不登校の中3の進路|埼玉で選べる高校の種類と調べ方

朝、玄関に靴が並んだまま動かない。そんな日が続くと、進路の話どころではなくなってしまいます。

「学校に行けていないのに、高校なんて行けるのだろうか」
「全日制だけが道だと思っていたけれど、ほかにも選べるのだろうか」

学校に通えていない時期があっても、高校へ進む道は一つではありません。全日制のほかに、定時制、通信制、単位制といった仕組みがあり、県の公式な案内で調べられます。大切なのは、焦って一つに決めることではなく、種類の違いを知り、「お子さんが無理なく続けられるのはどれか」を比べる順番を持つことです。

この記事では、高校の課程の種類、埼玉県の公式情報の見方、調べるときの順番、親が今やることを整理します。なお、この記事は、お子さんの心の状態や不登校の原因を判断するものではありません。気がかりな点は、学校や公的な相談窓口、専門家に相談してください。

まず知っておきたい、高校の課程の種類

高校には、通い方の違いで大きく三つの課程があります。名前は聞いたことがあっても、違いまでは知らない保護者の方が多いので、まずここを整理します。

全日制

平日の昼間に通い、毎日登校する形が基本です。私立も公立も、募集要項記事で扱っているのはほとんどこの形です。調査書(内申)と入学者選抜の結果で合否が決まります。

定時制

昼間とは別の時間帯に授業を行う課程です。夜間に授業を行う学校のほか、午前・午後・夜間から選べる学校もあります。通う時間帯は学校によって違うため、気になる学校の案内で確認します。

通信制

教室での授業が中心ではなく、自分で学ぶ時間を軸にした課程です。文部科学省の「通信制高校とは?」のページでは、学習方法として次の4つが示されています。

  • レポート(添削指導):決められた回数のレポートを出し、先生からコメントを受ける
  • スクーリング(面接指導):先生や他の生徒と対面で学ぶ。実験や実習もここで行う
  • 試験:学習内容の定着を確認する
  • 多様なメディアを利用した指導:動画などで学び、報告課題を出す

卒業に必要な単位数は74単位以上、特別活動(ホームルーム活動を含む)は30単位時間以上の指導が必要とされています。レポートの回数やスクーリングの時間数は学校ごとに違う場合があるので、気になる学校の案内で確かめてください。

「単位制」は課程とは別の考え方

単位制は、決まった学年のクラスで進むのではなく、必要な単位を積み重ねて卒業する仕組みです。埼玉県の授業料のページを見ると、定時制には「単位制課程」とそれ以外があり、通信制は履修する単位数に応じて授業料がかかる形で示されています。つまり、「定時制か通信制か」と「単位制かどうか」は、別の軸で考えます。

なお、不登校のお子さんに限らず、通信制の課程でも全日制・定時制と同じく高校の課程として扱われます。進学先や就職先でどう見られるかを気にされる方は多いので、気になる場合は志望する先の条件を個別に確認してください。

学校に通えていない時期に、いきなり出席日数や内申の話を始めると、お子さんも親も苦しくなります。

埼玉県の公式情報で確認できること

民間の進学情報は分かりやすい一方で、県の制度と違うことがあります。事実は、県の発表を確認するのが確実です。ここでは、県と文部科学省の公開ページで確認できた範囲で整理します。

学費は課程によって違う

埼玉県立高校の入学料・授業料は、課程によって金額が違います。県のページ(2026年6月18日掲載、金額は令和8年4月1日現在)では、次のように示されています。

県立高校の入学料と授業料(令和8年4月1日現在)

  • 全日制課程:入学料5,650円、授業料は年額118,800円
  • 定時制課程(単位制課程を除く):入学料2,100円、授業料は年額32,400円
  • 定時制課程(単位制課程):入学料2,100円、授業料は1単位につき1,750円
  • 通信制課程:入学料500円、授業料は1単位につき330円

