高校受験で伸びにくい勉強のNG行動6つ|教材と課金の見直し

「うちの子、塾にも通っているのに北辰テストの偏差値が横ばいなんです」「問題集もアプリも買ったのに、なぜか成績に結びつかなくて……」。中3のお子さんを持つ保護者の方から、こうした悩みが出やすくなります。仕事や家事の合間にお子さんの勉強のことまで気にかけるのは、本当に大変なことです。

頑張っているのに伸びにくい家庭には、いくつか共通する「やり方のズレ」があります。成績表の見方、教材の選び方、確約の受け止め方、お金の使い方、科目の配分、直前期の過ごし方の6つに分けて見ていきます。

結論から言うと、避けたい行動は「総合偏差値だけを見る」「教材を増やしすぎる」「確約の話を鵜呑みにする」「なんとなく課金する」「苦手科目を後回しにする」「直前期に量だけを増やす」の6つです。どれも特別な失敗ではなく、真面目な家庭ほど無意識にやってしまいがちなことです。

しかも、いま中3のお子さんが受ける2027年度(令和9年度)入試から、埼玉県公立高校の選抜方法が変わります。去年までの先輩の話がそのまま当てはまるとは限らないため、勉強の進め方を一緒に見直していきましょう。この記事では、6つのNG行動と、それぞれの代わりに何をすればよいかをお伝えします。

NG行動1:北辰テストの「総合偏差値」だけで一喜一憂する

埼玉県には「北辰テスト」という、県内の中学生の多くが受ける模擬試験があります。志望校を考える目安になるだけでなく、私立高校の個別相談で成績表を見せる場面もあるため、単なる腕試し以上の意味を持つ試験です。

結果が返ってくると、多くの保護者の方がまず見るのは「5科の総合偏差値」ではないでしょうか。もちろん大切な数字ですが、総合偏差値だけで安心したり落ち込んだりするのは、少しもったいない見方です。

同じ偏差値でも、数学だけが突出して高く英語の文法に穴がある子もいれば、暗記科目は得意でも文章の読解が苦手な子もいます。総合の数字は「平均」ですから、こうした弱点を見えにくくしてしまいます。

成績表は「科目別」「大問別」に分けて見る

大切なのは、総合偏差値の中身を分けて見ることです。成績表を受け取ったら、次の順番で確認してみてください。

成績表を見るときの手順

  • 5科の中で、どの科目が総合偏差値を最も押し下げているかを見つける
  • その科目の中で、大問ごとの正答率を確認する(例:数学なら、関数は取れているが図形が弱い、など)
  • 1回の結果だけで判断せず、直近2〜3回分を並べて「たまたま」か「続いている弱点」かを見分ける

これをしないまま「次はもっと頑張ろう」という気持ちだけで次のテストに臨むと、同じ単元で同じように失点しやすくなります。成績が伸び悩むお子さんの答案を見返すと、毎回ほぼ同じ種類の問題で点を落としている、ということは珍しくありません。

志望校との差が大きいほど、見直す範囲が広くなる

志望校の目安と今の偏差値に差があるときは、差の大きさによって手の打ち方が変わります。これはあくまで目安ですが、考え方の整理として使ってください。

  • 差が小さい(3ポイント程度まで):今のやり方を続けながら、苦手単元の穴を埋める
  • 差がやや大きい(4〜7ポイント程度):苦手科目に使う時間を増やし、間違えた問題の解き直しに力を入れる
  • 差が大きい(8ポイント以上):勉強の中身そのものを見直す段階。弱点の分析から始める

志望校の偏差値は、模試会社や塾によって出し方が違い、同じ学校でも数字が食い違うことがあります。志望校の判定を見るときは、同じ模試の同じ判定表で比べることが基本です。判定の読み方については、こちらも参考にしてください。

