北辰の英語長文が時間内に終わらない|原因の見分け方と対策

残り5分で、最後の長文がまだ半分。

北辰テストを受けた中3の子が、帰ってきてぽつりとこう話す。そんな場面は、英語が苦手な子に限らず、この時期のご家庭でよくあります。「最後まで読めなかった」「適当にマークした」と聞くと、親としては「もっと速く読めるようになれば」と思いがちです。ただ、実際に答案を見てみると、遅い原因は「速さ」ではないことのほうが多いのです。

「北辰の英語、毎回長文の途中で時間切れになる。単語は覚えているはずなのに、どうして?」
「家で長文を解くと点は取れるのに、本番だと最後まで届かない。時間を計って練習させたほうがいい?」

長文が時間内に終わらないときは、まず「どこで時間を使っているか」を4つの原因(語彙・構文・読み方・時間配分)に分けて見分けるのが先です。原因が違えば、効く対策もまったく違います。原因がわからないまま「時間を計って過去問を解く」だけを繰り返すと、同じところで同じように止まり、自信だけが削れていきます。

この記事では、北辰テストの日程を確認したうえで、原因の見分け方、家庭でできる対策、家庭だけでは手が回らなくなる部分、外部の力を借りる判断基準を整理します。なお、時間配分の工夫を扱った別の記事とは違い、今回は「長文が終わらない原因をどう見分けるか」に絞っています。

長文が終わらない原因は、大きく4つに分かれる

英語の長文が終わらないと、「読むのが遅い」の一言でまとめられがちです。しかし、遅い子が止まっている場所は、子どもによってかなり違います。大きく分けると、次の4つです。

原因1:語彙で止まっている

知らない単語が出てくるたびに、そこで読む手が止まるタイプです。日本語に直そうとして考え込み、前後の文脈から意味を推測する余裕がなくなります。単語帳の暗記は進んでいても、「見て意味がわかる」状態と、「長文の中で止まらずに読める」状態には差があります。

  • 解き終わったあと、答え合わせをすると「この単語を知っていれば読めた」という箇所が複数ある
  • 単語テストの点は悪くないのに、長文になると意味が出てこない
  • 同じ単語を、毎回のように辞書や解説で調べ直している

原因2:構文で止まっている

単語の意味は全部わかるのに、文の意味が取れないタイプです。関係代名詞、不定詞、分詞、比較、受け身などが入った長めの1文で、どこが主語でどこが動詞なのかがつかめず、同じ文を何度も読み返してしまいます。中学の文法を「問題として解く」ことはできても、「文章の中で見つける」ことに慣れていない子に多い傾向があります。

  • 長い1文を、頭から3回以上読み返している
  • 文法問題の正答率は高いのに、長文の内容理解の問題で落とす
  • 日本語訳を見ると「そういう意味だったのか」と納得するが、自力では取れない

原因3:読み方で止まっている

1文ずつ全部を日本語に訳しながら読んでいるタイプです。丁寧に読んでいるので内容は取れているのに、本文全体を読み終えるころには、問題を解く時間が残っていません。逆に、設問を先に読まずに本文を最初から最後まで読み、そのあと設問を見て、もう一度本文に戻る読み方をしている場合も、時間を大きく使います。

  • 鉛筆で1文ずつ訳をメモしている、または頭の中で全文を訳している
  • 設問を読む前に、本文を全部読み切ってしまう
  • 設問の答えを探すために、本文を何度も頭から読み返す

原因4:時間配分で止まっている

読む力そのものは足りているのに、試験全体の時間の使い方で崩れているタイプです。最初の問題に時間をかけすぎた、わからない問題で粘りすぎた、見直しを先にやってしまった、といったことが原因です。この場合は、長文だけを練習してもほとんど効果が出ません。

  • 長文以外の問題で、予想以上に時間を使っている
  • 家で長文だけを解いたときは時間内に終わる
  • 本番で「あと何分あるか」を確認するのが長文の途中になっている

見分けるための「3色マーク」

原因を見分けるのに、特別な道具はいりません。直近の北辰テストの英語の問題冊子と、3色のペンがあれば十分です。解き直しのとき、次のようにマークしてもらいます。

  • 赤:知らなかった単語に線を引く
  • 青:単語はわかるのに意味が取れなかった文に線を引く
  • 緑:読み返したり、設問に戻ったりした箇所に印をつける

赤が多ければ語彙、青が多ければ構文、緑が多ければ読み方、どれも少ないのに時間が足りないなら時間配分、という見立てになります。2つ以上が重なるのも普通なので、「いちばん多い色」から手をつけて構いません。

なお、解き直しの際は、親が採点や指導をする必要はありません。「どこに線を引いた?」と聞いて、見せてもらうだけで十分です。ここで親が「なんでこんなのがわからないの」と言ってしまうと、子どもは線を引くこと自体を避けるようになります。

