4〜7ポイント 苦手科目への配分時間を増やし、間違えた問題の解き直しを徹底する
8ポイント以上 学習内容そのものの見直しが必要な段階。個別対応での弱点分析を検討する時期

特にギャップが8ポイント以上ある場合、集団塾の一律カリキュラムだけでは、その子固有の弱点にたどり着く前に授業が進んでしまうことが少なくありません。

じゃあ、何をすればいいのか

ここまで挙げた「無駄な勉強法」に共通しているのは、どれも「その子個人の弱点」に合わせられていない、という点です。集団塾のカリキュラムは、良くも悪くも「クラス全体」に最適化されているため、一人ひとりの弱点にピンポイントで対応するのは構造的に難しい面があります。冒頭でお伝えした2027年度の制度変更も、過去の合格データや「集団塾のこれまでの一律カリキュラム」が、そのままでは通用しにくくなる要因の一つです。だからこそ、合わないオプション講座に課金するのではなく、目の前のお子さんの弱点や制度変化にピンポイントで対応できる「的を絞った投資」が必要になってきます。

私は集団塾の講師として誇りを持って指導してきたからこそ断言できます。「クラス全体を見る集団授業では、一人ひとりの細かい弱点を拾いきれない」という構造的な限界があります。北辰テストの結果から弱点がはっきり見えてきたこの時期には、その子専用のカリキュラムを組んでくれる一対一の環境を頼るのが最も確実です。

埼玉の高校受験事情(北辰テストや確約基準、2027年度の制度変更)を熟知したプロに、まずは現状の偏差値と志望校のギャップを相談してみてください。「とりあえずオプション講座を追加する」という無駄な課金に走らずに済むはずです。

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よくある質問

Q. 北辰テストは何のために受けるのですか?

北辰テストは、埼玉県内の中学生の学力を測る県内標準的な模擬試験です。志望校選定の目安になるほか、私立高校の確約の判断材料としても使われることがあるため、単なる実力確認以上の意味を持ちます。

Q. 学校選択問題の対策は、通常の対策と何が違うのですか?

出題される問題そのものの難易度が高くなるため、標準レベルの問題集だけでなく、応用・発展レベルの問題への慣れが必要になります。実施校は年度によって変わることがあるため、最新情報を確認することが大切です。

Q. 集団塾と家庭教師は、どちらが向いていますか?

基礎から標準レベルの内容を、決まったペースで着実に積み上げたい場合は集団塾が向いています。一方で、特定の苦手科目やギャップが大きい場合など、個別に弱点を分析して計画を立てたい場合は、家庭教師のような個別対応の方が効率的なケースが多いです。ご家庭の状況やお子さんの性格によって、最適な形は変わってきます。

Q. 2027年度から入試制度が変わると聞きましたが、何が一番変わりますか?

今まさに中3として受験勉強をしているお子さんたちが受ける2027年度(令和9年度)入試から、選抜方法が大きく変わります。主な変更点は次の通りです。

  • 学力検査の解答方式に「マークシート方式」が導入され、得点換算で全体の約9割がマークシート、約1割が記述式になる(学校選択問題を含む)
  • 国語の作文問題は廃止される
  • 調査書(内申書)の様式が変わり、9教科5段階の評定と総合的な学習の時間の記録が中心になる
  • 出願時に「自己評価資料」の提出が全員に求められる
  • 面接が全受検生に実施される
  • 学科やコースの特色に応じた「特色選抜」が新たに導入される

学力検査と内申点の配点比率は学校ごとに設定される見込みで、本記事執筆時点(2026年7月)では確定していない学校も多いため、志望校が決まったら学校説明会などで最新の選抜基準を必ず確認してください。なお、学校選択問題そのものは2027年度も継続される見込みです。

まとめ

  • 北辰テストは総合偏差値だけでなく、科目・単元単位で弱点を把握する
  • 教材は「数」より「1冊をやり切る回数」を優先する
  • 確約はあくまで目安であり、当日点・内申の積み上げを怠らない。基準は年度ごとに変わり得るので最新情報を確認する
  • 映像授業やアプリは「不安を埋めるための課金」になっていないか都度確認する
  • 苦手科目に向き合う時間を意識的に確保する
  • 直前期は新しい問題より「間違えた問題の解き直し」を優先する
  • 2027年度入試からはマークシート方式・全員面接・特色選抜の導入など、選抜方法自体が大きく変わる
  • 志望校とのギャップが大きい場合は、個別対応での弱点分析も選択肢に入れる

どれも派手なテクニックではありませんが、この6つを避けるだけで、中3の1年間の伸び方は確実に変わります。逆に言えば、今日からやり方を少し変えるだけで、まだまだ偏差値は伸びる余地があるということです。お子さんのスマホや勉強態度にイライラする前に、まずは「やり方」そのものを一緒に見直すところから始めてみてください。