→ 北辰のA判定でも落ちる?C判定から受かる子の共通点

NG行動2:市販の問題集やアプリに、片っ端から手を出す

「これも良さそうだから」「友達が使っているから」と、参考書や学習アプリを買い足していくご家庭は多くあります。気持ちはよくわかります。ただ、受験が近づいたときに、手つかずの問題集が本棚に何冊も残っているというのは、ありがちな光景です。

中3の1年間で成果を出すために大切なのは、教材の「数」よりも「1冊をやり切る回数」です。同じ問題集を3周した子と、3冊をそれぞれ1周しかしていない子では、定着に差が出やすくなります。

なぜ「3周」が効きやすいのか

  • 1周目:知らない問題、解けない問題を洗い出す
  • 2周目:1周目で間違えた問題を中心に解き直し、解き方を身につける
  • 3周目:全体を通して解き、考えなくても手が動くところまで仕上げる

新しい教材を買う前に、「いま持っている教材を、解き直しまで含めて仕上げられているか」を一度確認してみてください。そのほうが、結果的に近道になることが多いものです。

学校選択問題を使う学校を目指す場合

埼玉県の公立高校入試では、一部の高校が数学と英語で「学校選択問題」という、通常より難しい問題を使っています。どの高校が対象かは、県教育委員会が年度ごとに発表します。2027年度入試の対象校は、2026年5月21日付で県から公表されています。志望校が対象かどうかは、県教育委員会のページで必ず確認してください。

対象校を目指す場合は、標準レベルの問題集を何冊も浅く触るより、応用レベルの問題を1冊深く仕上げるほうが、得点に結びつきやすいと考えられます。まずは基礎・標準の問題で取りこぼしがないことを確かめてから、応用に進む順番が安全です。

→ 学校選択問題はいつから対策?浦和・大宮・浦和一女の中3へ

NG行動3:「確約」の話を鵜呑みにして安心してしまう

埼玉県の私立高校には、事前の個別相談で、北辰テストの成績や内申点が学校の示す基準に届いているかを確認できる「確約」という仕組みがあります。夏以降の学校説明会や個別相談会で、成績表と通知表を持参して相談する流れが一般的です。

気をつけたいのは、「確約が出たからもう安心」と考えてしまうことです。確約の基準は学校ごとに違い、年度によって変わることもあります。「去年の先輩はこの偏差値で確約をもらえたから、うちの子も大丈夫」という又聞きの情報だけを頼りにするのは、特に避けたい判断です。

確約について、保護者が確かめておきたいこと

  • その基準が「今年度」のものかどうか
  • 北辰の偏差値だけでなく、内申点の基準も示されているか
  • 基準を満たしたあとに、受験や手続きで守るべき条件(欠席の日数、出願の方法など)がないか
  • 「確約」と「合格の可能性が高い」は同じ意味ではない、と理解しているか

確約の基準を学校が公式に公表していない場合もあります。その場合は数字を探し回るのではなく、個別相談で学校の先生に直接確認するのが確実です。北辰の成績表と通知表を持って行き、基準に届いているか、足りないならどこをどう補えばよいかを、正直に聞いてみてください。

確約はあくまで「合格の見通しを立てる材料」であり、当日の学力試験や、日々の内申の積み上げを軽く見てよい理由にはなりません。基準や運用は年度ごとに変わることがあるため、「去年はこうだった」ではなく、その年の説明会で今年度の話を聞くことが大切です。

→ 埼玉だけの「確約」とは|他県出身の親が知る私立の仕組み

→ 単願確約は何校まで?併願確約との違いと選び方

→ 併願確約は取るべき?2027年入試で保護者が知ること

個別相談の場での親の話し方も、思った以上に見られています。聞き方や持ち物で迷うときは、こちらの記事も役立ちます。

→ 塾の三者面談で親が避けたい7つの言動|北辰と確約

NG行動4:映像授業やアプリへの「なんとなく課金」

夏期講習や冬期講習の時期になると、「これを取らないと乗り遅れる」という空気の中で、オプション講座や追加教材の案内が次々に届きます。本当に必要な講座もありますが、中には「不安を埋めるためだけの課金」になっているものもあります。

