中2の冬から始める高校受験準備|埼玉の親が今知っておくこと

冬休み前の三者面談で、担任の先生から「来年は受験生ですから、そろそろ考えておいてくださいね」と言われることがあります。

「まだ中2なのに、もう受験の話なのか」
「部活もあるし、何から手を付ければいいのか見当がつかない」

中2の冬には、こう感じる保護者の方が多くいます。急かされている気持ちと、まだ現実味がない気持ちの両方があって、結局なにもしないまま春を迎えてしまう。これは珍しいことではありません。

中2の冬にやるべきことは、受験勉強を本格的に始めることではありません。「いまの位置を知る」「つまずきの場所を特定する」「中3の動き方を決めておく」の3つを、春までに済ませておくことです。これだけで、中3の4月から動き出すスピードがまったく変わります。

この記事では、まず中2の冬の家庭がどんな状況にあるかの見分け方、次に家庭でできる5つの準備、埼玉県の入試日程から見た「いつまでに何を決めるか」、そして外部の力を借りるか迷ったときの比べ方を整理します。塾や家庭教師を勧める記事ではありません。必要かどうかを自分で判断できるようになるための記事です。

「まだ早い」と感じるのはなぜか|中2の冬の家庭の状況を見分ける

準備を始める前に、いま自分の家庭がどの状況にあるかを見分けておきましょう。同じ中2の冬でも、必要な動きは家庭ごとに違います。

よくある3つの状況

  • 状況1:成績は安定しているが、受験の話をしていない。定期テストはそれなりに取れているので、親子とも危機感がない。進路の話題が出ないまま中3に入る
  • 状況2:教科によって波がある。得意な教科は点が取れるが、数学や英語など積み上げの教科で、前の学年の内容があいまいなまま進んでいる
  • 状況3:部活や生活が忙しく、家庭学習の習慣がない。テスト前だけ慌てて勉強するので、点数の上下が大きい

どれが良い悪いという話ではありません。ただ、状況によって「春までにやること」の順番が変わります。状況1の家庭は進路の情報集めから、状況2の家庭は苦手単元の特定から、状況3の家庭は学習習慣づくりから始めるのが自然です。

見分けるためのチェックリスト

次の項目を、お子さんと一緒でなくてもかまいませんので、親の目で確認してみてください。

中2の冬の現状チェックリスト

  • 直近の通知表の各教科の数字を、中1の通知表と並べて見たことがある
  • 定期テストの点数を、教科ごとに並べて「波」を確認したことがある
  • 数学の計算ミスや、英語の単語・文法のつまずきの場所を、お子さん本人が言える
  • テスト前以外の日に、家庭学習をする時間が決まっている
  • 志望校という形でなくても、「公立か私立か」「家から通える範囲か」の話をしたことがある
  • 春休みの過ごし方について、家族で考えたことがある

チェックが半分以下なら、いまが準備を始める良い時期です。逆に全部に当てはまるご家庭は、このあとの内容を「確認」として読んでいただければ十分です。

なお、中2の内容は中3の学習の土台になります。たとえば数学は、一次関数や図形の証明の理解が、中3の二次関数や相似・三平方の定理のつまずきにそのままつながります。中2の冬は、前学年の穴をまだ小さいうちに見つけられる最後の時期でもあります。

中2の冬に、家庭でできる5つの準備

ここからは、お金をかけずに家庭でできる準備を5つ挙げます。1つずつは小さなことですが、春までに全部そろえば、中3のスタートがずいぶん楽になります。

準備1:通知表と定期テストの点を、1枚の紙に並べる

中1の学年末から中2の2学期までの通知表の数字と、定期テストの点数を、教科ごとに一覧にします。手書きで十分です。並べると、「この教科は点数が高いのに通知表の数字が伸びない」「この教科はテストの点が安定しない」といった傾向が見えてきます。

通知表の数字は、テストの点だけでなく、提出物や授業態度も含めて決まります。点数と通知表にずれがあれば、そこに改善の余地があるということです。

準備2:苦手を「教科」ではなく「単元」で特定する

「数学が苦手」では、対策が立ちません。「正負の計算は大丈夫だが、文字式の利用で止まる」「連立方程式の文章題が式にできない」のように、単元まで落として特定します。

特定の方法は簡単です。直近のテストの間違い直しノートを見るか、なければ解き直しをして、どの問題で止まるかを見ます。お子さん本人に「どこから分からなくなった?」と聞くのもよい方法です。責める口調にならないように、「一緒に確認したいだけ」と伝えるのがコツです。

準備3:学習の時間帯を、いまのうちに決めておく

中3になると部活を引退する時期が来て、勉強時間が一気に増えます。ところが、いきなり増えた時間を使いこなせない子は少なくありません。中2のうちに、「平日の夜に30分だけ、机に向かう時間」を決めて習慣にしておくと、中3の夏以降の伸びが違ってきます。