同じページには、令和8年度から就学支援金の所得要件がなくなったことも書かれています。支給を受けるには申請が必要で、認定されると授業料が実質無償になる、という説明です。私立の通信制などは県のこのページの対象外です。学費は学校ごとに大きく違うので、案内を取り寄せて、入学料、授業料、教材費、スクーリングの交通費などを同じ項目で比べてください。

定時制の募集と志願の状況

令和8年度(2026年度入試)の県の発表では、定時制課程の募集人員は1,976人(前年度より60人少ない)、志願者数は1,064人、倍率は0.55倍でした(2026年2月10日発表)。数字は令和8年度入試のもので、2027年入試のものではありません。学校ごとに状況も違います。ただ、「定時制は選べる枠がある」ことを知っておくだけでも、気持ちが少し軽くなる方はいます。令和9年度入試の数字は、県の発表で確認してください。

公立の定時制・通信制の学校一覧や、令和9年度(2027年入試)の募集の内容は、県教育委員会のページか、気になる学校に問い合わせて確かめてください。中学校の進路担当の先生に聞く方法もあります。

調べるときの順番:学校の種類より先に決めたいこと

「どの課程がいいか」から入ると、情報が多くて迷います。次の順番で考えると、迷いにくくなります。

1. 今のお子さんの「しんどさ」を、責めずに言葉にする

朝起きられない、教室に入れない、人が多いところが苦しい、授業についていけない。しんどさの中身で、合う学び方は変わります。ただし、これを親が診断する必要はありません。お子さんが話したくない時期は、無理に聞き出さなくて構いません。

2. 「どれくらいの頻度なら通えそうか」を考える

週5日の登校が難しいのか、昼間が難しいのか、人数の多さが難しいのか。通う頻度や時間帯の想像がつくと、全日制、定時制、通信制のどれが近いかが見えてきます。これは決めつけではなく、あくまで調べ始める目安です。

3. 学校の案内を、種類をまたいで3〜5校取り寄せる

パンフレットには、登校日数、授業の形、サポート体制が書かれています。1校だけだと比べられないので、種類をまたいで集めます。気になる学校には、見学や個別相談を申し込むのが確実です。

4. 学校の先生・相談窓口に、事実を確認する

中学校に通えていない時期の扱いが、受験にどう影響するかは、選ぶ学校や制度によって違います。調査書の扱いは、中学校の担任や進路担当の先生に、「欠席が多い場合、志望する課程の選抜でどう見られますか」と聞いて確認します。この記事では、制度の細かい扱いについて、確認できていない部分は断定しません。

学習が止まってしまう不安にどう向き合うか

進路を調べる一方で、保護者の方が口にされるのは「勉強が止まっていて、どこから戻ればよいかわからない」という不安です。ここは、進路を選ぶ段階でも大きな分かれ目になります。

勉強を再開する前に、親ができる準備

  • 教科書やワークの、どの学年までなら取り組めそうかを、お子さんと責めずに確認する
  • いきなり全教科ではなく、取り組みやすい1教科から、1日10〜15分程度の時間で試す
  • 「やったか」ではなく「やれた時間」を、一緒に記録する
  • 学校から配られるプリントや課題の扱いを、担任の先生と確認する

親が教えようとすると、お互いの感情が入って続かないことがあります。それは親の力不足ではなく、距離が近すぎるからです。ここで外部の力を借りるのは、決して逃げではありません。

学校に通えていない期間の学習は、本人のペースで進められる形が合うことがあります。残りの期間で、どこから戻るかを一緒に決めてもらえる環境があるかどうかで、再開のしやすさは変わります。

家庭・個別・集団、学校に通えていない子にはどれが合うか

特定の会社や塾を勧める意図はなく、タイプごとの違いだけを整理します。お子さんの状態によって、合うものは変わります。

集団授業の塾

周りの刺激で頑張れる子には向いています。一方で、教室に入ること自体が負担のときは、続けにくいことがあります。まずは、見学や体験で教室の雰囲気を確かめてください。

個別指導塾

教室に通って、一人ずつ見てもらう形です。通う場所と時間が決まるので、生活のリズムを作りたい子には合うことがあります。ただし、同じ教室に他の生徒がいるため、そこが負担になるかは確認が必要です。

