三者面談の予約票を冷蔵庫に貼ってから、何度も通知表と北辰テストの成績表を見比べている。そんなご家庭は、この時期に多いと思います。
「5教科のうち、数学だけが足を引っ張っている。でも、塾を丸ごと増やす必要はない気がする」
「1教科だけ誰かに見てもらうのは、中途半端でお金のむだになりませんか」
苦手が1教科に絞れているなら、外部の力を借りるのは「1教科だけ」で構いません。ただし、頼む前に「その1教科のどこでつまずいているか」「何を、いつまでに、どこまで直したいか」を決めておかないと、時間と費用だけが出ていきます。この順番を守れば、1教科だけの依頼はむしろ、入試まで時間が限られた時期に合った動き方です。
この記事では、まず苦手の原因を見分けるチェックリスト、次に家庭でできる確認、そして外部に頼む前に確認したい7つのことを整理します。最後に、北辰テストと公立入試の日程に照らして、いつまでに動けばよいかをお伝えします。特定の塾や会社の名前は出しません。費用は会社や教室で大きく違うため、具体的な金額は書かず、比べる項目だけを示します。
「苦手な1教科」は、本当に1教科の問題か
外部に頼む前に、最初に確かめたいのは「苦手が本当にその1教科だけなのか」という点です。北辰の偏差値が低い教科が1つあるからといって、原因がその教科の中にあるとは限りません。たとえば数学の点が取れない原因が、計算の速さや問題文の読み取りにある場合、他の教科にも同じ影響が出ているのに気づいていないだけ、ということがあります。
原因の見分けチェックリスト
- 北辰の答案を見て、その教科は「わからなくて白紙」が多い(知識や理解の穴)
- 北辰の答案を見て、その教科は「解けるのに時間切れ」になっている(処理の速さ)
- 定期テストでは取れるのに、北辰では取れない(範囲が広いと対応できない)
- 定期テストでも北辰でも同じ単元で毎回落としている(特定単元の穴)
- 見直しをすると、ケアレスミスや問題の読み違いが目立つ
- 他の教科でも、長い文章題や記述になると点が落ちる
前半の2つは「その教科の中身」の問題で、外部の先生に頼む価値が出やすい部分です。後半の2つは、勉強の進め方や、問題を読む力の問題が混ざっている可能性があります。この場合は、教科だけを頼んでも、思ったほど点が動かないことがあります。
どの項目に当てはまるかで、次の手が変わります。
まず家庭でできる、3つの確認
外部の力を借りるかどうかを決める前に、ご家庭でできることがあります。これをやっておくと、頼むと決めたときに、先生へ伝える材料にもなります。
① 直近の北辰の答案を、大問ごとに見る
偏差値や総合点だけを見るのではなく、「どの大問で、何点落としたか」を書き出してください。数学なら、計算問題は取れているのに関数や図形で落としているのか、それとも大問1から全体的に取れていないのか。ここで見える傾向が、「どこから戻るか」を決める出発点になります。
② 学校の提出物と定期テストの予定を、カレンダーに書く
2学期の期末テストと提出物の期限は、内申点に直結します。外部の先生に頼むとしても、期末テストの前は、学校の範囲を優先するのか、北辰に向けた復習を優先するのか、時期ごとに変わります。予定を先に見える形にしておくと、授業の組み立てが決めやすくなります。
③ お子さんに「どこがわからないか」を言葉にしてもらう
長い説明は要りません。「関数のグラフがわからない」「英語は単語が覚えられない」など、短い言葉で十分です。お子さん自身が「ここだ」と言える部分があると、先生とのやり取りも早く進みます。言葉にできない場合は、それ自体が「どこで止まっているのか、自分でもわからない」というサインなので、外部の目を入れる価値が高い場面です。
「ここまでやってみたけれど、原因がまだ絞れない」「教えようとしても、親子でぶつかってしまう」という場合は、家庭の中だけで抱え込まないほうがうまくいきます。
1教科だけ頼むのは、中途半端ではない
「1教科だけでは申し訳ない気がする」「全教科まとめて見てもらったほうがよいのでは」と考える保護者は少なくありません。ですが、入試までの残りの期間を考えると、1教科に絞る判断には合理的な理由があります。
- 時間は有限で、教科を増やすほど、1教科あたりの学習量は薄くなる
- 苦手が1教科なら、他の教科は今の学習のペースで維持できている可能性が高い
- 費用も、教科数に比例して増えやすい
- 1教科なら、成果が出ているかどうかを北辰の結果で確かめやすい