映像授業やアプリは、使いこなせば強い味方になります。ただ、登録しただけで安心して、ログインすらしなくなってしまえば、お金だけが出ていって何も残りません。ここで大事なのは、課金そのものが悪いのではなく、お子さんの弱点と結びついていない課金を見直す、という考え方です。

申し込む前に考えたい3つの質問

  1. これは「弱点を埋める」ためのものか、「不安を消す」ためのものか
  2. いま使っている教材や講座を、使い切れているか
  3. これを追加することで、ほかの勉強の時間が削られないか

逆に、弱点がはっきりしている状態で、そこにだけ予算を使うのは、無駄遣いではなく必要な投資と言えます。違いは「何のために払うのか」を説明できるかどうかです。

もう一つ、案内された講座を1つだけ見て、その場で決めないことも大切です。ほかの選択肢と並べて、料金や内容を比べて初めて、その金額が妥当かどうかが見えてきます。夏期講習などで、あとから費用が膨らむ仕組みを知っておきたい方は、こちらもどうぞ。

→ 大手塾のオプション講座|取らなくてよい講座の見分け方

NG行動5:得意科目ばかり伸ばして、苦手科目を後回しにする

得意科目の問題は正答率が高く、気持ちよく進みます。一方、苦手科目は解いても点が伸びにくく、気持ちが重くなります。そのため、知らず知らずのうちに得意科目の時間が増え、苦手科目が後回しになっていきます。多くの受験生に起こる、ごく自然な流れです。

公立高校の入試では、5教科の学力検査の合計に、調査書(内申)や面接の評価も加えて合否が決まります。学力検査の中だけで見ても、偏差値68の科目を70に上げるより、偏差値45の科目を55に上げるほうが、同じ時間でも点数が伸びやすい傾向があります。上位に行くほど1点を上げる労力は大きくなり、一方で苦手科目は基礎の抜けを埋めるだけで伸びる余地があるためです。

苦手科目に向き合うための工夫

  • 「1日30分だけ苦手科目」のように、時間を固定して習慣にする
  • いきなり応用問題に進まず、教科書レベルの基礎から確認する
  • 苦手科目専用のノートに、間違えたパターンを一覧にしておく

得意科目ばかり進めていると起きやすいこと

数学の応用問題に勉強時間の多くを使い、英語の長文は途中で集中が切れて手が伸びにくい、という状態は珍しくありません。親も数学を解いている姿を見ると安心してしまい、英語には声をかけにくくなります。

秋の北辰テストの結果が返ってきて、数学は高いままでも英語が全体の足を引っ張っている、と分かることがあります。ここから英語の基礎を毎日30分と決めて見直しても、時間が足りなくなる場合があります。得意科目を伸ばすこと自体は悪くありません。ただ、苦手科目の時間を先に確保しておくだけで、こうしたズレは小さくできます。

学校選択問題を使う学校を目指す場合は、数学と英語で差がつきやすいため、この2科目のどちらかが苦手なまま残らないよう、早めに手を打っておきたいところです。

とはいえ、苦手科目ほど本人は手をつけたがらず、親が横について教えるのも簡単ではありません。苦手の原因が基礎の抜けにあるのか、勉強のやり方にあるのかも、ご家庭だけでは見分けにくいものです。集団授業では一人ひとりの苦手単元まで手が回りにくいため、その部分だけ外の手を借りるのも一つの方法です。

外部に頼むかどうかを決める前に確認したいことは、こちらにまとめています。

→ 苦手な1教科だけ外部に頼むとき、先に確認したい7つのこと

NG行動6:直前期に「量」だけを増やす一夜漬け型学習

2027年度入試の公立高校は、学力検査が2027年2月25日(木)、面接が2月26日(金)に行われる予定です(埼玉県教育委員会の発表)。それより前の1月下旬には、私立高校の入試もあります。つまり「直前期」は、私立入試に向けた時期と、公立本番に向けた時期の、少なくとも2回あると考えておくのが現実的です。