家庭教師

自宅で、1対1で見てもらう形です。移動がなく、お子さんのペースに合わせて内容を決めやすい点が特徴です。一方で、講師との相性が大きく影響するため、体験や交代の条件は確認しておきます。

どの方法でも、確認したいのは次の項目です。金額は会社によって違うので、書きません。資料で、同じ項目をそろえて比べてください。

  • 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費)
  • 学校に通えていない期間の学習の戻り方を、相談しながら決められるか
  • 授業の曜日・時間を、お子さんの体調や気持ちに合わせて変えられるか
  • 講師が合わなかったとき、交代できるか

違いの詳しい比べ方は、こちらの記事にまとめています。

→ 家庭教師と個別指導塾の違い|埼玉の中3の親が比べる7項目

一人で抱え込まないために:公的な相談窓口

進路の相談先は、学校の先生だけではありません。埼玉県のページ「いじめ・不登校などに関する相談窓口」(2026年4月8日掲載)には、次のような窓口が載っています。

  • 彩の国 よりそうみんなの電話・メール教育相談(埼玉県立総合教育センター):県内の小・中・高校生と青少年が対象
  • SNSを活用した教育相談:県内の学校に在籍する中学・高校生が対象

電話番号や受付時間は、各窓口のページで変わることがあります。利用する前に、県のページで現在の情報を確認してください。お住まいの市町村にも相談窓口がないか、学校や市町村の案内で調べておくと安心です。

お子さんの様子で心配なことがあるときは、進路の相談と合わせて、こうした窓口や医療・心理の専門家にも相談してください。

相談の連絡から、案内の取り寄せ、学校への質問まで

最初にやること

  • 担任か進路担当の先生に、進路について相談したいと連絡する
  • 県のページで、公立の定時制・通信制の入学案内や学校の一覧を探す
  • 相談窓口のページを開き、使えそうな窓口を一つ控えておく

11月〜12月にやること

  • 全日制・定時制・通信制から、種類をまたいで3〜5校の案内を取り寄せる
  • 見学会や個別相談の日程を調べ、親だけでも参加できるか確認する
  • 学費(入学料・授業料・教材費・交通費)を、同じ項目で書き出して比べる

学校や先生に聞くこと

  • 欠席が多い場合、志望する課程の選抜でどう扱われるか
  • 登校日数やスクーリングの回数、授業の時間帯
  • 学校に通えていない期間の学習を、入学後にどうサポートしてもらえるか

案内の取り寄せと見学の申込は、11月から12月にかけて

県の発表では、令和9年度の公立高校の学力検査は2027年2月25日です。11月6日の時点で、学力検査まで約3か月半あり、その間に学校の見学や個別相談、出願準備が重なります。私立や通信制の出願時期は学校ごとに違うので、案内で確認が必要です。

決断を急ぐ必要はありません。ただ、案内を取り寄せたり、見学を申し込んだりといった「調べる作業」は、時期が遅くなるほど選択肢が絞られます。お子さんが動けない時期だからこそ、親が情報を集めておくことは、後で大きな助けになります。

まとめ:道は一つではない。まず種類を知ることから

  • 高校には、全日制・定時制・通信制の課程があり、単位制はそれとは別の考え方
  • 通信制は、レポート・スクーリング・試験などで学び、卒業には74単位以上が必要(文部科学省)
  • 県立高校の学費は課程で違う。定時制と通信制は、全日制と金額の出し方も違う
  • 調べる順番は、お子さんの状態、通える頻度、案内の取り寄せ、先生への確認
  • 調査書の扱いなど、確認できていない制度は、学校と先生に事実のまま聞く
  • 心配なときは、県の相談窓口や専門家も頼る。親が一人で抱え込まない

まず、担任か進路担当の先生に「進路の選択肢を教えてほしい」と連絡することから始めてください。お子さんに急かさず、案内を机に置くだけでも、最初の一歩になります。

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