「うちは共働きだから、平日はほとんど子どもの勉強を見てあげられない」「帰ったら夕食と家事で終わってしまって、宿題の確認までできない」——そんな不安を抱える保護者の方は、とても多いです。
毎日のように子どもの受験を気にかけているのに、時間が足りない。そのことで自分を責めてしまう気持ちは、よくわかります。
結論からお伝えします。共働きで勉強を「見てあげられない」ことは、悪いことではありません。大切なのは、勉強の中身を見張ることではなく、進み具合を短い時間で確認できる「仕組み」を持つことです。
この記事では、平日に時間が取れない家庭でも続けやすい「見守る」3つのルールを整理しました。
この記事では、まず埼玉の高校受験で知っておきたい前提を確認し、「放置」と「見守る」の違いを説明します。そのうえで3つのルールと、家庭だけで回らないときの外部の頼り方までお伝えします。
共働きで「見てあげられない」ことを、責めなくていい理由
いまは共働きの家庭が珍しくありません。平日の夕方から夜に、保護者が子どもの勉強に付き添える家庭のほうが、むしろ少数派かもしれません。
塾の側も、家庭が毎日勉強を見てくれることを当然の前提にしているわけではありません。多くの塾は、家庭の状況がさまざまであることを踏まえて授業や宿題を設計しています。
ただ、塾に通っていても、家庭学習の管理がまったく家庭任せになる場面はあります。宿題は出るけれど、やったかどうかを確かめる人がいない、という状態です。そこで成績が伸び悩むと、不安から講座を追加したくなる気持ちも出てきます。
追加の講座が必要かどうかは、家庭の状況と子どもの課題によって変わります。大切なのは、不安に押されて決めるのではなく、次の2つを手元に置いて判断することです。
- いまの北辰テストの偏差値と、志望校の合否の目安との距離
- その講座で、どの教科のどの単元の課題を埋めるのかという説明
講座を勧められたときは、「この講座は、うちの子のどの課題に効くのですか」「受けなかった場合は、何が足りなくなりますか」と聞いてみてください。答えが具体的であれば検討の材料になりますし、曖昧なら、その場で決めなくて構いません。
つまり、必要なのは「見てあげられない自分」を責めることではありません。忙しくても回る仕組みと、判断のための正確な情報を持つことです。この姿勢は、あとで触れる「外に任せる」場面でも、そのまま役に立ちます。
埼玉の高校受験は、前提知識があるかどうかで動き方が変わる
埼玉県の高校受験には、他県と違う仕組みがいくつかあります。ここを知っているかどうかで、家庭の関わり方の精度が変わります。
北辰テストは、埼玉県内の多くの中学生が受ける民間の模擬試験です。中学3年生になると定期的に受ける生徒が多く、その偏差値が公立・私立を問わず志望校選びの目安として使われます。
私立高校の入試では、事前の個別相談で北辰テストの偏差値や内申点が見られる「確約」という仕組みがあります。ただし、基準は学校ごとに違い、公表されていない学校もあります。確約は事前相談の段階での約束であり、基準の数字を超えたからといって、そこで安心してよいとは限りません。
学校選択問題も埼玉県の特徴です。公立高校の学力検査では、数学と英語について、各高校の判断で応用的な内容を含む学校選択問題に変更できます。同じ公立入試でも、志望校によって求められる対策が変わるということです。
そして、今の中学3年生が受ける2027年(令和9年度)入試では、選抜の仕組みが大きく変わります。埼玉県教育委員会の「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施基本方針」では、次のように定められています。
- 学力検査:国語・社会・数学・理科・英語の5教科。共通選抜では各教科100点、5教科合計500点満点
- 調査書:記載項目は9教科5段階の評定と、総合的な学習の時間の記録が中心
- 面接:すべての受検生に個人面接または集団面接を実施
- 自己評価資料:受検生が活動や意欲を自分の言葉で書いて出願時に提出し、面接の際の参考にする
共通選抜では、1年・2年・3年の評定をどの比率で見るかを、各高校が1:1:1、1:1:2、1:1:3の3通りから選びます。同じ通知表でも、志望校によって評価のされ方が変わるということです。
