中3の秋から家庭教師は遅い?埼玉の入試日程で考える始め方

「今から家庭教師を頼んでも、もう遅いですよね」

10月も後半になると、こうした不安が出やすくなります。それに続いて浮かぶのは「夏のうちに動いておけばよかった」「今さら先生を探しても、慣れるころには入試になってしまう」といった言葉です。後悔と焦りが一緒になって、動く前から「もう間に合わない」と決めてしまっているように聞こえることも少なくありません。

中3の秋から家庭教師を始めること自体は、遅いと言い切れません。ただし「何となく始める」のは遅いです。この時期は、始める時期よりも、始める前に「何を変えたいのか」「いつまでに何を終えるのか」を決めているかどうかで、結果が分かれます。

この記事では、まず「遅い」と感じる理由を整理し、10月18日を基準に入試までの日数を実際に数えます。そのうえで、家庭でできること、家庭だけでは手が回らなくなる部分、塾・個別指導・家庭教師の違い、そして始めるなら先に決めておきたい項目を整理します。特定の塾や会社の名前は出しません。

「遅い」と感じる理由を、先に分けて考える

「遅いのでは」という不安は、実は中身がいくつかに分かれています。どれが自分のご家庭に当てはまるかで、考えるべきことが変わるので、先に見分けておきましょう。

「遅い」と感じる理由のチェックリスト

  • 授業に慣れるまでに時間がかかり、入試までに成果が出ないのではと思っている
  • 先生との相性が合わなかったとき、やり直す時間が残っていないのではと思っている
  • すでに塾に通っていて、いまさら別の方法を足すと子どもが混乱しそうだと思っている
  • 周りの子は夏から動いていて、自分の子だけ出遅れた気がしている
  • 費用がかさむ割に、残り期間が短くて割に合わないのではと思っている
  • 子ども本人が「今さらやっても変わらない」と言っている

このうち、最初の2つは「期間」の問題です。次の節で、残りの日数を数えて確かめます。3つ目は「塾との組み合わせ」の問題で、後の節で扱います。4つ目と6つ目は気持ちの問題で、実は一番やっかいです。「出遅れた」という感覚は、数字で確かめられないぶん、実際より大きく見えます。

そして5つ目の費用は、会社や指導形態で大きく違うため、この記事では金額には触れません。比べるときの項目だけをお示しします。

ここで大事なのは、「遅い」という言葉が、時期の話をしているようで、実は「目的がはっきりしていない不安」を指していることが多い点です。目的が決まっていれば、残り期間でできることとできないことを冷静に仕分けられます。決まっていなければ、夏に始めても同じ不安が残ります。

なお、すでに集団塾が合わなくて悩んでいる場合は、塾の集団授業についていけない中3の判断基準の記事も参考になります。

志望校や併願校がまだ固まっていない場合は、外部の力を借りる前に、そちらを整理するほうが先です。

入試まで、実際に何日あるのか(10月18日を基準に数える)

「遅い」かどうかは、感覚ではなく日数で確かめられます。ここでは2026年10月18日を基準にします。埼玉県教育委員会が公表している令和9年度の公立高校入試の日程は、学力検査が2027年2月25日(木)、面接が2月26日(金)、入学許可候補者の発表が3月5日(金)です。

北辰テストの日程は、北辰図書の案内で、中3の第6回が11月8日(日)、第7回が12月6日(日)、第8回が2027年1月31日(日)とされています。正式な日程は、北辰図書の公式サイトで必ず確認してください。

10月18日から数えると、次のようになります。

  • 11月8日の北辰まで:21日
  • 12月6日の北辰まで:49日(約7週間)
  • 1月31日の北辰まで:105日(約15週間)
  • 2月25日の公立入試(学力検査)まで:130日(約18週間)

130日というと、短く感じるかもしれません。けれども週に1回の指導なら、約18回の機会があります。週2回なら30回を超えます。「慣れるころには入試」という心配は、慣れるまでに数回かかるとしても、残りの大半は使える、ということになります。

一方で、見逃したくない点もあります。私立高校の確約を目指す場合は、12月の個別相談会や北辰の結果が節目になることが多く、そこまでは49日、つまり約7週間しかありません。また、学校の期末テストが12月ごろにある学校も多く、内申点に関わる時期は、公立入試よりもずっと手前に来ます。

つまり、「入試まで130日ある」ことと、「確約や内申の判断までは約7週間しかない」ことの両方が事実です。遅いかどうかは、ご家庭がどの節目を目標にするかで答えが変わります。公立一本なら、まだ立て直す時間は残っています。確約を取りたい場合は、12月の節目が近いぶん、動くなら早いほうがよい、と考えられます。

外部の力を借りる前に、家庭でできること

家庭教師を頼む前に、家庭だけで整えられる部分があります。ここを先にやっておくと、始めたあとの時間を無駄にしません。

1. 直近の北辰テストの結果を、教科ごとに並べる

10月の北辰の成績表を、教科別の偏差値と、設問ごとの正答状況で見てください。落としている教科がはっきりしていれば、頼む内容も絞れます。全教科をまとめて見てもらうのか、苦手な1〜2教科だけなのかで、必要な時間も変わります。