最初は短くて構いません。大事なのは、時間の長さよりも、毎日決まった時間に始めることです。

準備4:高校の種類と、入試の大まかな流れを知る

埼玉県の高校受験には、公立高校と私立高校があり、私立には「確約」という独特の仕組みがあります。確約とは、入試の前に学校側から合格の見通しを示される仕組みで、北辰テストの偏差値や内申点が目安にされることがあります。基準は学校ごとに違い、公表していない学校もあります。

中2の段階で細かい基準を覚える必要はありません。「公立と私立で動き出す時期が違う」「私立は秋以降に個別相談や説明会が増える」という大きな流れだけつかんでおきましょう。

→ 【2027年入試】埼玉県公立・私立高校入試の年間スケジュール

準備5:親子で「高校のイメージ」を一度だけ話す

志望校を決める必要はありません。「通うのは電車か自転車か」「部活は続けたいか」「共学か別学か」など、高校の選び方の軸を軽く話すだけで十分です。

この会話の目的は、お子さんの考えを引き出すことです。親の希望を伝える場ではありません。「どう思う?」と聞いて、返事がなくても、考えるきっかけを渡せれば成功です。

ここまでの5つは、家庭で十分にできます。ただし、準備2の「苦手の特定」は、親が勉強を見られない教科では難しくなります。また、準備3の習慣づくりは、親が声をかけすぎると親子関係が硬くなりやすい部分でもあります。このあたりが、家庭だけでは手が回らなくなりやすい場所です。

そうした場合は、第三者の目を入れる方法もあります。苦手の特定と習慣づくりの両方を、外部の人に任せられるかどうかが比べるポイントになります。

入試の日程から逆算する|いつまでに何を決めるか

中2の冬に「準備」と言われても、どれくらいの時間があるのか、実感しにくいものです。ここで、埼玉県の入試日程を確認します。

今年度の中3の日程(令和9年度入試)

埼玉県教育委員会が発表している、令和9年度(2027年)公立高校入試の日程は次のとおりです。

  • 学力検査:2027年2月25日(木)
  • 面接:2027年2月26日(金)(すべての学校)
  • 特色検査:2027年3月1日(月)(一部の学校。2月26日に行う場合もあります)
  • 追検査:2027年3月2日(火)
  • 入学許可候補者発表:2027年3月5日(金)

これは、いま中3のお子さんの日程です。いま中2のお子さんが受ける入試は、令和10年度(2028年)の入試にあたります。令和10年度の日程は、埼玉県教育委員会が2026年5月21日に発表しています。学力検査は2028年2月29日(火)、面接は3月1日(水)、特色検査は3月2日(木)(一部の学校。3月1日に行う場合もあります)、追検査は3月3日(金)、入学許可候補者発表は3月8日(水)です。

それでも「時間の感覚」はつかめる

日程は違っても、いまの中3の動きを見れば、中2の1年後がどう進むかのおおまかなイメージはつきます。今年度の学力検査は2027年2月25日で、11月6日の時点で3か月半ほど先です。中3の秋に動き出して、この短さです。

いま中2のお子さんが中3になる4月までは、11月6日の時点で5か月弱(学年末テストや春休みを含む)あります。この期間に、前の学年の穴を埋め、学習の習慣を作っておければ、中3の秋に慌てずに済みます。

私立の動き出しは、公立より早い

私立高校の個別相談や学校説明会は、中3の秋以降に本格化するのが一般的です。確約の話し合いに北辰テストの偏差値や内申点が使われることがあるため、中3の1学期までの成績が、そのまま私立の話し合いの材料になる場合があります。

つまり、中2の冬から中3の1学期までの数か月が、実は私立の確約にも影響し始める時期です。基準は学校ごとに違うので、志望しそうな学校のホームページで、どんな基準が公表されているかを一度見ておくと、必要な水準が具体的にわかります。

→ 中3の秋から家庭教師は遅い?埼玉の入試日程で考える始め方

外部の力を借りるか迷ったときの比べ方|塾・個別指導・家庭教師

家庭で5つの準備を進めてみて、「ここは人に頼ったほうがいいかもしれない」と感じる場面が出てくることがあります。そのときに、何を比べるかを整理しておきます。特定の塾や会社を勧める意図はありません。

3つの形の大まかな違い

  • 集団授業の塾:決まった時間割で複数人が授業を受ける。学校の進度より先に進むことも多く、ペースが合えば効率がよい。一方、つまずきの細かい穴までは拾いにくい
  • 個別指導塾:「連立方程式の文章題だけ」のように、準備2で見つけた苦手の単元を選んで進めやすい。講師が1〜数人の生徒を同時に見る形で、担当の変更の有無は教室によって差がある
  • 家庭教師:自宅(またはオンライン)で1対1。苦手の特定と、生活リズムに合わせた学習計画を一緒に作りやすい。一方で、講師との相性が合わないと続かない