北辰テストの日程から、準備に使える期間を考える

次に、時間の話をします。今年度の中3の北辰テストは、北辰図書の公式サイトによると、第6回が2026年11月8日(日)、第7回が12月6日(日)、第8回が2027年1月31日(日)です。第6回と第7回のあいだは4週間で、公立高校の学力検査(2027年2月25日)は第8回の25日後にあたります。

公立入試の日程は、埼玉県教育委員会が2025年5月22日に発表した「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜の日程」で、学力検査が2月25日(木)、入学許可候補者の発表が3月5日(金)と示されています。

第6回から第7回までの4週間、毎日30分を英語に使えば、合計で14時間です。語彙を1冊やり直すことはできますが、構文と読み方と時間配分の全部を直すには足りません。だからこそ、4つの原因のうち「いちばん大きい1つ」から手をつける必要があります。全部を同時に直そうとして、どれも中途半端に終わる、というのが、この時期に最もよくある失敗です。

11月8日の北辰は、10月の北辰(10月11日)の結果を受けて志望校や併願校の方向を考え直す人が多い時期にあたります。英語の長文で点を落とした分が、そのまま偏差値に響きます。10月の結果が気になっているご家庭は、こちらの記事も参考にしてください。

→ 10月北辰が悪かったら確約は間に合う?埼玉の11月・12月挽回策

原因別に、家庭でできる対策

ここからは、見分けた原因ごとに、家庭でできる対策を整理します。どれも親が英語を教える必要はありません。「やったかどうかを確認する」ことが中心です。

語彙が原因のとき:「長文の中の未知語」から覚え直す

単語帳を最初から全部やり直すのは、11月8日の北辰までの期間では重すぎます。代わりに、直近2〜3回分の北辰の英語で、赤線を引いた単語だけを抜き出して覚え直します。自分が実際に止まった単語なので、定着しやすく、本番で同じ単語に出会う確率も上がります。

  • 赤線の単語を、1日10個ずつノートかカードに書き出す
  • 翌日に、意味を隠してテストする。間違えた単語だけ翌日に回す
  • 寝る前の5分と、朝の5分に分けると続きやすい

そして、単語が出てくる文脈ごと音読するようにします。単語だけを日本語とセットで覚えるより、文の中で覚えたほうが、長文の中で思い出しやすくなります。

構文が原因のとき:「1文だけ」を毎日解剖する

青線を引いた文を、1日1〜2文だけ、主語・動詞・修飾のかたまりに分けて確認します。長文を1題解くのではなく、難しい1文を丁寧に分解するほうが、構文の力は伸びます。

  • 青線の文に、主語と動詞の印をつける
  • 関係代名詞や不定詞など、つなぎの言葉で文を区切って、スラッシュを入れる
  • 日本語訳を見て答え合わせをし、どこで読み違えたかを一言メモする

文法の問題集でも、「この文のどこがポイントか」を意識して解けば、構文の練習になります。新しい教材を買い足す必要はありません。

読み方が原因のとき:設問を先に見る習慣をつける

全文を訳しながら読む癖がある子には、「設問を先に読む」「本文は設問に関係する箇所を探すつもりで読む」という練習が効きます。ただし、これは一晩で身につく技術ではありません。最初は時間が余計にかかり、焦りが出ることもあります。

  • 本文を読む前に、設問と選択肢に目を通す。何を聞かれているかを頭に入れる
  • 設問の答えが見つかったら、そこで本文の読み返しをやめて、次の設問へ進む
  • わからない設問は印だけつけて飛ばし、最後に戻る

この練習は、1題を時間を計って解き、「どの設問で戻ったか」を振り返ると進みます。親は、振り返りのときに「どこで迷った?」と聞くだけで構いません。

時間配分が原因のとき:試験全体で時計を見る場所を決める

長文だけでなく、試験全体の「ここまでに何分」を決めておきます。たとえば、長文に入る時点で何分残っていてほしいか、長文の途中で一度だけ時計を見る場所はどこか、わからない問題に何秒まで使うか、といった自分なりのルールです。決まった時間配分があるだけで、焦りはかなり減ります。

具体的な目安の分数は、子どもの得意不得意で変わります。直近の北辰の答案を見て、「どの大問にどれだけ時間を使ったか」を、本人に思い出して書き出してもらうところから始めてください。

3色マークで赤線が少なく緑の印が多いなら、読む速さではなく、設問の答えを探して本文の頭に戻る「戻る回数」が時間を使っている可能性があります。この場合は、設問を先に読む順番に変えると改善しやすくなりますが、慣れるまでは点が不安定になることもあります。「速く読む練習」が合うのは、原因が読む速さにあるときだけです。原因を見分けずに時間を計る練習を重ねると、努力が空回りすることがあります。