2. 「やる日」と「やらない日」を、先に決めておく

部活が終わった中3は、時間が増えたようで、実は帰宅後の過ごし方が決まらず、だらだらしてしまう子が多いのです。曜日ごとに、勉強する時間帯を大まかに決めておくだけで、外部の先生に来てもらうときの曜日も決めやすくなります。

3. 学校の提出物と、苦手単元のリストを作る

内申点に関わる提出物が滞っていないか、子どもと一緒に確認します。同時に、「これだけは分からない」という単元を、教科ごとに3つ程度書き出してください。この紙が、あとで先生や会社に相談するときの一番の材料になります。

ここまでを1週間ほどでやっておけば、始める時期が11月上旬にずれ込んでも、実質的な遅れにはなりません。逆に、これをやらずに先生だけ決めても、最初の数回は「何をやるか」を探すだけで終わってしまいます。

それでも家庭だけでは手が回らない部分

家庭でここまで整えても、残る部分があります。親が見られるのは、「やっているか」「点数が動いたか」までです。「なぜ間違えたのか」「次は何をすればその点が取れるのか」は、教える側の経験がないと、判断が難しい部分です。

  • 解き直しをしても、同じ種類の問題で同じように間違える
  • 解答を読めば分かるのに、自力では式や考え方を作れない
  • 教科が複数にまたがって苦手で、どれから手を付けるか順番が決められない
  • 親が教えようとすると、親子で言い合いになってしまう
  • 塾の宿題をこなすだけで精一杯で、苦手の穴埋めまで手が回らない

特に最後の2つは、中3の秋の家庭で多く挙がる悩みです。親子で教え合うと、どうしても感情が入ります。「さっきも言ったでしょ」の一言で、その日の勉強が終わってしまうことも珍しくありません。これは親の力不足ではなく、距離が近いからこそ起きることです。

10月18日の時点で、学力検査まで130日、確約や内申の判断まで約7週間でした。「手が回らない部分」を放置したまま12月6日の北辰を迎えると、その時点の偏差値が、そのまま志望校選びの材料になります。

中3の秋から塾・個別指導・家庭教師を選ぶなら

ここで、3つの選択肢を整理します。どれが良い・悪いではなく、お子さんの状況に合うかどうかの話です。

集団授業の塾

  • 決まったカリキュラムを、集団で進める
  • 周りの子の様子が刺激になる子には合いやすい
  • 授業の進度は塾が決めるため、個々の穴埋めには手が回りにくい

個別指導塾

  • 教室に通い、講師が1人から数人の生徒を見る形式が多い
  • 通塾の移動時間がかかるが、自習室などの環境が使える場合がある
  • 講師が複数の生徒を同時に見るかどうかは、教室によって異なる

家庭教師

  • 自宅で、先生が1対1で教える形式が多い
  • 移動の時間がかからず、曜日や時間の調整がしやすい
  • 先生の力量や相性による差が大きく、会社ごとに講師の選び方や交代の条件が違う

この3つは排他的ではありません。集団塾に通いながら、苦手な1教科だけ家庭教師を足している家庭も多くあります。「全部を乗り換える」のではなく、「足りない部分だけ足す」という考え方です。

では、どんな場合に、外部の力を借りる価値があるのでしょうか。目安は次のとおりです。

  • 原因が分かっているのに、家庭だけでは直せない部分がある
  • 入試までに優先して固めたい教科や単元が、はっきり決まっている
  • 親子で勉強の話をすると、どうしても衝突してしまう
  • 通塾の時間を減らして、勉強そのものに時間を回したい

反対に、「何を頼むかも決まっていない」「本人が受け入れる気がまったくない」という状態で始めても、費用と時間だけが過ぎやすいのも事実です。本人が納得していないときは、まず本人と話す時間を取るほうが先になります。

次のようなご家庭は、一度、同じ項目で比べておく価値があります。

始めるなら、先に決めておきたい5つのこと

「遅いかどうか」より大事なのが、始める前に何を決めておくかです。この5つが決まっていれば、残り期間が短くても、無駄を減らせます。

1. 目的を1文で言えるようにする

「北辰の数学を、12月までに偏差値で上げる」「理科の暗記の穴を、1月までに埋める」のように、教科と期限を入れて1文にします。この1文が書けないうちは、先生や会社に相談しても、提案が漠然としたものになりやすいのです。

2. 見てもらう教科と、頻度を決める

全教科を見てもらうのか、1〜2教科なのか。週に何回、1回あたり何分にするのか。この組み合わせで、総額も、親の負担も変わります。まず絞って始め、必要なら増やす進め方が、失敗しにくいです。

3. 期限から逆算して、区切りの日を決める

たとえば「12月6日の北辰で結果を見る」と決めておけば、10月18日からの約7週間で何をやるか、計画が立てやすくなります。区切りがないと、「もう少し続ければ」と、判断が先延ばしになります。

4. 合わなかったときの動き方を、先に確認する

講師との相性は、始めてみないと分かりません。講師を交代できるか、交代に費用がかかるか、いつまでに言えば間に合うか。これを契約の前に確認しておくだけで、「相性が合わなかったらやり直す時間がない」という不安はかなり減ります。