特色選抜では、各高校が学力検査の傾斜配点や特色検査などを独自に定めることがあり、共通選抜と違う扱いになる場合があります。志望校がどの選抜をどんな配点で行うのかは、各校の「選抜実施内容」で確かめてください。
日程については、学力検査は2027年2月下旬の実施とされています。詳しい日程や学校ごとの配点は、必ず埼玉県教育委員会の発表と、志望校の説明会や公式サイトで確認してください。
「放置」と「見守る」は、何が違うのか
「放置」とは、子どもの勉強にまったく関わらず、結果が出てから一喜一憂する状態です。「見守る」とは、日々の勉強内容には口を出さなくても、進み具合を定期的に確認できる仕組みがある状態を指します。
成績を安定して伸ばすために必要なのは、毎日つきっきりで勉強を見ることではありません。短い時間でもよいので、確認するタイミングが決まっているほうが、子どもも落ち着いて勉強に向かいやすくなります。
反対に、成績が不安定になりやすい家庭に見られがちな落とし穴が、次の3つです。
- 模試の結果だけで一喜一憂してしまう:北辰テストの結果が良かった月は安心し、悪かった月は叱ってしまう。一度きりの数字に感情が振り回されると、子どもも「結果が悪いと怒られる」と感じて、正直に相談しにくくなります。大切なのは単月の点数より、数か月単位の推移です。
- 確約の基準を、絶対の約束だと思い込む:確約は事前相談の時点での目安です。基準を超えているから大丈夫と考えると、直前期の対策が手薄になりがちです。
- 不安から、理由を確かめずに講座を契約してしまう:面談で「このままだと厳しいかもしれません」と言われると、追加の講座を取りたくなります。その講座が何の課題に効くのかを聞いてから決めても、遅くはありません。
ここから、忙しい家庭でも取り入れやすい3つのルールをお伝えします。
ルール1:「勉強時間を管理する」のではなく、「仕組み」を作る
平日の帰宅後に、子どもが勉強しているかをその場で確認できない家庭は多いはずです。そこで有効なのが、時間の見張りをやめて、「終わったかどうかが後からわかる仕組み」に切り替えることです。
具体的には、次のようなシンプルな工夫で十分に機能します。
- その日にやることを、朝のうちに3つだけ紙やホワイトボードに書き出しておく
- 帰宅後、終わったものに子ども自身がチェックを入れる
- 寝る前か翌朝の5分だけ、そのチェック表を一緒に見る
- できなかった日があっても責めず、「明日はどうする?」とだけ聞く
ここで大事なコツがあります。タスクを親が指示するのではなく、子ども自身に決めさせることです。
思春期の中学生は、親から一方的に「これをやりなさい」と言われたことを、こなすだけの作業にしてしまいがちです。朝に「その日は何を3つやる?」と本人に宣言させるだけで、取り組み方は変わりやすくなります。
親の役割は、内容を決めることではありません。「決める時間」と「振り返る時間」をつくることです。勉強している最中を見張るのではなく、終わった痕跡を確認する形なら、在宅時間が短くても続けられます。
最初から毎日きれいに回るとは限りません。たとえば3つのうち1つしか終わらない日が続いても、責めずに「明日はどうする?」とだけ聞いて続けます。やる気が落ちる週は3つを2つに減らすなど、続けながら調整するものだと考えておくと、気持ちが楽になります。
ルール2:北辰テストの結果だけは、一緒に見る日を決める
日々の宿題の中身までは見られなくても、北辰テストの結果だけは、一緒に確認する日を決めておくことをおすすめします。北辰テストは、志望校選びや確約の相談で参考にされる、埼玉の受験で大きな意味を持つ指標だからです。
このとき大切なのは、点数そのものより「偏差値の推移」と「志望校との距離」を見ることです。たとえば志望校の目安より直近の偏差値が低いままなら、演習量の問題なのか、特定の教科でつまずいているのか、原因を一緒に言葉にするだけでも意味があります。
志望校の目安は、学校の公式な発表や、個別相談・説明会で確かめられる範囲の情報を基準にしてください。基準が公表されていない学校については、北辰偏差値が1足りないとき|個別相談前に確かめることのように、相談の場で正直に確認するのが基本です。
数字を一緒に見る5分間は、日々見てあげられない分を補う、費用のかからない関わり方です。確認するときは、次の3点をセットで見ると整理しやすくなります。