家庭だけでは手が回らなくなるのは、どんなときか

ここまでの対策は、家庭で十分できるものです。ただし、「家庭だけだと手が回らなくなる」場面もあります。

  • 3色マークをつけても、どの色が多いのか判断がつかない。あるいは、4つの原因が全部に当てはまりそうに見える
  • 構文で止まっている文が多く、親も英語に自信がないので、解説を読んでも「なぜそうなるのか」を説明できない
  • 解き直しの時間を作っても、塾の宿題と他教科の勉強で、英語に回せる時間が毎日30分も取れない
  • 解き直しのたびに親子で言い合いになり、見守るだけのつもりがぶつかってしまう

特に3つ目は、中3の秋に多い悩みです。部活が終わって勉強時間は増えても、塾の宿題、学校の課題、他教科の北辰対策が重なると、英語の「自分の弱点だけに絞った解き直し」は、後回しになります。集団授業で扱う内容は、クラス全体に合わせたものなので、子ども一人ひとりの「赤・青・緑」のどこが多いかには、基本的に対応できません。

11月8日までに語彙、12月6日までに構文を整える、という計画は、原因の見立てが正しければ現実的です。逆に、見立てが外れていると、その貴重な期間のほとんどが、効果の薄い練習に消えます。見立てを間違えないために、第三者に答案を見てもらう価値があるのは、まさにこの部分です。

塾・個別指導・家庭教師の違い:どんなときに外部の力を借りる価値があるか

外部の力を借りるといっても、選択肢は一つではありません。それぞれの特徴を、特定の会社や塾の名前を出さずに整理します。

集団授業の塾

授業の進度や教材が決まっていて、同じ学年の仲間と進められるのが特徴です。一方で、一人ひとりの弱点に合わせて授業を変えることは難しく、質問のしやすさは教室の雰囲気や講師によって大きく違います。英語の長文で止まる原因は子どもごとに違うので、集団授業だけで「自分の原因」に当たるかどうかは、運の要素が残ります。

個別指導塾

講師1人に対して生徒1〜3人ほどで教える形が多く、弱点に合わせて進められます。ただし、通う時間が決まっていて、1回あたりの授業時間も限られます。講師が学生アルバイトの場合と、社員やプロ講師の場合では、指導の質に差が出ることもあります。料金は会社や教室によって違うので、入会前に必ず確認が必要です。

家庭教師

自宅で、1対1で見てもらう形です。移動の時間がかからず、子どもの答案を見ながら「どの原因が多いか」を一緒に確認できます。一方で、講師との相性が成果を左右しやすく、講師の質も会社によって違います。料金や講師の選び方、交代の条件も会社ごとに違うため、比べる項目をそろえることが大切です。

どれが良い、どれが悪いという話ではありません。英語の長文で止まる原因が絞れていて、あとは演習量の問題なら、家庭と今の塾で十分なことも多いのです。逆に、原因がわからず、家庭でも見られないなら、1対1で答案を見てもらう価値が出てきます。判断の目安は次のとおりです。

  • 3色マークをつけた結果を見ても、何から手をつけるか決められない
  • 11月8日の北辰までに、1つの原因を片付ける見通しが家庭だけでは立たない
  • 英語だけでなく、数学や理社にも同じような「手が回らない」状態がある

3色のマーク付けを11月8日の第6回北辰の前に終える

ここまでの原因の見分け方を、家庭で最初に試す手順に落とします。

問題冊子に3色でマークするまでの手順

  • 直近の北辰の英語の問題冊子を、子どもと一緒に出す
  • 赤・青・緑の3色で、止まった箇所にマークをつけてもらう(親は採点も指導もしない)
  • いちばん多い色を確認し、11月8日までに直す原因を1つに絞る
  • 1日に英語へ使える時間(30分など)を、子どもと決める
  • 家庭で見られない部分と、外部に頼む可能性がある部分を分けておく
  • 外部の力を借りる場合は、料金・指導の中身・交代の条件を、同じ項目で比べる準備をする

日程を並べると、第6回までの間隔が限られています。第6回は11月8日、第7回は12月6日、公立入試の学力検査は2月25日です。英語の長文は、読み方を変えてから結果に表れるまで、1〜2週間のぶれがあることも珍しくありません。原因を絞る作業を11月8日より前に終えておくかどうかで、11月8日と12月6日の2回の北辰を、練習として使えるかどうかが変わります。

まとめ:英語長文は「速さ」ではなく「止まる場所」を見る

  • 長文が終わらない原因は、語彙・構文・読み方・時間配分の4つに分けて考える
  • 解き直しで赤・青・緑の3色マークをつけると、どこで止まっているかが見える
  • 北辰は11月8日と12月6日。直す原因は、いちばん大きい1つに絞る
  • 家庭では、親は採点や指導ではなく、「どこに線を引いた?」と聞く役に回る
  • 見立てがつかない、時間が取れない、親子でぶつかるといった場合は、答案を見てもらえる外部の力を、同じ項目で比べて検討する

まずは、直近の北辰の英語を子どもと一緒に開いて、3色のマークをつけてもらってください。見立てがついたら、その原因に合う対策を1つだけ始める。それだけで、次の北辰の受け方が変わります。

→ 北辰の数学で偏差値が伸びない中3|12月北辰までの優先事項

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