5. 総額を、入試までの期間で見る

月謝だけでなく、入会金・教材費・交通費など、月額以外にかかる費用があるかを確認します。そのうえで、入試までの期間でいくらになるのかを、どの会社でも同じ項目で比べてください。ここを揃えて比べないと、安く見えた会社が結果的に高いことがあります。

この5つを、子どもと一緒に話しながら決めると、本人の納得感も上がります。本人が決めに参加した計画は、続きやすいからです。

迷って2週間何も決めないままでいると、その間の勉強は変わらず、11月8日の北辰を迎えてしまいます。分かれ目は、時期ではなく、「何を頼むのか」を紙に書き出せているかどうかです。書き出してみて、困っているのが数学の関数と図形の2単元だけだと分かれば、頼む内容も週に何回見てもらうかも決めやすくなります。

始めてからの最初の3週間で、親が見ておくこと

始めることを決めたあとも、親の役目は終わりません。残り期間が限られているこの時期は、最初の3週間の見方が、その後の使い方を左右します。

1週目:先生と、目的の1文を共有できたか

初回の面談や授業で、先ほどの「教科+期限」の1文を先生に伝えてください。先生がそれを聞いて、最初の数回で何をやるか具体的に話してくれるかが、ひとつの目安になります。「まず様子を見ながら」と言われるだけで終わるときは、何を見るのか、いつまで見るのかを質問して構いません。

2週目:宿題の量が、子どもの生活に合っているか

先生が出す課題が、学校の提出物や部活動引退後の生活と、きちんと両立できる量かを確認します。多すぎて終わらない課題は、子どもに「やっても無駄だ」という感覚を残します。逆に、少なすぎて物足りないときは、増やしてほしいと伝えて問題ありません。先生に遠慮して言えないご家庭が多いので、親が代わりに伝えるのが役目です。

3週目:区切りの日に向けて、見る数字を決めたか

12月6日の北辰が近づいたら、見る数字を決めておきます。偏差値の合計だけでなく、先生と決めた教科の正答率や、苦手単元の問題の出来など、目的の1文に直結する部分を見ます。全体の偏差値は、他の教科の出来にも左右されるので、それだけで判断すると、効果を見誤ることがあるからです。

数字が動かなかったときも、すぐに「失敗だった」と決める必要はありません。何が原因で、残りの期間に何を変えるのかを、先生と話す材料にしてください。逆に、3週間たっても、先生から具体的な報告や次の提案がないときは、会社に相談する時期です。契約の前に確認した交代の条件が、ここで役に立ちます。

この3週間の見方を知っているだけで、「始めてみたものの、何を基準に続けるか分からない」という状態を避けられます。

10月の成績表を教科別に並べ、目的を「教科+期限」の1文にする

契約の前に済ませておく準備

  • 10月の北辰の成績表を、教科別に並べて見る
  • 苦手単元を、教科ごとに3つ程度、子どもと一緒に書き出す
  • 目的を「教科+期限」の1文にする
  • 志望校の確約や出願の節目を、学校のページや説明会の案内で確認する
  • 見てもらう教科と、1週間あたりの回数・時間を仮に決める
  • 講師交代の条件と、月謝以外の費用を、同じ項目で確認する準備をする
  • 子どもに「やってみたいか」を、責めずに聞く

最後の項目が、実は一番大切です。本人が少しでも「それなら試してみたい」と言えるかどうかで、続くかどうかが決まります。

準備の期限は、日程から逆算できます。10月18日の時点で、11月8日の北辰まで21日、12月6日の北辰まで49日、公立入試の学力検査(2月25日)まで130日でした。確約や出願の節目は、12月の北辰とその後の個別相談会のあたりにあることが多く、そこまでの時間は意外と短いのです。迷っている2週間は、全体の約1割にあたります。迷うこと自体は悪くありませんが、迷っている間に、比べる材料をそろえておくことはできます。

まとめ:遅いかどうかは、目的が決まっているかで変わる

  • 中3の秋から家庭教師を始めること自体は、遅いと言い切れない。10月18日の時点で、公立入試の学力検査(2月25日)まで130日あった
  • ただし、確約や内申の判断が近い家庭は、12月6日の北辰までの49日(約7週間)を目安に動いたほうがよい
  • 先に家庭でできること(成績表の整理、苦手単元のリスト、勉強する日の固定)を済ませると、始めたあとの時間を無駄にしない
  • 家庭教師・個別指導・集団塾は排他的ではなく、足りない部分だけ足す考え方もある
  • 始める前に決めたいのは、目的の1文、教科と頻度、区切りの日、合わなかったときの動き方、入試までの総額の5つ

「遅いかも」と感じたときに本当に必要なのは、焦って先生を決めることではなく、何を変えたいかを紙に書くことです。まずは、成績表と苦手単元のリストを並べて、目的を1文にしてみてください。そこまでできていれば、家庭教師を頼むにしても、塾を続けるにしても、2月25日の学力検査までの時間を使い切る準備はできています。