入試が近づくと、「あと少しでも多く解かせなければ」と、演習量を一気に増やしたくなります。しかし、どちらの直前期でも、新しい問題集へ手を広げるのは非効率になりがちです。この時期に本当にやるべきなのは、これまで解いてきた模試や問題集で間違えた問題を解き直し、着実に点にできる問題に変えることです。

新しい問題を1問解くより、過去に間違えた問題を解き直して「なぜ間違えたのか」を自分の言葉で説明できるようにするほうが、本番の得点に結びつきます。

直前期の優先順位(高い順)

  1. これまでの模試や過去問で間違えた問題の解き直し
  2. よく出る単元の基礎の総点検
  3. 時間配分を意識した過去問演習
  4. 新しい問題集への着手(時間が余った場合のみ)

2027年度入試で変わること

直前期の過ごし方を決めるうえで、2027年度入試の変更点も押さえておきましょう。県教育委員会が公表している内容の要点は、次のとおりです。詳細や、志望校ごとの選抜方法は、県教育委員会の「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜に関する情報」のページで必ず確かめてください。

  • 学力検査の解答方法に「マークシート方式」が導入され、得点に換算するとおよそ9割がマークシート、およそ1割が記述式になる
  • 調査書(内申書)の様式が変わり、成績(5段階)を中心とした内容になる
  • 志願者が自己評価資料を提出する
  • 面接が全員に行われる(共通選抜でも学力検査、調査書、面接で得点を算出する)
  • 学科やコースの特色に応じた「特色選抜」が新しく設けられ、学校によっては特色検査が行われる

マークシートに変わる分、過去問演習のときも、解答用紙の形式に早めに慣れておくと安心です。過去の合格データや先輩の体験談は、形式が変わる分、そのまま当てはまらない部分があります。「去年はこうだった」ではなく、「今年の公式な発表はどうか」を基準にしてください。

→ 【2027年入試】埼玉県公立・私立高校入試の年間スケジュール

公立の学力検査は2027年2月25日で、その前に冬休みや1月下旬の私立入試、年末年始を挟みます。長く見えて、集中して取り組める日数は意外と限られます。これまでの6つのNG行動に共通するのは、お子さん一人ひとりの弱点に合わせられていない、という点です。集団授業は「クラス全体」に合わせて進むため、一人ひとりの細かい弱点に対応しきれない面があります。

北辰テストの結果から弱点が見えてきた段階なら、今の塾を続けながら、苦手な科目だけを個別に補うという形も選べます。家庭教師は会社によって料金も講師の層も大きく違うので、1社の説明だけで決めず、資料を並べて見比べてから話を聞く順番がおすすめです。

まとめ:6つのNG行動を見直して、残りの期間を使い切る

  • 北辰テストは総合偏差値だけでなく、科目別・大問別に弱点を見つける
  • 教材は「数」より「1冊をやり切る回数」を優先する
  • 確約は学校の示す基準を今年度の説明会や個別相談で確かめ、当日点と内申の積み上げも続ける
  • 映像授業やアプリは、弱点と結びついた課金かどうかを毎回確認する
  • 苦手科目に向き合う時間を、先に確保する
  • 直前期は新しい問題より、間違えた問題の解き直しを優先する
  • 2027年度入試はマークシート方式、全員面接、特色選抜などで選抜方法が変わるため、公式の発表を基準にする

どれも派手なテクニックではありませんが、この6つを避けるだけで、残りの期間の使い方は大きく変わります。やり方を少し見直すだけで、まだ伸びる余地は十分にあります。

まず今週やることを一つに絞るなら、直近の北辰テストの成績表を取り出して、5科の中でいちばん偏差値が低い科目と、その科目で点を落としている大問を紙に書き出すことです。そのうえで、志望校の入試方式(学校選択問題の有無、確約の基準)を、学校や県教育委員会の公式な情報で確かめてください。お子さんのスマホや勉強の様子にイライラする前に、まずはやり方そのものを、親子で一緒に見直すところから始めてみましょう。