どれが一番良いということはありません。お子さんの性格と、先ほど確認した「状況1〜3」で、合う形が変わります。

比べるときの項目

形が決まったら、会社や教室を同じ項目で比べます。費用は会社によって大きく違うため、ここでは金額ではなく、比べる項目だけを挙げます。

  • 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費・季節講習)
  • 講師を選べるか、合わなかったときに交代できるか
  • 定期テストや内申点への対応の仕方(テスト前の対策を組み込めるか)
  • 北辰テストなど、埼玉の入試に合わせた指導ができるか
  • 部活や習い事と両立できる時間帯か
  • 体験授業や面談の条件(有料か無料か、何回まで受けられるか)

この比較は、資料を集めて机の上に並べてみないと、なかなか見えてきません。1社だけの話を聞いて決めると、他との違いがわからないまま契約してしまうことがあります。

準備2の「苦手の単元の特定」を、家庭教師と個別指導塾のどちらに頼むと進めやすいかを詳しく比べたいときは、こちらの記事が参考になります。

→ 家庭教師と個別指導塾の違い|埼玉の中3の親が比べる7項目

中2の冬に、やらなくていいこと

準備の話ばかりすると、「全部やらなければ」と焦ってしまう方がいます。ここで、あえて「やらなくていいこと」も挙げておきます。

  • 志望校を一つに決めること。中2の冬に決める必要はなく、決めてしまうと視野が狭くなります
  • 中3の内容を先取りして詰め込むこと。前の学年の穴がある状態で先に進んでも、定着しにくくなります
  • 他の子との比較。「あの子は塾に通っている」という話は、参考にはなっても判断の基準にはなりません
  • 毎日の勉強時間を、いきなり長くすること。続かなければ逆効果です。短く、毎日を優先してください

焦ると、お子さんにも伝わります。親が落ち着いて「春までに3つだけ」と構えているほうが、お子さんは動きやすくなります。

12月から春休みまで、月ごとの動き方

最後に、春までにやることを時期ごとに整理します。学校の行事や学年末テストの時期は学校ごとに違うので、お子さんの学校の予定表に合わせて調整してください。

12月〜冬休み

  • 通知表と定期テストの点を、教科ごとに1枚の紙に並べる
  • 苦手を単元まで特定する(直近のテストの間違いを見る)
  • 平日の「30分だけ机に向かう時間」を、親子で相談して決める

1月〜2月

  • 学年末テストに向けて、苦手単元の解き直しを進める
  • 志望しそうな私立高校のホームページで、入試の基準が公表されているかを見る
  • 外部の力を借りる場合は、準備1で作った一覧を手元に置き、資料を2〜3社分取り寄せて、比べる項目に書き込んでいく

3月〜春休み

  • 学年末の通知表を確認し、中3の目標となる教科を決める
  • 春休みの1日の過ごし方を、ざっくり決める
  • 令和10年度の入試日程(学力検査は2028年2月29日)を、お子さんの学年末の予定と並べて見ておく

穴探しは中3になる前の冬に済ませる

やることは分かったが、いつから動くのか。この冬のうちに、最初の一歩だけ踏み出すことをお勧めします。

現在の中3は、2027年2月25日の学力検査に向けて、すでに入試の直前期にいます。中3になってから前の学年の穴を探すと、新しい内容と並行して取り戻すことになり、時間が足りなくなりがちです。中2の冬は、穴を静かに見つけて埋められる、最後の余裕のある時期です。

外部の力を借りるかどうかは、資料を見てから決めても遅くありません。まず比べる材料をそろえることが、焦らずに判断する近道です。

まとめ:中2の冬は「位置を知る・穴を探す・動き方を決める」

  • 中2の冬にやることは、受験勉強の本格開始ではなく、現状の把握と準備です
  • 家庭の状況は大きく3つ。成績は安定、教科の波あり、学習習慣なし。状況で春までの順番が変わります
  • 家庭でできる準備は5つ。通知表と点数の一覧、単元レベルの苦手特定、学習時間帯の固定、入試の大まかな流れの把握、親子の軽い対話です
  • 今年度の中3の公立入試は、2027年2月25日が学力検査です。いまの中2が受ける令和10年度は、2028年2月29日(火)です
  • 外部の力を借りるときは、形(集団・個別・家庭教師)と、費用・交代・内申対応などの項目で、同じ条件で比べます
  • 志望校の確定や先取り学習は、いまは急がなくて構いません

最初の一歩として、今夜は通知表を引き出しから出して、中1からの数字を紙に書き写してみてください。それだけで、「うちの子はいまどこにいるのか」が見えてきます。