1教科に絞った依頼でも、「何を目標にするか」を最初に決めておくかどうかで、結果が分かれます。次の節では、そのために頼む前に確認したい7つのことを整理します。
頼む前に確認したい、7つのこと
外部の力を借りると決めたら、塾・個別指導・家庭教師のどれであっても、次の7つは先に確認しておきたい項目です。同じ質問を全部の候補に聞くことで、初めて比べられるようになります。
1 その1教科だけの依頼を受けてもらえるか
塾によっては、「全教科セットのコース」や「週○回以上」の決まりがあり、1教科だけの契約ができない場合があります。1教科だけ、週1回だけという形で受けてもらえるか、最初に聞いてください。ここが合わないと、他の確認をする前に候補から外れます。
2 前の学年にさかのぼって教えてもらえるか
苦手の原因が、中1・中2の内容にあることは珍しくありません。数学なら比例・反比例や一次関数、英語なら文法の基礎など、積み重ねの教科は特にそうです。「今の学年の範囲だけ」を教えるのか、「穴を見つけて戻る」ことまでしてもらえるのかは、必ず確認してください。
3 北辰テストの結果を、授業の計画に反映してくれるか
埼玉の高校受験では、北辰テストの結果が進路判断の大きな材料になります。北辰の答案を見て、次の北辰までの計画を作ってくれるのか、それとも学校の宿題を中心に進めるのかで、授業の使い方が変わります。「北辰の過去問や答案を、授業で使ってよいか」も、聞いておくとよいでしょう。
4 学校の提出物・定期テストとどう両立するか
内申点に関わる提出物や期末テストを落とすと、北辰が上がっても全体として損をすることがあります。1教科の外部授業に時間を取られて、学校の宿題が回らなくなるのは避けたい状況です。「期末テストの前は、学校の範囲を優先できるか」を確認してください。
5 授業の時間以外で、何をやるのか
外部の授業は、週に1回か2回、1時間か2時間が基本です。残りの日の学習が、授業の効果の大部分を決めます。授業のあとに出される宿題の量、それをどう確認するのか、お子さんが家でやるべきことが明確かどうかは、継続のしやすさに直結します。
6 成果をどう確かめるか
「成績が上がったかどうか」は、次の北辰の結果で確かめるのが基本です。ただし、いつまでに何を目標にするのかを、先生と共有していないと、結果が出なかったときに何が原因なのか、わからなくなります。「次の北辰までに、この単元を固める」というように、短い期間の小さな目標を最初に決めてもらってください。
7 費用の総額と、やめるときの条件
月謝のほかに、入会金・教材費・季節講習(冬期講習など)の費用、交通費がかかるかどうかは、会社や教室によって違います。1教科だけの依頼でも、講習が自動的に組み込まれて総額が膨らむ場合があります。入試までの期間の合計、休んだときの振替、途中でやめるときの手続きと費用を、同じ条件で出してもらってください。
費用の相場や、払う前の考え方は、次の記事でも整理しています。
7つを同じ物差しで確認しようとすると、1つの塾や会社の説明だけでは足りないことに気づきます。しかも、残りの期間が限られているため、比べる作業にかけられる時間も多くありません。
塾・個別指導・家庭教師で、1教科だけ頼むときの違い
どの形が向くかは、お子さんの状況とご家庭の事情で変わります。ここでは、1教科だけ頼む場合の一般的な傾向を整理します。会社や教室によって幅が大きいので、あくまで目安として、体験や面談で確かめてください。
集団授業の塾で、1教科だけ取る場合
- 1教科だけの受講ができるかは、塾の制度による
- 授業は集団なので、つまずきが前の学年にある場合、そこまで戻る時間は取りにくい
- 自分で質問できる子、授業の進度に付いていける子に向いている
個別指導塾で、1教科だけ取る場合
- 1教科・週1回から受けられる教室も多いが、決まりは教室ごとに違う
- 先生1人に生徒が複数人つく形の場合、質問できる時間は教室により違う
- 通塾が必要なので、送り迎えや移動の時間を考える必要がある
家庭教師で、1教科だけ頼む場合
- 自宅で受けられ、1対1で苦手な単元に戻りやすい
- 教科や回数を柔軟に決められる会社が多いが、会社ごとに条件は違う
- 講師との相性が合わなかったときに、無料で交代できるかを確認しておく
どの形でも、先ほどの7つの確認項目が共通して使えます。どれが一番よいかを決めるより、お子さんが続けられる形で、苦手な1教科の原因に合った授業をしてくれるかを基準に選んでください。