- 前回からの偏差値の増減(教科別も含めて)
- 志望校の目安との差
- 本人が「原因はここだと思う」と感じている教科・単元
これを毎回ノートやアプリに一言メモしておくと、数か月後に振り返ったとき、傾向が見えるようになります。叱る場ではなく、「次の1か月で何を変えるか」を決める場にするのがコツです。
確約の基準と、その後の注意点については、次の記事も参考になります。
→ 確約の基準は下がらない?少子化でも私立が強気な3つの背景
→ 確約があっても不合格になる?私立高校で起きる5つのケース
ルール3:「勉強を見る」を、誰かに任せる選択肢を持つ
最後のルールは、いちばん大切かもしれません。家庭学習の伴走そのものを、外部の人に任せるという選択肢を、遠慮なく検討することです。
無理に家庭で仕組みを回そうとして、親子ともに疲れてしまうくらいなら、勉強の伴走を専門の人に任せる判断は、決して手抜きではありません。
外に任せる方法は、いくつかあります。集団授業の塾、一人ひとりのペースに合わせやすい個別指導塾、通う時間が要らないオンライン指導、自宅で見てもらえる家庭教師などです。それぞれ費用も向き不向きも違うので、送迎ができるか、本人の性格に合うかを踏まえて選びます。
どの形を選ぶ場合も、埼玉の受験に詳しい指導者かどうかは確かめておきたい点です。北辰テストの扱い、学校選択問題への対応、私立の確約の仕組みといった県特有の事情を理解しているかで、対策の組み立て方が変わってきます。
なかでも、送迎が要らない家庭教師は、共働きの家庭が検討しやすい選択肢の一つです。ただ、会社によって料金体系も講師の層も、家庭への報告の仕方も大きく違います。1社の説明だけで決めず、料金・指導内容・報告の頻度といった同じ項目で見比べてから決めると、落ち着いて判断できます。体験授業や相談は、比べたうえで気になった先にだけ申し込めば足ります。
よくある質問
Q. 共働きで塾の送迎もできません。それでも通塾は必要ですか?
通塾が難しい場合は、オンライン指導や家庭教師など、送迎が要らない形も検討できます。大切なのは「通塾できるかどうか」より、「進み具合を継続して確認できる仕組みがあるかどうか」です。
Q. 北辰テストは何年生から受けたほうがいいですか?
中学3年生になってから本格的に受け始める生徒が多いです。ただ、早い段階から自分の立ち位置を知っておくと、志望校選びの精度は上がります。受験できる時期や申し込み方法は、学校や塾の案内で確認してください。
Q. 内申点が低いと、当日の点数が良くても不合格になりますか?
調査書の点と学力検査の点の比率は、学校や選抜の種類によって異なります。共通選抜では、1年・2年・3年の評定の比率を各校が1:1:1、1:1:2、1:1:3から選ぶ仕組みです。当日点だけ、内申点だけで決まるわけではないので、志望校の選抜実施内容で配点を確認しておくと安心です。
通知表の比率についてもう少し知りたい場合は、次の記事で、学校選択問題の対策時期は下の記事で整理しています。
→ 学校選択問題はいつから対策?浦和・大宮・浦和一女の中3へ
それでも「今のままでは不安だ」「うちの子の伴走は、誰に任せれば回るだろう」と迷うことはあると思います。そんなときは、料金・指導の形・担当の決まり方といった同じ項目で見比べるほうが、判断は楽になります。学力検査は2027年2月下旬の予定です。動き出す時期が遅くなるほど、比べて選ぶ余裕は減っていきます。
まとめ:見守るとは、「任せて、要所だけ関わること」
共働きで、毎日付き添えなくても、それは「悪い親」ではありません。大切なのは、次の3つです。
- 勉強時間を見張るのではなく、子ども自身に決めさせ、終わったことが後からわかる仕組みを作ること
- 北辰テストの結果は、一緒に数字で確認する日を決めておくこと
- 必要なら、伴走そのものを埼玉の受験事情に詳しい人に任せること
「放置」と「見守る」の差は、関わる時間の長さではなく、要所を押さえた仕組みがあるかどうかです。まずは今週、朝の「その日にやる3つ」と、北辰テストの結果を見る日を決めるところから始めてみてください。
確約を取ったあとの気持ちの緩みも、見守りの大事な場面です。あわせて、私立の併願確約の考え方も整理しておくと安心です。
この記事で確認した資料