すでに塾に通っているご家庭が、その塾はそのままに、苦手教科だけを足す場合の考え方は、次の記事でも触れています。
→ 集団授業についていけない中3|個別や家庭教師へ切り替える目安
頼んだあとに起こりやすい、3つのつまずき
つまずき1 授業が学校の宿題の答え合わせで終わる
1教科だけの依頼で最も多いのが、授業が宿題の解説だけで終わってしまうことです。宿題を見てもらうこと自体は悪くありませんが、北辰で落としている単元に手が回らなくなります。最初の授業で「今月は北辰のこの単元を優先する」と決めておくと、ぶれにくくなります。
つまずき2 その教科だけ伸びて、他の教科の時間が減る
苦手教科に時間を割くと、他の教科の勉強時間が減ることがあります。1教科の偏差値が上がっても、別の教科が下がっては意味がありません。週ごとの勉強時間を、教科別に大まかにでも記録して、全体のバランスを見てください。
つまずき3 1か月で結果を求めすぎる
始めて数週間で北辰の偏差値が動くとは限りません。特に、前の学年の内容まで戻る場合は、最初の数週間は「穴を埋める」作業が中心になり、点数に表れるまで時間がかかることがあります。大切なのは、結果が出るまでの途中経過(単元の理解度、宿題の取り組み方)を確認することです。
日程から考える、「今」動く理由
日程を確認しておきましょう。北辰テストは、中3の第6回が11月8日(日)、第7回が12月6日(日)で実施される予定と案内されています。正式な日程は、北辰図書の公式サイトで必ず確認してください。公立高校の学力検査は、埼玉県教育委員会の発表で、2027年2月25日(木)です。
2026年10月20日の時点で数えると、次のとおりです。
- 11月8日の北辰まで:19日
- 12月6日の北辰まで:47日
- 公立入試の学力検査(2月25日)まで:128日
10月20日の時点で128日あっても、2学期の期末テスト、12月の北辰、冬休み、出願と、動かせない予定が先に埋まります。そのうえ、候補を比べ、体験や面談を受け、担当が決まって授業が軌道に乗るまでには、早くても2〜3週間はかかります。この時点から比べ始めても、実際に授業が始まるのは、11月8日の北辰の直前、というスケジュールになりかねません。
これは「今すぐ契約を」という意味ではありません。資料と見積もりを先にそろえておけば、北辰の結果を見て必要だと判断したとき、すぐに決められるということです。決めるのは、材料がそろってからで構いません。
1教科だけ頼むための準備|答案のメモから、2〜3か所への問い合わせまで
候補に問い合わせる前にそろえるもの
- 直近の北辰の答案を、苦手教科だけ大問ごとに見て、落とした箇所をメモする
- お子さんに「どこがわからないか」を短い言葉で聞く
- 期末テストと提出物の予定を、カレンダーに書き出す
- 1教科だけの依頼ができるか、2〜3か所の候補に問い合わせる
11月8日の北辰までにやること
- 資料と見積もりを、同じ条件(教科・回数・期間)で並べて比べる
- 候補を2つ程度に絞り、体験や面談で7つの確認項目を聞く
- 始める場合は、先生と最初の目標(次の北辰までに固める単元)を共有する
12月6日の北辰までにやること
- 11月の北辰の結果を、先生と一緒に見直す
- 目標に対してどこまで進んだかを確認し、続けるか見直すかを決める
- 他の教科の点が下がっていないかも、あわせて確認する
まとめ:1教科だけ頼むなら、「何を直すか」を先に決める
- 苦手が1教科に絞れているなら、外部に頼むのも1教科だけで構わない
- 頼む前に、白紙なのか時間切れなのか、特定の単元なのかを北辰の答案で見分ける
- 確認したいのは、1教科だけの依頼可否・前の学年に戻れるか・北辰への対応・学校との両立・授業以外の学習・成果の確かめ方・総額とやめる条件の7つ
- 授業が宿題の解説だけで終わらないよう、最初に次の北辰までの目標を先生と共有する
- 10月20日の時点で、北辰11月8日まで19日、12月6日まで47日、公立入試まで128日。比べる材料は、早めにそろえておく
最後にお伝えしたいのは、1教科だけ頼むことは「中途半端」ではなく、残りの時間を使う一つの現実的な選び方だということです。大切なのは、頼む前に原因と目標を決めておくことです。まずは、苦手教科の北辰の答案を大問ごとに見直すところから、始めてみてください。






